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13時46分。いつも通り15分くらい前にバイト先につくと、タイムカードを押して更衣室に向かった。更衣室は社員証がないと入れない仕様になっていて、社員証がカードキーの代わりにもなっていた。
基本的に受付は1人でするため、交代する時にしか他の社員やバイトには会わない。ただ受付は1箇所という訳でもなく、案内所やバイト先の事務所も併設されているためたまに顔を合わせることもあった。
今日は更衣室には誰もいなくて安心した。人がいると挨拶したり、少し雑談で話しかけられたりしてあんまり居心地は良くない。他の社員の人達が嫌いとかではない。でも自分が変に思われたらどうしようという、謎の自己肯定感の低さが出てしまう。
1人用の細長いロッカーを開け、パパッと制服に着替える。ポロシャツに黒のスラックスがここの基本的な制服。靴はなんでもいいらしいから、みすぼらしいがボロボロのスニーカーのままだ。
6月下旬なのに白のトレーナーを着ていたのは、咲久が極度の寒がりだから。体温調整が苦手なのか季節の変化が感じにくかった。そのため制服の上から黒の薄手のカーディガンを着ている。
貴重品は常に持ち歩かなくては行けないため、持ってきたトートバックのまま受付にいく予定だ。
「うん、まだちょっと時間あるな」
この余った時間が好きだった。更衣室に1人なら尚更。咲久は自分のロッカーの前にしゃがむとスマホを取り出した。
また通知が溜まっている。
アプリを開きスクロールすると、公務員の人から返信が届いていた。
「ありがとうございます。お名前、なんとお呼びしたらいいですか?」
これまた丁寧な返信だった。公務員ってすごいななんて、周りにいなかったら思うのかな。
「サクって呼んでください。俺はなんて呼んだらいいですか?」
ユーザー名はサクにした。あまりにかけ離れたユーザー名だと、自分で設定した名前を忘れそうだったから。
ピコン
「サクさんですね。とりあえずRって呼んでもらえると嬉しいです。」
すぐに返信が来たから少し驚いたが、バイトの時間が迫っていたことに気づいて「分かりました。」なんて適当な返信をしてスマホを閉じた。
「おはようございます。交代です。」
受付に行き、今日の担当の人と交代する。特に話すこともないが、最低限の引き継ぎはしていた。
「崎野さん、おはようございます。」
にこやかに返事をするのはパートの人。女の人でここに務めて6年以上経っているらしい。
「今日はね16時くらいに2階の個室オフィスが予約されているのと、あとは…いつも通り特にないかな」
「わかりました。お疲れ様です。」
同じ受付に配属されている人達は、あまり雑談をしてこないから引き継ぎの時も緊張しなくて済むのが嬉しい。
お互い挨拶をしてそそくさと持ち場に着いた。パートの人は軽く会釈をすると事務所に向かった。
受付の仕事特にすることもない。個室オフィスの受付がたまに来るから電話をとったり、たまに落し物の対応をするくらいだ。
事務作業も午後は特にすることがなく、掃除のチェックシートを埋めたりレジのお金を合わせるくらいだった。
あまり言っていいことでは無いが、最低賃金でも楽にお金を稼げるのは咲久の性格にとてもあっていた。
「こんにちは~」
「お疲れ様です~」
受付の前を通りかかる利用者に挨拶をするくらいが、咲久に任された午後の仕事だった。
引き継ぎにあった16時からの予約にはまだ2時間もある。今日はどんなことをして時間を潰そうかなと考えながら、咲久は目の前に置いてある受付のパソコンに目を移した。
基本的に受付は1人でするため、交代する時にしか他の社員やバイトには会わない。ただ受付は1箇所という訳でもなく、案内所やバイト先の事務所も併設されているためたまに顔を合わせることもあった。
今日は更衣室には誰もいなくて安心した。人がいると挨拶したり、少し雑談で話しかけられたりしてあんまり居心地は良くない。他の社員の人達が嫌いとかではない。でも自分が変に思われたらどうしようという、謎の自己肯定感の低さが出てしまう。
1人用の細長いロッカーを開け、パパッと制服に着替える。ポロシャツに黒のスラックスがここの基本的な制服。靴はなんでもいいらしいから、みすぼらしいがボロボロのスニーカーのままだ。
6月下旬なのに白のトレーナーを着ていたのは、咲久が極度の寒がりだから。体温調整が苦手なのか季節の変化が感じにくかった。そのため制服の上から黒の薄手のカーディガンを着ている。
貴重品は常に持ち歩かなくては行けないため、持ってきたトートバックのまま受付にいく予定だ。
「うん、まだちょっと時間あるな」
この余った時間が好きだった。更衣室に1人なら尚更。咲久は自分のロッカーの前にしゃがむとスマホを取り出した。
また通知が溜まっている。
アプリを開きスクロールすると、公務員の人から返信が届いていた。
「ありがとうございます。お名前、なんとお呼びしたらいいですか?」
これまた丁寧な返信だった。公務員ってすごいななんて、周りにいなかったら思うのかな。
「サクって呼んでください。俺はなんて呼んだらいいですか?」
ユーザー名はサクにした。あまりにかけ離れたユーザー名だと、自分で設定した名前を忘れそうだったから。
ピコン
「サクさんですね。とりあえずRって呼んでもらえると嬉しいです。」
すぐに返信が来たから少し驚いたが、バイトの時間が迫っていたことに気づいて「分かりました。」なんて適当な返信をしてスマホを閉じた。
「おはようございます。交代です。」
受付に行き、今日の担当の人と交代する。特に話すこともないが、最低限の引き継ぎはしていた。
「崎野さん、おはようございます。」
にこやかに返事をするのはパートの人。女の人でここに務めて6年以上経っているらしい。
「今日はね16時くらいに2階の個室オフィスが予約されているのと、あとは…いつも通り特にないかな」
「わかりました。お疲れ様です。」
同じ受付に配属されている人達は、あまり雑談をしてこないから引き継ぎの時も緊張しなくて済むのが嬉しい。
お互い挨拶をしてそそくさと持ち場に着いた。パートの人は軽く会釈をすると事務所に向かった。
受付の仕事特にすることもない。個室オフィスの受付がたまに来るから電話をとったり、たまに落し物の対応をするくらいだ。
事務作業も午後は特にすることがなく、掃除のチェックシートを埋めたりレジのお金を合わせるくらいだった。
あまり言っていいことでは無いが、最低賃金でも楽にお金を稼げるのは咲久の性格にとてもあっていた。
「こんにちは~」
「お疲れ様です~」
受付の前を通りかかる利用者に挨拶をするくらいが、咲久に任された午後の仕事だった。
引き継ぎにあった16時からの予約にはまだ2時間もある。今日はどんなことをして時間を潰そうかなと考えながら、咲久は目の前に置いてある受付のパソコンに目を移した。
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