21 / 203
2.新居からの新生活
21.聞く方にも覚悟がいる
しおりを挟む
教室中が騒然となったので、今のうちにとお弁当をかき込んだ。
「ひ、否定しない、ってことは肯定ってことだね?」
「キョウちゃんはサクセスした……」
覚悟して受け入れはしたけど、傍から見たら襲われたってことになるか。
「女と男の機微って微妙でしょ? 旦那様の名誉に関わるので──」
「旦那!」
「グフッ」
二人が吐血しそうな勢いで噴いた。
「だ、大丈夫? 二人とも」
「は、話して……死んでも死にきれない」
「ふぅ~、ふぅ~」
死んだらダメでしょ。てか、死なないでよ?
昨夜のことなら婚姻後だから問題ないか……。
「二人、対面でご飯を食べたの。お手伝いさんは帰っていないから二人っきり」
「そこから? でも、ご飯は大事」
「ふんふん」
「ご飯を食べ終えて休んでいるとお風呂が入ったってチャイムが鳴って……」
「ふ、お風呂」
「まさか……」
「どちらが先に入るか譲り合ってたら、だん──主人が……」
「ウグッ! しゅ、主人」
「まだ……お風呂に入るまでは保って、私の心臓」
「もう、止めようか? 想像通り一緒に入ったのよ?」
「一緒に、お風呂……」
「まだ、まだ心臓は動いて、いる……うぐっ」
男子二人のお弁当が紅く染まる……。君たち、興味を優先する前に耐性をつけた方がいいよ。
見回したら周りの女子も死屍累々の態をなしている。
「男子のワイ談はエグいってネットで言ってたけど……
「一緒に風呂……未知の領域」
「……私は、もうダメだわ」
「風呂くらいで……ゴホッ、ゴホッ」
お風呂を一緒に入るってだけこれ程とは……。でも全然、話してないんだけどね?
この先、オブラートに包んで話しても婦夫の秘めごとまで言うのはダメだろうな。
ネットに溢れているのは、想像の域を出ていないから仕方ないのかもね。所詮は虚構だと捉えているのかも。
まあ、現実も紛れているんだろうけど判断材料も少ないので検証もできないだろうし、何より当事者の男子から言うことで生々しさがアップされて感じるのかも。
ボクはご飯も食べ終わったし、時間を確認するとそろそろお昼休みの時間も終わりだ。
「きょ今日はこれくらいにしとこう、か?」
「一日、生き延びた」
「同意」
ガタっという教室のドアの方の音に振り返るとアンナさんのブラウンブロンドが見えた。ドアの向こうで倒れている。
また覗いていたのか? ちゃんとご飯食べたんだろうか。
午後からの四時限は、保体倫理。正式には保健体育・生殖倫理だ。
女子は体育でサッカーをやってるらしい。
男子は、おじさん先生、生垣先生が生殖倫理の座学授業にあたる。五十代と聞くその見た目はもっと年上でくたびれて見える。
全校の男子が搾精室横の待機室に集まり授業を受ける。
運の悪いことに、今日の内容は婦夫生活の送り方で、ボクたちにはタイムリー過ぎた。
「先生! 蒼屋キョウくんが結婚しています」
授業が始まるやいなや、ミナちゃんが曝露した。
「ほう……。婚約はありますが、高校に通っている人は卒業間近や卒業してから婚姻するのが通例ですから早いですね」
では、と言って男子の婚姻による有為性について語っていく。
「──ですから、多くの女性と婚姻し、たくさん子供を儲けることで社会が安定し、人が種族として安定するのです」
話は婚姻の話から原初に戻り、絶滅した男を復活させるため女から生み出されたこと。遺った男の遺伝子を基礎に調整したため、旧男性の弱点をカバーできているはず。
だけれども、まだ途上で男性の母数を増やすため子を作り、調整を続けなければいけない、と告げた。
「女性に男の遺伝子の大分を受け持ってもらっています。我々は女性から生まれたので女性の部分もあるのです。女も男も互いに助け合っているのです──」
だから、多少のことは、許してあげましょう、と締めくくった。
「先生、蒼屋くんに新婚生活の様子を聞かせてほしいです」
ミナちゃん。あんた、それほど聞きたいのか?
「ふむ……。この中で婚約している人は?」
ボクも含めて先生たちが部屋を見回すと五~六名が恥ずかしそうに手を挙げていた。
皆、上級生で三年生が多い。やっぱり一年では早いんだ。
「蒼屋さん、話せる限りで話してかまいませんよ。本来、秘められるべき事柄です。皆さんも聞いたことは口外しないように」
生垣先生に手招きされて、しぶしぶ上座に移動した。話さなきゃダメか……許せる限りと言ってもねえ。
「ひ、否定しない、ってことは肯定ってことだね?」
「キョウちゃんはサクセスした……」
覚悟して受け入れはしたけど、傍から見たら襲われたってことになるか。
「女と男の機微って微妙でしょ? 旦那様の名誉に関わるので──」
「旦那!」
「グフッ」
二人が吐血しそうな勢いで噴いた。
「だ、大丈夫? 二人とも」
「は、話して……死んでも死にきれない」
「ふぅ~、ふぅ~」
死んだらダメでしょ。てか、死なないでよ?
昨夜のことなら婚姻後だから問題ないか……。
「二人、対面でご飯を食べたの。お手伝いさんは帰っていないから二人っきり」
「そこから? でも、ご飯は大事」
「ふんふん」
「ご飯を食べ終えて休んでいるとお風呂が入ったってチャイムが鳴って……」
「ふ、お風呂」
「まさか……」
「どちらが先に入るか譲り合ってたら、だん──主人が……」
「ウグッ! しゅ、主人」
「まだ……お風呂に入るまでは保って、私の心臓」
「もう、止めようか? 想像通り一緒に入ったのよ?」
「一緒に、お風呂……」
「まだ、まだ心臓は動いて、いる……うぐっ」
男子二人のお弁当が紅く染まる……。君たち、興味を優先する前に耐性をつけた方がいいよ。
見回したら周りの女子も死屍累々の態をなしている。
「男子のワイ談はエグいってネットで言ってたけど……
「一緒に風呂……未知の領域」
「……私は、もうダメだわ」
「風呂くらいで……ゴホッ、ゴホッ」
お風呂を一緒に入るってだけこれ程とは……。でも全然、話してないんだけどね?
この先、オブラートに包んで話しても婦夫の秘めごとまで言うのはダメだろうな。
ネットに溢れているのは、想像の域を出ていないから仕方ないのかもね。所詮は虚構だと捉えているのかも。
まあ、現実も紛れているんだろうけど判断材料も少ないので検証もできないだろうし、何より当事者の男子から言うことで生々しさがアップされて感じるのかも。
ボクはご飯も食べ終わったし、時間を確認するとそろそろお昼休みの時間も終わりだ。
「きょ今日はこれくらいにしとこう、か?」
「一日、生き延びた」
「同意」
ガタっという教室のドアの方の音に振り返るとアンナさんのブラウンブロンドが見えた。ドアの向こうで倒れている。
また覗いていたのか? ちゃんとご飯食べたんだろうか。
午後からの四時限は、保体倫理。正式には保健体育・生殖倫理だ。
女子は体育でサッカーをやってるらしい。
男子は、おじさん先生、生垣先生が生殖倫理の座学授業にあたる。五十代と聞くその見た目はもっと年上でくたびれて見える。
全校の男子が搾精室横の待機室に集まり授業を受ける。
運の悪いことに、今日の内容は婦夫生活の送り方で、ボクたちにはタイムリー過ぎた。
「先生! 蒼屋キョウくんが結婚しています」
授業が始まるやいなや、ミナちゃんが曝露した。
「ほう……。婚約はありますが、高校に通っている人は卒業間近や卒業してから婚姻するのが通例ですから早いですね」
では、と言って男子の婚姻による有為性について語っていく。
「──ですから、多くの女性と婚姻し、たくさん子供を儲けることで社会が安定し、人が種族として安定するのです」
話は婚姻の話から原初に戻り、絶滅した男を復活させるため女から生み出されたこと。遺った男の遺伝子を基礎に調整したため、旧男性の弱点をカバーできているはず。
だけれども、まだ途上で男性の母数を増やすため子を作り、調整を続けなければいけない、と告げた。
「女性に男の遺伝子の大分を受け持ってもらっています。我々は女性から生まれたので女性の部分もあるのです。女も男も互いに助け合っているのです──」
だから、多少のことは、許してあげましょう、と締めくくった。
「先生、蒼屋くんに新婚生活の様子を聞かせてほしいです」
ミナちゃん。あんた、それほど聞きたいのか?
「ふむ……。この中で婚約している人は?」
ボクも含めて先生たちが部屋を見回すと五~六名が恥ずかしそうに手を挙げていた。
皆、上級生で三年生が多い。やっぱり一年では早いんだ。
「蒼屋さん、話せる限りで話してかまいませんよ。本来、秘められるべき事柄です。皆さんも聞いたことは口外しないように」
生垣先生に手招きされて、しぶしぶ上座に移動した。話さなきゃダメか……許せる限りと言ってもねえ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる