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第5話『メリッサ、パティ、サバラス』
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翌日の昇陽の一月順心の十七日。
朝7時、就業時間前にサバラス宅を訪ねるメリッサとパティの姿があった。
手には二人で相談して購入したイチゴの篭盛りとバケットサンドイッチが提げられていた。
ドアの前に立ち、ノックしようとして物音に気づいた。
薪を割る音だ。裏から聞こえる。
「行ってみる?」
「そうだね……」
二人して小屋の裏手に回る。
そこではサバラスが斧を振り上げて、闊達に薪を割っていた。
「おはようございます!」
メリッサが声をかける。
「なんじゃ、あんたたちは?」
言いながら薪を台に置くサバラス。
「NWSのメリッサとパティと申します。昨日は私どものメンバーに過分なご配慮をありがとうございました。今日はそのお礼とお願いがあってきました」
「礼ならおまえさん方のリーダーに十分尽くしてもらったぞ。願いというのは?」
「はい、出来ましたら女性メンバーにお手洗いをお借りしたいのです。そのためにトイレットペーパーやタオルなどの補充、使用後の掃除を是非させていただければと思うのですが」
「何だそんなことか。別に構わんから好きに使いなさい」
「ありがとうございます!」
手を取りあうメリッサとパティ。
「よし、メシにするか」
上気した顔で言うサバラスに、メリッサとパティは手提げ袋を差し出した。
「あの、よかったらこちらを召し上がってください。バケットサンドイッチとイチゴです」
「おお、気が利くじゃないか。中に入りなさい。コーヒーぐらいは出すぞ」
「ありがとうございます。ではいただきます」
裏口から入ると、小屋の中は朝日でいっぱいだった。
暖炉ではしゅんしゅんとやかんのお湯が沸いている。
物珍しそうにしている二人に苦笑して、サバラスは席を勧める。
「何か面白いものがあったかね?」
「いえ……イメージ通りの雪山の山小屋です。素敵なお住まいですね」
パティが微笑んで言った。
「珍しく客人が来たんでな。少し見栄えを考えた。ミルラ君はもっと殺伐とした印象を持ったろうがな」
メリッサと一緒に包みを解いてテーブルに広げる。
「ほう、こいつは旨そうじゃ!」
艶のある真っ赤なイチゴに、ハムやレタス、トマト、チーズがふんだんに挟まれたバケットサンドイッチは、サバラスの舌を唸らせた。
「うんうん、さすがはパラティヌス、食材もピカイチじゃ」
旺盛な食欲でバケットサンドイッチをぺろりと平らげた。
ほろ苦いコーヒーをいただきながら、メリッサもパティもサバラスの健啖ぶりを嬉しそうに眺める。
「おまえさん方はミルラ君のようなことはなかったのかね?」
サバラスが気遣ってくれる。
「はい」
「防寒着は現地調達しましたから……」
「ウム、おまえさん方は仕事ができると言われとるだろう」
「はい、一応」
「手前味噌ですが」
二人は照れずにきっぱりした態度だった。
「そうじゃろうな。しかし、もう一歩仲間に踏み込んでいたら、昨日のことは防げた。リーダーたちも手が回らんのだろう。積極的にならんとな」
「はい、仰る通りです」
「ミルラから聞きました。サバラスさんが民話の里の方に有無を言わせず防寒着を用意するように進言してくださったとか……」
パティが昨日ミルラから聞いた話を持ち出した。
サバラスはパイプに火を点け、気持ちよさそうにふーっと息を吐いた。
朝7時、就業時間前にサバラス宅を訪ねるメリッサとパティの姿があった。
手には二人で相談して購入したイチゴの篭盛りとバケットサンドイッチが提げられていた。
ドアの前に立ち、ノックしようとして物音に気づいた。
薪を割る音だ。裏から聞こえる。
「行ってみる?」
「そうだね……」
二人して小屋の裏手に回る。
そこではサバラスが斧を振り上げて、闊達に薪を割っていた。
「おはようございます!」
メリッサが声をかける。
「なんじゃ、あんたたちは?」
言いながら薪を台に置くサバラス。
「NWSのメリッサとパティと申します。昨日は私どものメンバーに過分なご配慮をありがとうございました。今日はそのお礼とお願いがあってきました」
「礼ならおまえさん方のリーダーに十分尽くしてもらったぞ。願いというのは?」
「はい、出来ましたら女性メンバーにお手洗いをお借りしたいのです。そのためにトイレットペーパーやタオルなどの補充、使用後の掃除を是非させていただければと思うのですが」
「何だそんなことか。別に構わんから好きに使いなさい」
「ありがとうございます!」
手を取りあうメリッサとパティ。
「よし、メシにするか」
上気した顔で言うサバラスに、メリッサとパティは手提げ袋を差し出した。
「あの、よかったらこちらを召し上がってください。バケットサンドイッチとイチゴです」
「おお、気が利くじゃないか。中に入りなさい。コーヒーぐらいは出すぞ」
「ありがとうございます。ではいただきます」
裏口から入ると、小屋の中は朝日でいっぱいだった。
暖炉ではしゅんしゅんとやかんのお湯が沸いている。
物珍しそうにしている二人に苦笑して、サバラスは席を勧める。
「何か面白いものがあったかね?」
「いえ……イメージ通りの雪山の山小屋です。素敵なお住まいですね」
パティが微笑んで言った。
「珍しく客人が来たんでな。少し見栄えを考えた。ミルラ君はもっと殺伐とした印象を持ったろうがな」
メリッサと一緒に包みを解いてテーブルに広げる。
「ほう、こいつは旨そうじゃ!」
艶のある真っ赤なイチゴに、ハムやレタス、トマト、チーズがふんだんに挟まれたバケットサンドイッチは、サバラスの舌を唸らせた。
「うんうん、さすがはパラティヌス、食材もピカイチじゃ」
旺盛な食欲でバケットサンドイッチをぺろりと平らげた。
ほろ苦いコーヒーをいただきながら、メリッサもパティもサバラスの健啖ぶりを嬉しそうに眺める。
「おまえさん方はミルラ君のようなことはなかったのかね?」
サバラスが気遣ってくれる。
「はい」
「防寒着は現地調達しましたから……」
「ウム、おまえさん方は仕事ができると言われとるだろう」
「はい、一応」
「手前味噌ですが」
二人は照れずにきっぱりした態度だった。
「そうじゃろうな。しかし、もう一歩仲間に踏み込んでいたら、昨日のことは防げた。リーダーたちも手が回らんのだろう。積極的にならんとな」
「はい、仰る通りです」
「ミルラから聞きました。サバラスさんが民話の里の方に有無を言わせず防寒着を用意するように進言してくださったとか……」
パティが昨日ミルラから聞いた話を持ち出した。
サバラスはパイプに火を点け、気持ちよさそうにふーっと息を吐いた。
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