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しおりを挟むまだ雪も残るような寒さなのに、スヤスヤ吞気に寝ている赤ん坊。食人鬼の赤ん坊なんて初めて見たからビックリした。どうやらあのガサガサとした音は赤ん坊が寝返りを打つ音だったみたい。
そっと触れてみると、なんとなく温もりみたいなのが伝わってくる。一応ボロ布みたいなのは纏ってたけど、それだけで、流石に俺でもこのままだとすぐ死んじゃうだろうなってわかった。
気が向いた、というか、魔が差したというか……
腹ぺこで、どうしようもなくて洞窟から出てきたはずなのに、いつのまにか山菜を諦めて、赤ん坊を持ち帰ってたんだよね。すぐ死にそうだし、同族の赤ん坊なんて初めて見たし、なんとなく目が離せなくて。
正直その後どうするかなんて全然考えていなかったし、赤ん坊を育てるなんてどうやったらいいかもわからない。ただ、ギュッと胸に抱え込んだ時のとくとく脈打つ感覚がしてなんとなく離れなかった。
すやすや眠って見えた赤ん坊だけど、もしかしたら寒くて危ない状態だったのかもしれない。
火を焚いて、ギュッと抱いて、ゆらゆら揺らしてたらパチッと目を覚ましたんだ。その時の目ん玉がキラキラ輝いてて、どんな石ころよりころころまん丸かった。
あっ、目が合ったなあって思ったらぎゃんぎゃん泣き出したから本当にビックリしたけどね。
森の動物たちが赤ん坊にしてたみたいに乳を飲ませようとして乳首に赤ん坊を当ててみたけど、ぎゃんぎゃん泣くだけだし。
俺の乳じゃダメなのかって気づいてからは、絞ると白くてどろっとした甘い汁が出るセイの実を必死に集めてあげた。
まぁ、そうまでしたらもう離れられないよね。俺の大好きなキノコの見た目を参考に、シモンなんて可愛い名前まで付けちゃった。
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