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「うみちゃんからは特に何もないよ」

それはうみちゃんへふせんを送った時もそうだし、なっちゃんへふせんを送った時も、だった。

うみちゃんからのアクションは特にない。

「ほら、名前書かなくて良かったでしょ?全く反応がないってことは、うみちゃんじゃない可能性もあるってことだから」

「えー、姉ちゃん絶対うみちゃんだって言ったじゃん」

姉ちゃんが意外なことを言うから、つい手に力が入ってシャーペンの芯をポキッと折ってしまった。

折れた芯を捨てつつ、鞄からペンケースを取り出す。

「私、絶対なんて言ってないわよ。うみちゃんだと思う、しか言ってないもの」

言葉的にはそうかもしれないけど、意味合い的にはうみちゃんだと断定していた。

「じゃあうみちゃん以外だったら誰だって言うんだよー」

「それは知らないわよ。私こうたと違って誰とも接してないんだからわからないわ」

確かにそうだけど。

ムーッと顔をしかめながらペンケースのチャックを開けると、取り出したシャーペンの芯と共に何かが出てきた。

小さく折り畳まれた、紙。

何だろう?

何か紙くずを入れていたっけ?

授業中、手持ち無沙汰で何かを書いて、捨てそびれた物でも入れたかな?

記憶にないけど。

でもごみならグシャッとしてそうだし、こんなに綺麗に折り畳まないと思うんだけど。

怪訝に思いながら四つ折にされた紙を開いて驚いた。

何か書いてあったのだ。

僕じゃない字で。

「何だこれ」

思わず声を上げると姉ちゃんも紙を覗き込んできた。
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