*いにしえのコトノハ*9 苦くて、甘くて、時々しょっぱい

N&N

文字の大きさ
25 / 29

24

しおりを挟む
旅行は二泊三日だったから、昨日帰ってきている。

グループメッセージで無事帰宅の報告があったから、今回の旅行も何事もなく終了したようだ。

一応、家に着くまでが旅行と位置づけて、メンバー全員自宅に到着したことをグループメッセージで報告して完了となる。

解散した場所から自宅に戻るまでに何かあったら大変だ。

しかし全員問題なく帰れたようだ。

今回旅行に参加しなかったオレはどうしようか迷ったが、全員報告が決まりなので、「おかえり」と送っておいた。

すると、すぐさま『次は絶対一緒に行こう』という誘いと『今回は残念』という励ましの反応があって、ホロリとした。

ちゃんとオレの存在も忘れずにいてくれたことが嬉しかった。

もちろんワッキーからも反応はあって

『つづく』

という謎の言葉が返ってきた。

これはよく漫画やドラマなんかの最後にあるのと同じで、次回につづく、という意味らしい。

確かに旅行はこれで終わりではないし次回もあるのだが、少し考えさせられる言葉を送ってくるあたり、同い年からぬチョイスだなと思ったりした。

そんなワッキーの元へ、本の整理をするふりをして近づく。

「よっ、どうしたんだ?」

ワッキーは会話していることがバレないように、本に目線を預けたまま淡々と答える。

「メッセージを送ったが反応がないのでこっちへ来た」

「あ、悪い。暇ができたんでバイトを入れたんだ」

「時間の有効活用だ。すばらしい」

眼の前で褒められて気分が上がる。

ワッキーは正直なので、褒められると嬉しくなる。

「君たち、変わった話し方するね」

いつの間にか背後に忍び寄っていた店長に声をかけられ、オレは驚き振り向いた。

店長の、気配を殺して近づく忍術には時々度肝を抜かれる。

「誰にも迷惑がかからない方法を編み出した結果です」

店長が現れてもワッキーは本に向かって答えている。

「ワッキーくんは友達とお店思いだねぇ」

ワッキーはこのコンビニの常連で、オレの友達ということもあってか、店長も親しみを込めてあだ名で呼んでいる。

「プーさん、今日は午前中まででいいよ。ワッキーくん来てくれてるし」

「えっ」

今日もフルタイムで入ろうと思っていた。

休日予定がない時は、朝8時から夕方5時まで働いているのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―

MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」 「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」 失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。 46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。

罪悪と愛情

暦海
恋愛
 地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。  だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――

処理中です...