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第11話『一心不乱』
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そこで薄暗かった周囲は明るくなって、元の集会所に戻ってきた。
「さぁ、みんな、今だ!」
ナタルの号令を受けて、マルク、タイラー、アロンがおもちゃのケースを持って走り出した。他のみんなも走ってついていく。
急いで広場の噴水へ――!
「余韻に浸る暇もないね……!」
ポールはもう鼻をつまんでいなかった。トゥーラが答える。
「一刻も早く、おもちゃを子どもたちに返さないと!」
迫る夕闇の中、十人の動きは素早い。
噴水に着くなり、ケースをひっくり返す。ランスが文字通り水盤に粉石鹼をぶちまける。
めいめい手に持っておもちゃを洗い始めると、たちまち小さな噴水は泡でもわもわ
膨れ上がった。
「よし、キレイになれ、キレイになれ!」
ナタルが念じながらぬいぐるみを懸命に洗う。その気持ちが伝染してみんなの作業も念入りになる。
「寒かったね、冷たかったね。今、そこから連れ出してあげるからね」
オリーブは泣いていた。その隣でタイラーが泡が飛び散るほどに人形を強く洗っている。まるで子供たちに体温を分け与えるかのようだった。
「もう少しだからね、頑張れ!」
「必ずお父さんとお母さんに会わせてやるからな」
マルクとアロンに額にも汗が光る。
「お日様の下でいっぱい遊びましょうね」
「友達いっぱい作ろうな」
ランスとルイスは洗いながら、ぬいぐるみや積み木、人形を何度も何度も撫でてやっている。
「僕の部屋にも遊びに来てよ。このピアノは壊れちゃったけど、本物のピアノで一緒に大好きな曲を弾こう!」
キーツは壊れた小さなピアノでドレミを弾いた。
——本当は、光の世界に還ってきたら、すぐに魂浄めをして、銀霊鳥になって星の野原を目指してもらわなくてはならない。
でも、そんな野暮なことは誰も口にしなかった。
みんな知っていたのだ。
子どもたちの魂はおもちゃと一緒に、汚染していく湖の底に沈んでいたことを。
ずっとお父さんとお母さんが迎えに来てくれるのを待っていたことを。
「さぁ、みんな、今だ!」
ナタルの号令を受けて、マルク、タイラー、アロンがおもちゃのケースを持って走り出した。他のみんなも走ってついていく。
急いで広場の噴水へ――!
「余韻に浸る暇もないね……!」
ポールはもう鼻をつまんでいなかった。トゥーラが答える。
「一刻も早く、おもちゃを子どもたちに返さないと!」
迫る夕闇の中、十人の動きは素早い。
噴水に着くなり、ケースをひっくり返す。ランスが文字通り水盤に粉石鹼をぶちまける。
めいめい手に持っておもちゃを洗い始めると、たちまち小さな噴水は泡でもわもわ
膨れ上がった。
「よし、キレイになれ、キレイになれ!」
ナタルが念じながらぬいぐるみを懸命に洗う。その気持ちが伝染してみんなの作業も念入りになる。
「寒かったね、冷たかったね。今、そこから連れ出してあげるからね」
オリーブは泣いていた。その隣でタイラーが泡が飛び散るほどに人形を強く洗っている。まるで子供たちに体温を分け与えるかのようだった。
「もう少しだからね、頑張れ!」
「必ずお父さんとお母さんに会わせてやるからな」
マルクとアロンに額にも汗が光る。
「お日様の下でいっぱい遊びましょうね」
「友達いっぱい作ろうな」
ランスとルイスは洗いながら、ぬいぐるみや積み木、人形を何度も何度も撫でてやっている。
「僕の部屋にも遊びに来てよ。このピアノは壊れちゃったけど、本物のピアノで一緒に大好きな曲を弾こう!」
キーツは壊れた小さなピアノでドレミを弾いた。
——本当は、光の世界に還ってきたら、すぐに魂浄めをして、銀霊鳥になって星の野原を目指してもらわなくてはならない。
でも、そんな野暮なことは誰も口にしなかった。
みんな知っていたのだ。
子どもたちの魂はおもちゃと一緒に、汚染していく湖の底に沈んでいたことを。
ずっとお父さんとお母さんが迎えに来てくれるのを待っていたことを。
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