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第10話『議題を捌く』

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「まず、受付時間を決めようぜ」
 そう言ったのはマルクだった。
「24時間体制にしたから破綻したんだろ? 里に通知出してさ、例えば生産修法の仕事後、1時間に絞るとか」
「あ、それいい。それでも突発的なテレパスを送られた時の対応は、誰か修法者に頼んでみよう。レンナちゃんは声なき者の声を聴く件の窓口になってるから大変だろ」
 ナタルが言って、トゥーラが続く。
「そうね。それから、みんなには申し訳ないのだけれど、ポール一人が対応するのじゃ不備があるかもしれないから、里から依頼があった時のように、話し合いの場を設けてほしいの。仕事後、1時間なら1時間、時間を取ってもらえないかしら?」
「なるほどね、俺は別にいいよ」
 アロンが言うと、みんなめいめいに賛成した。
「ありがと、みんな! 恩に着るよ」
 ポールが言うと、キーツが今さらのように言った。
「初めっからそうすればよかったね」
「忙しいところは手間を惜しみますからね。——童話の里でもNWSに依頼してきた個人なり団体はなかったですし」
 ルイスが言うと、タイラーが考えを話す。
「ポールの独壇場だったのが広く知られてるんだろ。俺たちは保育士に群がる子どもみたいに、まとめた話を聞いていただけだからな。ポールに直接指南してもらった方が早いと考えるのは当たり前だな」
 ランスが一言いって、ポールを安堵させる。
「災難でした」
「いえいえ」
「じゃあ、どうする? 仕事のあと1時間を受付に充てて……協議は土曜日の午前中とか充てる?」
 オリーブが言って、マルクが頷く。
「そうだな。みんなそれぞれ予定もあるだろうから、出席出来るやつだけなるべく参加するとしよう。それとあれだな。やっぱり依頼人にも考えてもらうところは考えてもらわないとダメだな。原案は出してもらうようにした方がいい」
 ランスが続く。
「私もそう思います。今回の奇跡は多くの人が参加したからこそ、本という形になったのであって、丸投げされるようではうまくないでしょう」
「依頼してくるってことは、その人にもイメージやらアイディアがあるって証拠だもんね。それをつぶさに聞いたほうが提案はしやすいかな」
 ナタルが言って、タイラーがボソッと呟いた。
「……そういうのは守備範囲外なんだがなぁ」
 聞きつけたオリーブが注意する。
「苦手のなんのという理由で拒絶しない! できなきゃできないで他に何で協力できるか考えなさい」
「はい」
「よろしい」
 ポールと一緒で、既に尻に敷かれているタイラーだった。















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