真・枕営業の魔法少女

木mori

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第三章

第一部分

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ここは渋沢家のリビング兼ダイニングである。日没前のくすんだ太陽光が、四角テーブルについた5人を嫌みたらしく照らしている。
梅子桜子と瓜莉暑姫が向かい合わせになり、梅子桜子の右側の辺に久里朱が座っている。
「この状況っていったい何?それに、三つ葉葵容疑者も一緒にいるじゃない!」
久里朱も自分がここに来た理由はわかっているものの、現場の緊張感には戸惑いを覚えていた。
梅子がイヤミに溢れた口調で、瓜莉に声をかけた。
「虎穴に入らずんば虎児を得ずということわざに従ってやってきたんだろうけど、ここまで堂々と他人の家に入ってくるのは、盗人猛々しいんだけどね。そういう前提を了解した上で、お世話するよ。」
「ありがとう。さすが魔法少女省のノンキャリアだね~。自分の立場をわきまえてくれてるね~。一気にバトルに走るかと思っていたけど~。そっちの内心がどうあれ、戦闘を回避するのであれば、こちらも手出しはしないよ~。」
瓜莉に笑顔はなかったが、場の空気はひとまず収まり、久里朱も安堵していた。
そこへ階段から人が鼻歌混じりに降りてくる音が聞こえてきた。音の発信源である栄知は、リビングをのぞきに来た。
「今日はお客がたくさんいるなあ。久里朱もいるじゃないか。久里朱と二人三脚の競争相手の女子たちも遊びに来たんだ。女子がたくさんで、賑やかだなあ。」
栄知は呑気に見せているが、状況は理解している。
栄知は久里朱が来てくれて嬉しい。もし、久里朱がお兄ちゃんズをほしいと言い出したらどうしよう、と考えていた。
「久里朱、ちょっとこっちへ来てくれ。」
久里朱は席を立って、栄知に近づいた。
「何かしら。あたしは仕事だから来ただけよ。」
久里朱は素っ気なく答えた。
「そうなんだ。でも久里朱がここにいるということは、外部へ枕営業することはなくなったことになる。これで安心だ。」
栄知は柔和な表情を久里朱に向けたが、久里朱は無言だった。
(あたしのこと、心配してくれてるんだわ。)
久里朱の表情は固かったが、心の中では喜んでいた。
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