真・枕営業の魔法少女

第三章

第三十三部分

【沽森byオバチャマのエレベーター内モノローグ】
オバチャマがまだオバチャマじゃなかった頃。って、今もオバチャマじゃないもん。
数年前のことだけど、オバチャマの女子としての魅力がいちばん悪いんだもんと、先に言っておくもん。
渋沢栄知と樋口久里朱のふたりの父親は仕事で、オバチャマと会うことになった。ふたりはすごく仲がよかったみたいだった。
魔法少女省の暗いエレベーターの中で待ち合わせとなったもん。
渋沢と樋口は紺のスーツ姿だったもん。どちらもよれよれで、仕事のハードさがみて取れたもん。茶色ローブのままのオバチャマだったから、ふたりには顔が見えなかったもん。
「おい、渋沢。ここのエレベーターガールは小さいし、変な服を着てるなあ。課長補佐の沽森さんは何階のフロアにいるんだろうな。」
「エレベーターの中で打ち合わせしたいとか、変な冗談かましてるのかなあ。俺たちは忙しいのになあ、樋口。」
ふたりの空気で、エレベーターが急がされて慌てたのか、ガタッと揺れた。
エレベーターの震動でローブが取れた。
「「なんだ、子供じゃないか。」」
　ふたりの父親はまったく同じ反応をした。これはオバチャマが中年に会うと必ず発生する現象だもん。
「子供じゃないもん。もうオトナだもん。これ、ＩＤカード！」
オバチャマが提示した魔法少女省の身分証明書。
「「魔法少女省の課長補佐！つまりキャリア官僚魔法少女⁉」」
「いったい、どうしたもん？」
「「か、かわいい、惚れた、合法ロリだ～！」」
サカリのついた中年オヤジの合唱はエレベーターに衝撃を与えて、途中のフロアで急停止させ、ドアが開いた。筐体からは猛烈に犯罪的なニオイを放たれて、周囲の人間が次々と倒れて、一大パニックになった。