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第6話『ポール、活躍す』
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「はい、続き続き」
アロンが先を促すと、ポールは突然咳き込んだ。
「ゴホッ、ゲホッ、ゲホゲホッ」
「大丈夫ですか?」
ルイスが気を利かせて水を汲んできた。
「あー絶不調……ありがとね。ちょっと切ないモノローグ入れてもいい?」
「どんな?」
トゥーラに聞かれて、物語調に語るポール。
「みんなが幸せだったらよかったのですが、世界にはつらくてかなしいことがいっぱいありました。例えば戦争です」
「続けて」
「えっと、戦争はなにもいいことがありません。からだじゅうケガをするし、家だってメチャクチャ。死んでしまう人がたくさんいます。それなのにどうしても戦争はなくなりません。どうしてでしょうか? こたえはかんたん。戦争をすればしあわせになるとしんじている人がいるからです。そういう人たちに力があるからです」
「いいぞ――!」
マルクの力強い後押し。
「かなしくてつらいことは他にもあります。たとえば病気です。この世界にはお医者様でも治せない病気がたくさんあります。だから、ほんの子どものうちに死んだり、治せないまま病院にかかりきりだったり、治ったと思っても同じ病気になったりします」
キーツが提案する。
「なるほどね。じゃあさ、そこで貧困についても言及しておいたら?」
「ふんふん。それからまずしいこともつらくてかなしいことです。えーっと、戦争で家をなくした人は、おなじところに住めなくてあちこちをうろうろする難民になってしまいます。だれかが助けないとどうにもなりません。このようにまずしさも戦争や病気のようになくなりません」
ナタルが悲しそうに言う。
「なんか子ども心を痛めつけるような展開だね」
アロンがわざと明るく言った。
「ここらで転調といきたいところだね」
「よしよし。そんな人間たちを遠くから見守ってきたものがありました。神様がつくった生命の樹です」
キーツが指を鳴らして言った。
「そうこなくっちゃ!」
「生命の樹はいつも考えていました。どうしたらみんなが幸せになれるのか。どうしたら笑顔がいっぱいの楽しい世界になるのか。そして思いついたのです。わたしのエネルギーをみんなにやろう」
「ストップ。そのエネルギーってどうだろ。通じるけど一般的すぎない?」
オリーブの意見を汲むタイラー。
「じゃあ力とか」
「うん、そっちの方がしっくりくるかな」
「OK! 生命の樹の力はじっさいすごかったのです。あらゆる人のあらゆる生き物のエネルギーの元なので……この使い方はいい?」
「うん、力と使い分けができたわね」
「はいはい。エネルギーの元なので――丈夫な人も病気の人もたちまち元気いっぱいになれるのです。でも、どうしたらみんなに力を分けられるのでしょうか。生命の樹の力は神様がお定めになった分しかわたせなかったのです。生命の樹は神様にお祈りしました。
「神様どうかわたしの力をみんなにたくさんやれるようにしてください」
その祈りを神様はかなえてくださいました。生命の樹に小さな鍵を与えておっしゃいました。
「その鍵をあなたがふさわしいと思う人間に与えなさい。そうすればあなたの力をみんなが受け取れるだろう」
生命の樹は大喜び。そして、人間の中から幸せいっぱいの女の子を選びました」
「核心に迫ってきたね」
「それで、それで?」
キーツとオリーブの期待を受けて、ポールは語る。
「まぁまぁ。女の子は生命の樹のところへ連れてこられました。そして、内緒のお話をして、鍵を預けられたのです。女の子はたくさんの先生にかこまれて、いっぱい勉強と修業をしました。それから7年後、12歳の時に万世の魔女と呼ばれるまでにりっぱに成長しました。万世の魔女はいろんなことができました。火の精や風の精と踊ったり、大地の精や水の精となかよく歌うこと。世界に広がった悪いエネルギーを水晶に閉じ込めたり、砂漠にたくさんの雨を降らせること。光や闇ともお友達でした」
「おおーっ」
「メルヘン一色になったじゃない」
全員の感嘆の後に、オリーブが言い添えた。
アロンが先を促すと、ポールは突然咳き込んだ。
「ゴホッ、ゲホッ、ゲホゲホッ」
「大丈夫ですか?」
ルイスが気を利かせて水を汲んできた。
「あー絶不調……ありがとね。ちょっと切ないモノローグ入れてもいい?」
「どんな?」
トゥーラに聞かれて、物語調に語るポール。
「みんなが幸せだったらよかったのですが、世界にはつらくてかなしいことがいっぱいありました。例えば戦争です」
「続けて」
「えっと、戦争はなにもいいことがありません。からだじゅうケガをするし、家だってメチャクチャ。死んでしまう人がたくさんいます。それなのにどうしても戦争はなくなりません。どうしてでしょうか? こたえはかんたん。戦争をすればしあわせになるとしんじている人がいるからです。そういう人たちに力があるからです」
「いいぞ――!」
マルクの力強い後押し。
「かなしくてつらいことは他にもあります。たとえば病気です。この世界にはお医者様でも治せない病気がたくさんあります。だから、ほんの子どものうちに死んだり、治せないまま病院にかかりきりだったり、治ったと思っても同じ病気になったりします」
キーツが提案する。
「なるほどね。じゃあさ、そこで貧困についても言及しておいたら?」
「ふんふん。それからまずしいこともつらくてかなしいことです。えーっと、戦争で家をなくした人は、おなじところに住めなくてあちこちをうろうろする難民になってしまいます。だれかが助けないとどうにもなりません。このようにまずしさも戦争や病気のようになくなりません」
ナタルが悲しそうに言う。
「なんか子ども心を痛めつけるような展開だね」
アロンがわざと明るく言った。
「ここらで転調といきたいところだね」
「よしよし。そんな人間たちを遠くから見守ってきたものがありました。神様がつくった生命の樹です」
キーツが指を鳴らして言った。
「そうこなくっちゃ!」
「生命の樹はいつも考えていました。どうしたらみんなが幸せになれるのか。どうしたら笑顔がいっぱいの楽しい世界になるのか。そして思いついたのです。わたしのエネルギーをみんなにやろう」
「ストップ。そのエネルギーってどうだろ。通じるけど一般的すぎない?」
オリーブの意見を汲むタイラー。
「じゃあ力とか」
「うん、そっちの方がしっくりくるかな」
「OK! 生命の樹の力はじっさいすごかったのです。あらゆる人のあらゆる生き物のエネルギーの元なので……この使い方はいい?」
「うん、力と使い分けができたわね」
「はいはい。エネルギーの元なので――丈夫な人も病気の人もたちまち元気いっぱいになれるのです。でも、どうしたらみんなに力を分けられるのでしょうか。生命の樹の力は神様がお定めになった分しかわたせなかったのです。生命の樹は神様にお祈りしました。
「神様どうかわたしの力をみんなにたくさんやれるようにしてください」
その祈りを神様はかなえてくださいました。生命の樹に小さな鍵を与えておっしゃいました。
「その鍵をあなたがふさわしいと思う人間に与えなさい。そうすればあなたの力をみんなが受け取れるだろう」
生命の樹は大喜び。そして、人間の中から幸せいっぱいの女の子を選びました」
「核心に迫ってきたね」
「それで、それで?」
キーツとオリーブの期待を受けて、ポールは語る。
「まぁまぁ。女の子は生命の樹のところへ連れてこられました。そして、内緒のお話をして、鍵を預けられたのです。女の子はたくさんの先生にかこまれて、いっぱい勉強と修業をしました。それから7年後、12歳の時に万世の魔女と呼ばれるまでにりっぱに成長しました。万世の魔女はいろんなことができました。火の精や風の精と踊ったり、大地の精や水の精となかよく歌うこと。世界に広がった悪いエネルギーを水晶に閉じ込めたり、砂漠にたくさんの雨を降らせること。光や闇ともお友達でした」
「おおーっ」
「メルヘン一色になったじゃない」
全員の感嘆の後に、オリーブが言い添えた。
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