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第15話『シエナの分析』

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「将来は野球かサッカーをできるくらい、ってあるかも」
「それはないよー! 私もう33歳だよ」
「わかりませんよ。縁があれば養子縁組だって成立しますもん。実際、オリーブさん子ども好きだし、その度量はあると思うな」
「あ、そうか……でも、タイラーが子どもは苦手だって言ってたよ?」
「タイラーさんは基本、オリーブさんがこうと言えば反対しませんよ。それくらい腕を広げてオリーブさんのこと全部受け入れてますから。そうじゃなかったら、そんな不毛な片思いを終わらせる手伝いなんて誰もしませんから」
「……そうだよね。タイラーって変わってるよね」
「奇特な人だと思いますよ。男の人にとって不毛な片思いくらい厄介な障害はないですから。常に比較されるし、おまけに執着も半端じゃないですし、普通なら匙投げてますね」
「タイラーが普通じゃないのは知ってるつもりだけど……」
「というか、要は自信家なんです。必ずオリーブさんを振り向かせてみせるっていう……ああ、ドラマチック!」
 シエナも自説に酔ったところがある、とオリーブは思った。
「まぁ、そうだとして。現実はそうでもないんじゃない? 全然ロマンチックじゃないしさ、私」
「でも、Aは出来たんでしょ?」
「う」
「ロマンチックじゃないのがロマンチック。タイラーさんにとってオリーブさんそのものがロマンなんですから、オリーブさんの自己否定なんて全然へっちゃらですよ」
「……」
 オリーブはシエナの言葉をよくよく考えてみた。そして、不思議と符合するところが多いのを認めないわけにはいかなかった。
「だから、オリーブさんはどっちかというと女らしさに固執するよりも、自分らしさにこだわった方が断然上手くいく、という結論でした」
 すると、この会話を黙って聞いていたミルラが言った。
「さすがシエナさん、説得力ありすぎ!」
「ありがと」
「私も占ってくださいよー!」
「占いじゃなくて分析だよ? でもそうね、ミルラが恋を成就させるのはそんなに難しくないけど。独自性を磨いた方がいいかな。じゃないと気づけば外見しか見てくれない男しか側にいない、なんてことになりかねないよ」
「えーっ、お先真っ暗! 何とかしてくださいよ、オリーブさん」
「……ミルラなら料理で男を掴めるよ」
「よしっ、それでいこう。とりあえず生産修法をパーフェクトに……」
 やれやれと思いながら、オリーブはころんとしたサツマイモを作った。
 ——これでスイートポテトとか作ったら、タイラーが爆笑するんだろうな。
 いっそ、作って腹を捩らせてやろうか、と思うオリーブだった。













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