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1.噂のクラスメイト

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そしてオレに飛びかかって来た。

「それは本当か!?」

「うわーっ、だから噂だって」

兄キの大げさなパフォーマンスのせいでオレはよろけ、しりもちをついてしまった。

これは兄キが飛びかかって来たからで、当然兄キもオレと一緒に倒れこんでいる。

オレがクッションになっているから兄キは無傷だ。

しかし男二人がくっついているこの光景を見た人は明らかに不審なやつらだと思うだろう。

「そうか、じゃあ明日は本当かどうか確かめなくっちゃな」

「そ、そうだな。それより兄キ、早くどいてくれ」

「明日の学校が楽しみだぜ。な?」

「いや、オレは別に。だから早くどいて…」

「バカやろう。ここは合わせて楽しみだって言うところだろ!」

「うるせー。早くどけ!」

ちっとも場を動こうとしない兄キに苛立ち、オレは兄キの体ごと押しのけた。

兄キは転んでひじをぶつけていたが、そんなことは関係ない。

兄キもクスミのことを思い出せば痛みは消えてしまったようだ。

そんなことより、話はとっとと翌日へと進む。

翌日、早速オレと兄キはクスミの噂の真相を確かめる為、夏休み明け早々学年一情報通と言われている別クラスの茉に話を聞くことにした。

茉は噂話でも何でもとにかく耳にするのが早い。

女ならではの何とかっていうものが身についているのだろう。

ちなみにオレがクスミの噂を知っているのも、この茉に聞いたからである。

「UFOキャッチャー?」

「そう。前言ってなかった?クスミが得意って」

茉に会うなり、オレはすぐにこの質問をぶつけた。

この真相を聞きたいのは兄キなのだが、兄キはオレの背後に身を隠したまま聞き耳だけ立てている。

家に女姉妹がいないから、兄キは異性と話をするのがあまり得意ではない。

だからサシで話をしたい時は、たいていオレが仲介役をやらされる羽目になる。

嫌ではないが、面倒だ。

「あー、うん。クスミさんね。得意よ」

茉が何かを思い出したようにそう言うと、一瞬兄キがオレの背後から顔を覗かせ、またすぐ引っ込んだ。

兄キ、モグラ叩きみたいにちょこまか動くのはやめてくれ。

茉は全然気にしてないがオレが気になって仕方ない。

「中学の修学旅行でさー、私クスミさんと同じ班だったのよ」

「へぇ」

「で、自由時間の時、UFOキャッチャー見つけるなりすぐやりだしたのよ」

「え?修学旅行でいきなり?」

「クスミさんの好きなキャラが入ってたらしくてね」

「ふーん」

で、クスミの好きなキャラってやつがNキャラだったら笑うけどな。
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