真・枕営業の魔法少女

木mori

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第一章

第六部分

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栄知は自分の体重から魂の分だけ軽くなったことを実感しながら、トボトボと帰宅した。2階建のこじんまりした、小市民的な木造建築の家屋。
「「うほー!お兄ちゃん、おかえり~、抱き!」」
満面の笑みを以って玄関で栄知にしがみついたふたつの小柄な女子物体。わずかに赤みがかった頬、まん丸な鳶色の瞳、申し訳程度にちょこんとついた鼻に、蕾のような唇がそっくりで双子のようである。共に黄色い髪のハーフツインで、片方のひとりは、ハーフツインに加えて、バカ殿様のようにツンと立てている。
「ああ、もううるさいし、重たいし、もういい加減にしてくれよ。桜子に、母さん。」
栄知はふたりを引き剥がしにかかるが、地球規模の強力な磁力を操っているのか、なかなか離れようとしない。
「あ~、また母さんって死語を言ったぁ!永遠の妹・梅子って呼んでよ、母さんは青い空のホシブドウになったんだからぁ。って、ここはホシブドウじゃないんだからねぇ。ギラギラの巨峰だよぉ。」
三本ツインが結構な出来映えおっぱいを栄知に押し付ける。
「あ~、お母さん、ズルいよ。お兄ちゃんのお世話は桜子の仕事なんだからね。すりすり。」
二本ツインは柔らかな頬と胸で同時にマーキングしている。
「ふたりともいい加減にしろ!」
容易に分離できないふたりを30分かけて、ようやく処理した栄知。
「「じゃあ、お兄ちゃん。お風呂にする?梅子桜子をご飯にする?それとも大船駅で大船に乗って超ソッコー、ベッドインする?」」
「その選択肢からはお風呂しかないだろ!」
「「え~?残念!」」
顔と腕を×印にして、残念そうに廊下の奥に引き下がったふたり。
「毎日、毎日、帰宅するとこれなんだよな。まあ、風呂で癒すにはちょうどいい疲れかもだけど。」
ブツブツと不満を垂れ流ししながら浴室に向かう栄知。

栄知は勢いよくシャワーを出して、からだを洗う。
「今日も久里朱はバイトに行ったのか。何のバイトか知らないけど、言わないっていうのが気になるよな。危ないバイトじゃなければいいけど。」
 やり切れない思いに発達する前の、疑念という思考のタマゴが徐々に栄知の心を浸食し始めていた。
一方梅子、桜子はこっそりと浴室に侵入して、脱衣場で、すりガラスに耳をソバ立てていた。栄知の耳がいいことは先刻承知で、音のしない高性能スリッパを使用している。
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