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「こうたにもあげよっか。ペンタックスのふせん、人気だから持ってたらキャーキャー言われるわよー」

「いや、いいよ。姉ちゃんみたいにふせんいっぱい貼ってたらノートがパンパンになるし」

「そう?欲しくなったらいつでも言うのよ。別にノートに貼るだけが目的じゃないし。手紙代わりのメッセージにも使えるんだから」

それこそ使いようがない。

僕は手紙なんておろか、メッセージなんて同級生に残したことなんてない。

メモで残すくらいなら直接言うか、伝言を選ぶ。

女子達はよく手紙の渡しあいっこをしているみたいだけど、僕は字を書くとしたら板書きを写す時くらいだ。

書道教室に通っていたけど、何か特別書きたいって気持ちが出てくるわけでもない。

書道教室は中学校入学を機に辞めてしまったけど、3年間も通ったおかげで字はそれなりに上手だ。

自分で言ってしまうくらい。

でもうまく書けるのは習った字だけで、!?みたいな記号や☆◇みたいな図形は好き勝手に書いてしまうから下手だった。

「あ、こうた。これ、どうしたの?見つかったの?」

足元に置いた鞄からキーホルダーを目ざとく見つけた姉ちゃんが声を上げた。
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