41 / 203
2.新居からの新生活
41.ベッドの秘密
しおりを挟む
「おおおっ!」とタマちゃんの大きな感嘆で皆がこちらに興味を示した。
マキナ、なんて物を隠してるんだよ!
「タマちゃん、そこはダメ!」
引き出しを押し込むとタマちゃんを羽交い締めしてベッドから引き離した。
「……今夜は寝かさない?」
寝かさない? って何。
タマちゃんの独白に何だろうと視線を追うとボクの携帯端末に表示された通信文を読んでいた。
〔キョウ! 首──身体を洗って待っていろ! 一晩中お仕置きだ!! 今夜は寝かさ──〕
読んでいたら涙がにじんで画面が見えない。
最悪だ~! どうして……こんな事に。
「なんかあったのか?」
「なんでしょう……か?」
皆の興味が集まって来てしまった。取りあえずタマちゃんにもレッドカードだ。
「キョウちゃん、オール|(ナイト)でお仕置き、決定」
そして、耳目を向ける皆にタマちゃんが曝露してしまう。やめて~。
「そ、そうです、か?」
「良かった、な?」
見回すと同情なのか達観なのか、複雑な表情をして目線を伏せている。
心無しか、赤井さんや護衛のふたりも顔を伏せて肩を小刻みに揺らしていた。
よく見ると携帯端末を握っている。マキナから指令が行ったのかもしれない。
皆、助けてくれて良いんですよ。
五月ヶ原くんだけは、苦い表情だけど。
「テラスを見てよ。凄いよ?」
話題を変えようとしてみたが反応は芳しくない。机や本棚の三人は何やら落胆してる。
たぶんアレな本を探してたんだろうけど、私物はほとんど持って来てないからね?
タマちゃんが、もう分かったと拘束を解くように懇願してくるので放した。ところが、だ。
「クローゼットがない?」
想定通りにタマちゃんが気づいてしまう。気づいちゃったか……。
ベッドに座っていた水無ちゃんが、それだ! っと叫んでガバッと立ち上がった。
それはそれとして、テラスでも見ないかと再度、誘導するけど失敗した。
「別の部屋に置いてるから、ここにはないよ」
「あり得ない」
「そうだよな? キョウちゃん、今すぐ普段着か部屋着に着替えてよ」
「グッ……それは……」
チラッとクローゼットの鏡の壁を見たら五条先生がそこで仁王立ちしてこちらを見てる。まさに扉になった鏡の前だ。
鏡のナゾに気づいた、けど守ってくれている? まさか、ね?
トテトテとタマちゃんが五条先生の方、鏡に向かって行く。なんて鋭いんだ。
てか、鏡張りってどこのダンススクールだよ? って感じだもん。
タマちゃんを開放したのは間違いだった。その歩みの後ろを付いていく。
安易に引き戻すのは愚策だ。「そこには有りませんよ(振り)」に等しい。
皆を見回すけど、各々好き勝手していて気づいていないが、助けてくれそうにもない。
そこのマキナ側のひと、なんとかして!
鏡の壁に向かうタマちゃんを放ってもおけず、そのあとを付いていく。
鏡の前に着くと鏡面を凝視したり、顔を近づけて見たりしている。
内心は焦っているけど、挙動に出さないように平静を装ってはいる。
ドアの側の赤井さんや護衛の歩鳥さん、斎木さんに目配せしても反応が薄い。
まあ、クローゼットが見つかったからと言って彼女たちには然したる問題ではないのだろうが。
と、赤井さんの表情が歪んだと思ったら、いきなりスカートを捲られた。
「ほいっと!」
「きゃん!」
「うわっ! イヤらしい下着穿いてる」
いつの間にか後ろに付いてきていた水無ちゃんが、ボクのスカートの裾を捲ってきていた。
「見て見てタマちゃん」
「やめて、水無ちゃん」
水無ちゃんがタマちゃんにも見せようとスカートを掴んで放さない。
その手に抗うが、さらに身体が抱えられてスカートを押さえられない。
「むふっ……ん、ん~?」
「ほらほら、ヒモだよ、ヒモ」
「知ってる」
タマちゃんが鏡から目を離してこちらを見てきた。ボクの方に来るか留まるか、首を傾げて逡巡してる。
興味を鏡から外せはしたが、こんなのは不本意だ。
今日も布面積の少ない下着を穿いている。穿いてみると、お尻部分の生地が捲れるのを直さなくても良くて快適だったりする。
そんな事はさておき。
「やめて、水無ちゃん。怒るよ?」
「もしかして……ご主人様に穿かされてる、とか?」
「ぐっ……黙秘します。じょ、女子が見てるから、やめて!」
「はい、黙秘は認めたって事だよね~」
水無ちゃんは女子が見てるのを確認すると、やっと止めてくれた。
無理に引っ張られてスカートのプリーツが崩れてしまった。シワも酷い。
予測で言った女子の様子だったが、ボクも確認すると文芸部はベッドの陰からこちらを覗いていた。
なんて所から見てるんだ。
羽鳥来さんは、窓際でそっぽを向いていたので見ないようにしてたっぽい。
五月ヶ原くんも目を逸らしてくれたらしい。赤井さんや護衛のふたりも同じく。
マキナ、なんて物を隠してるんだよ!
「タマちゃん、そこはダメ!」
引き出しを押し込むとタマちゃんを羽交い締めしてベッドから引き離した。
「……今夜は寝かさない?」
寝かさない? って何。
タマちゃんの独白に何だろうと視線を追うとボクの携帯端末に表示された通信文を読んでいた。
〔キョウ! 首──身体を洗って待っていろ! 一晩中お仕置きだ!! 今夜は寝かさ──〕
読んでいたら涙がにじんで画面が見えない。
最悪だ~! どうして……こんな事に。
「なんかあったのか?」
「なんでしょう……か?」
皆の興味が集まって来てしまった。取りあえずタマちゃんにもレッドカードだ。
「キョウちゃん、オール|(ナイト)でお仕置き、決定」
そして、耳目を向ける皆にタマちゃんが曝露してしまう。やめて~。
「そ、そうです、か?」
「良かった、な?」
見回すと同情なのか達観なのか、複雑な表情をして目線を伏せている。
心無しか、赤井さんや護衛のふたりも顔を伏せて肩を小刻みに揺らしていた。
よく見ると携帯端末を握っている。マキナから指令が行ったのかもしれない。
皆、助けてくれて良いんですよ。
五月ヶ原くんだけは、苦い表情だけど。
「テラスを見てよ。凄いよ?」
話題を変えようとしてみたが反応は芳しくない。机や本棚の三人は何やら落胆してる。
たぶんアレな本を探してたんだろうけど、私物はほとんど持って来てないからね?
タマちゃんが、もう分かったと拘束を解くように懇願してくるので放した。ところが、だ。
「クローゼットがない?」
想定通りにタマちゃんが気づいてしまう。気づいちゃったか……。
ベッドに座っていた水無ちゃんが、それだ! っと叫んでガバッと立ち上がった。
それはそれとして、テラスでも見ないかと再度、誘導するけど失敗した。
「別の部屋に置いてるから、ここにはないよ」
「あり得ない」
「そうだよな? キョウちゃん、今すぐ普段着か部屋着に着替えてよ」
「グッ……それは……」
チラッとクローゼットの鏡の壁を見たら五条先生がそこで仁王立ちしてこちらを見てる。まさに扉になった鏡の前だ。
鏡のナゾに気づいた、けど守ってくれている? まさか、ね?
トテトテとタマちゃんが五条先生の方、鏡に向かって行く。なんて鋭いんだ。
てか、鏡張りってどこのダンススクールだよ? って感じだもん。
タマちゃんを開放したのは間違いだった。その歩みの後ろを付いていく。
安易に引き戻すのは愚策だ。「そこには有りませんよ(振り)」に等しい。
皆を見回すけど、各々好き勝手していて気づいていないが、助けてくれそうにもない。
そこのマキナ側のひと、なんとかして!
鏡の壁に向かうタマちゃんを放ってもおけず、そのあとを付いていく。
鏡の前に着くと鏡面を凝視したり、顔を近づけて見たりしている。
内心は焦っているけど、挙動に出さないように平静を装ってはいる。
ドアの側の赤井さんや護衛の歩鳥さん、斎木さんに目配せしても反応が薄い。
まあ、クローゼットが見つかったからと言って彼女たちには然したる問題ではないのだろうが。
と、赤井さんの表情が歪んだと思ったら、いきなりスカートを捲られた。
「ほいっと!」
「きゃん!」
「うわっ! イヤらしい下着穿いてる」
いつの間にか後ろに付いてきていた水無ちゃんが、ボクのスカートの裾を捲ってきていた。
「見て見てタマちゃん」
「やめて、水無ちゃん」
水無ちゃんがタマちゃんにも見せようとスカートを掴んで放さない。
その手に抗うが、さらに身体が抱えられてスカートを押さえられない。
「むふっ……ん、ん~?」
「ほらほら、ヒモだよ、ヒモ」
「知ってる」
タマちゃんが鏡から目を離してこちらを見てきた。ボクの方に来るか留まるか、首を傾げて逡巡してる。
興味を鏡から外せはしたが、こんなのは不本意だ。
今日も布面積の少ない下着を穿いている。穿いてみると、お尻部分の生地が捲れるのを直さなくても良くて快適だったりする。
そんな事はさておき。
「やめて、水無ちゃん。怒るよ?」
「もしかして……ご主人様に穿かされてる、とか?」
「ぐっ……黙秘します。じょ、女子が見てるから、やめて!」
「はい、黙秘は認めたって事だよね~」
水無ちゃんは女子が見てるのを確認すると、やっと止めてくれた。
無理に引っ張られてスカートのプリーツが崩れてしまった。シワも酷い。
予測で言った女子の様子だったが、ボクも確認すると文芸部はベッドの陰からこちらを覗いていた。
なんて所から見てるんだ。
羽鳥来さんは、窓際でそっぽを向いていたので見ないようにしてたっぽい。
五月ヶ原くんも目を逸らしてくれたらしい。赤井さんや護衛のふたりも同じく。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
41
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる