17 / 84
第一章
第十六部分
しおりを挟む
場面はホテルのエレベーター前に戻るが、想定外の事案が発生した。
エレベーターに従業員の若い女子が入ってきたのである。
「これは、ピチピチな女子、しかも久里朱よりも胸がリッチだもん!」
沽森byオバチャマは女子従業員に子泣きジジイのように抱きついてしまう。
女子は悲鳴をあげながら沽森byオバチャマを凪ぎ払って、エレベーターのドアを開いて、ふたりは飛び出した。
『ゴロゴロ』と転がったのは久里朱ではなかった。エレベーターの外に出てしまったので、変身魔法が解けてしまったのである。
「しまった、つい抱きついたもんね。明るい、まぶしい、うわあ、ヤバイもんね~!」
沽森byオバチャマは床でのたうちまわった直後、『シューシュー』という音と共に消滅した。長いこと引きこもりしている理由は、まともな光に弱いからであった。
沽森byオバチャマに襲撃された女子従業員は、落ち着きを取り戻して、スカートの裾をパンパンとはたいていた。
「なんだ、さっきの化け物は~?いきなり消えちゃったし~。・・・。あれ?いい匂いがする。もしかしたら、お兄ちゃんズが近くにいるかも?」
女子従業員はエレベーターの外に出た。
「ウリウリがお兄ちゃんズを見つけたよ~!」
女子従業員に化けていた瓜莉は、黄色の魔法少女に変身した。背中にはやはり黄色の枕を背負っている。
「黄色のクマミミコスプレイヤーがいるぞ?」
黄泉瓜莉に見つかってしまった栄知は、急激かつ異常な展開に当惑している。
「ウリウリのことをコスプレイヤーとか言うな~。れっきとした魔法少女だよ~。反社会的だけど~。」
「反社会的?この魔法少女コスプレイヤーはいったい何を言ってるんだ?」
「連続してコスプレイヤー言うな~。でもコイツから、強烈な匂いがする。きっとお兄ちゃんズだね。ねえ、君、ウリウリと枕しない?」
「栄知、危ないわ。ソイツから離れて!」
一連の様子を柱の陰から見ていた久里朱が飛び込んできた。
「反社会的魔法少女ね。まさか、三つ葉葵のヤツ?」
久里朱はすでに魔法少女に変身していた。
「ま、まさか、久里朱なのか?」
栄知には変身しても魔法少女が久里朱であることはすぐにわかった。久里朱の動きから感じる音が久里朱のものであったからであった。
「ちっ。魔法少女省の魔法少女だね~。いきなりのご登場で、こちらは準備不足だから、戦闘は預けておくよ~。」
そう言い残して、瓜莉はホテルから姿を消した。
「思わず栄知の前に出て、あまっさえ変身してしまったわ。もうこうなったら仕方ないわ。」
あっけに取られてる栄知から離れたところで、変身を解いた久里朱は中年と部屋に入っていった。その姿は栄知の視野の隅をかすった。
「久里朱!」
思わず大声を出した栄知。
「オバチャマは失敗したんだわ。でももう止められないのよ。」
背中に枕を抱えた久里朱は超然として枕営業を遂行した。久里朱はしっかり前を見ていたものの、目から小さな涙の一粒が流れて落ちていった。
「パンドラの箱が開いてしまったわ。もう栄知の顔を見られない。」
「久里朱が枕営業やってた、久里朱が枕営業やってた、久里朱が枕営業やってた。」
栄知は自己暗示ではなく、真実を繰り返していた。
エレベーターに従業員の若い女子が入ってきたのである。
「これは、ピチピチな女子、しかも久里朱よりも胸がリッチだもん!」
沽森byオバチャマは女子従業員に子泣きジジイのように抱きついてしまう。
女子は悲鳴をあげながら沽森byオバチャマを凪ぎ払って、エレベーターのドアを開いて、ふたりは飛び出した。
『ゴロゴロ』と転がったのは久里朱ではなかった。エレベーターの外に出てしまったので、変身魔法が解けてしまったのである。
「しまった、つい抱きついたもんね。明るい、まぶしい、うわあ、ヤバイもんね~!」
沽森byオバチャマは床でのたうちまわった直後、『シューシュー』という音と共に消滅した。長いこと引きこもりしている理由は、まともな光に弱いからであった。
沽森byオバチャマに襲撃された女子従業員は、落ち着きを取り戻して、スカートの裾をパンパンとはたいていた。
「なんだ、さっきの化け物は~?いきなり消えちゃったし~。・・・。あれ?いい匂いがする。もしかしたら、お兄ちゃんズが近くにいるかも?」
女子従業員はエレベーターの外に出た。
「ウリウリがお兄ちゃんズを見つけたよ~!」
女子従業員に化けていた瓜莉は、黄色の魔法少女に変身した。背中にはやはり黄色の枕を背負っている。
「黄色のクマミミコスプレイヤーがいるぞ?」
黄泉瓜莉に見つかってしまった栄知は、急激かつ異常な展開に当惑している。
「ウリウリのことをコスプレイヤーとか言うな~。れっきとした魔法少女だよ~。反社会的だけど~。」
「反社会的?この魔法少女コスプレイヤーはいったい何を言ってるんだ?」
「連続してコスプレイヤー言うな~。でもコイツから、強烈な匂いがする。きっとお兄ちゃんズだね。ねえ、君、ウリウリと枕しない?」
「栄知、危ないわ。ソイツから離れて!」
一連の様子を柱の陰から見ていた久里朱が飛び込んできた。
「反社会的魔法少女ね。まさか、三つ葉葵のヤツ?」
久里朱はすでに魔法少女に変身していた。
「ま、まさか、久里朱なのか?」
栄知には変身しても魔法少女が久里朱であることはすぐにわかった。久里朱の動きから感じる音が久里朱のものであったからであった。
「ちっ。魔法少女省の魔法少女だね~。いきなりのご登場で、こちらは準備不足だから、戦闘は預けておくよ~。」
そう言い残して、瓜莉はホテルから姿を消した。
「思わず栄知の前に出て、あまっさえ変身してしまったわ。もうこうなったら仕方ないわ。」
あっけに取られてる栄知から離れたところで、変身を解いた久里朱は中年と部屋に入っていった。その姿は栄知の視野の隅をかすった。
「久里朱!」
思わず大声を出した栄知。
「オバチャマは失敗したんだわ。でももう止められないのよ。」
背中に枕を抱えた久里朱は超然として枕営業を遂行した。久里朱はしっかり前を見ていたものの、目から小さな涙の一粒が流れて落ちていった。
「パンドラの箱が開いてしまったわ。もう栄知の顔を見られない。」
「久里朱が枕営業やってた、久里朱が枕営業やってた、久里朱が枕営業やってた。」
栄知は自己暗示ではなく、真実を繰り返していた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
聖女の力は使いたくありません!
三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。
ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの?
昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに!
どうしてこうなったのか、誰か教えて!
※アルファポリスのみの公開です。
四人の令嬢と公爵と
オゾン層
恋愛
「貴様らのような田舎娘は性根が腐っている」
ガルシア辺境伯の令嬢である4人の姉妹は、アミーレア国の王太子の婚約候補者として今の今まで王太子に尽くしていた。国王からも認められた有力な婚約候補者であったにも関わらず、無知なロズワート王太子にある日婚約解消を一方的に告げられ、挙げ句の果てに同じく婚約候補者であったクラシウス男爵の令嬢であるアレッサ嬢の企みによって冤罪をかけられ、隣国を治める『化物公爵』の婚約者として輿入という名目の国外追放を受けてしまう。
人間以外の種族で溢れた隣国ベルフェナールにいるとされる化物公爵ことラヴェルト公爵の兄弟はその恐ろしい容姿から他国からも黒い噂が絶えず、ガルシア姉妹は怯えながらも覚悟を決めてベルフェナール国へと足を踏み入れるが……
「おはよう。よく眠れたかな」
「お前すごく可愛いな!!」
「花がよく似合うね」
「どうか今日も共に過ごしてほしい」
彼らは見た目に反し、誠実で純愛な兄弟だった。
一方追放を告げられたアミーレア王国では、ガルシア辺境伯令嬢との婚約解消を聞きつけた国王がロズワート王太子に対して右ストレートをかましていた。
※初ジャンルの小説なので不自然な点が多いかもしれませんがご了承ください
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる