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2.新居からの新生活
44.病院で欠食問題
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「チェッ? チェンジはできませ~ん」と、アヤメさんは応酬する。
「じゃあ返品」と、ボクもやり返す。
「だ・か・ら、できないって。クーリングオフじゃないんだから。するとしたら、こちら側」
「うぐっ……確かに……」
なま物だからな……ボクは。クーリングオフ対象外だった。なんか凹む。
やれやれとマキナが長~く嘆息した。
彼女の指摘は、ボクの考えとは別の事だったんだけど、まあ良い。
「コレはそんなにエロなんとかみたい事はない。変な性癖ではあるが……」
「変……って。マキ姉まで……。私は変じゃない」
「それはさて置き──」
マキナの話題転換に「置かないで」とアヤメさんは抗議するもスルーされる。
結果を教えろとのマキナの言葉でアヤメさんは医師の顔になった。
「軽い疲労、だね。ここ数日間の出来事で負担がかかってた」
真っ当にアヤメさんが、検査結果を知らせてくれた。どんな検査をしたのやら……。
まあ、確かに毎日いろいろな出来事がボクに起こって楽しくもあったが、精神が疲れていたのも事実だ。
アヤメさんは、それよりすごい事が起こってると言い募るが、言っても今はボクに負担だろうとマキナが止めた。
「それはまた今度に。さあ、家に帰るか?」
「そんな~。一泊、してってよ? VIP室の稼働率が~」
「そんな事は知らん──」
アヤメさんは、病室の稼働率が~とか、経営が~とか言ってくる。
ちなみに、ここの病院も喜多村系列会社のGH|(総合病院)らしい。ずばり、キタムラGH。
「私も泊まる。問題ないな?」
そんなこんなで、結局泊まることになってしまった。勿論、マキナと同室で。
ベッドもクイーンサイズで、問題ないし?
ん? 大きい病室にはベッドは一つで、このベッドで同衾してもいいのか。
「よ、夜は静かに。お願い、よ?」
分かってる、と下腹をさするマキナ。
「排卵が来そうだと」と吐露した。それって……ここ数日のお陰で卵が育ったって事?
「ちょっとエコーしてみる?」
そう言うアヤメさんの言葉に、「いや、自分で分かる」とマキナは断わった。
また「検査機器の稼働率が~」と、言い募っているアヤメさん。
まあ、喜多村家の内需に貢献するのもありか、とは思うけどね?
「お腹、減りましたね?」
肯定とばかりにお腹もクゥ~っと鳴った。
部屋にいたのが17~18時ころだったから、って携帯端末で時間を見ようと思ったけど、持っていないのに気づく。
目が覚めたら検査衣だけの姿で、下着も着けていない。検査の時に脱がされてどこかに紛れていると思う。
廃棄とかになってなきゃいいけど。アヤメさんに所在を訊くべきか?
その他、携帯しているべき物が何もない。
「そうだな。いつもはもう夕食のころだな」
マキナはそうだろうけど、ボクは19時には食べてるからね? もっと時間は過ぎてる感覚だよ。
ずっと赤井さんが付き添ってくれていたらしいので、家には夕食もないだろう。
「どうしましょう? マキナは食べましたか? 夕食」
「食べてない。デリバリー、頼むか?」
そう言ってマキナはアヤメさんを見る。すまなそうにアヤメさんの表情が曇る。
デリバリーは勿体ない、とは思うが仕方ないかぁ。
「病室、病院から出られないだろうし、な?」
念押しで語威を強めてアヤメさんに言う。
「もう少し早いと調理場に言って二食くらい確保できた」と困り顔のアヤメさん。
「もう、病食は片付けてる、と思う」
さすがに時間が──18時の給仕から二時間も経つと廃棄してしまっている、と言う。
って事は20時くらいか、現時刻。
言外にデリバリーはダメ、と言ってるんだろう。
持ち込んだ食物|(消費期限の短い意味の)なま物で入院患者が食中毒など起こした日には、院内調理場が業務停止。
調理場が食中毒との因果関係がないと判断できるまで食事の提供は外注に頼らざるを得なくなる。
病院の風評被害も被って経営危機かも知れない。
外へ出る、デリバリーを頼むで、マキナとアヤメさんが紛糾する。
入院手続きは成立していないものの、病院の出入りは管理されているので、軽々しく外出の許可はできない。
「お前の権限で許可しろよ?」
「いや、誰だろうと許可されないよ? 黙って外出しても私の管理責任問題になる」
涙目で「無許可で外出はやめて」とアヤメさんは訴えている。
ボクも検査衣で守衛の前を通り過ぎる勇気は、ない。
外で事故でも起こした日には……確かにアヤメさんの立場が危ういかもね。
「コンビニでお弁当──」
「却下」
ボクが言った側からマキナに否定された。
「全く……食べる準備くらい気を回しておけよ?」
「その……つい。つい忘れたんだよ」
善からぬ事に熱中してたんだろう? とマキナが責める。
まあまあ、そう言わず……と、アヤメさんは院内コンビニを見に行くよう提案してくる。
だが「この時間だと、ろくに残ってないけど」とぶっちゃける。ダメじゃん。
に、しても。
「ボク、下着も着けてない」
聞くや否やマキナが鋭い眼光をアヤメさんに飛ばす。視線に捉えられた彼女は、そっぽを向いてヒューヒューとかすれた口笛を吹きだす。
「じゃあ返品」と、ボクもやり返す。
「だ・か・ら、できないって。クーリングオフじゃないんだから。するとしたら、こちら側」
「うぐっ……確かに……」
なま物だからな……ボクは。クーリングオフ対象外だった。なんか凹む。
やれやれとマキナが長~く嘆息した。
彼女の指摘は、ボクの考えとは別の事だったんだけど、まあ良い。
「コレはそんなにエロなんとかみたい事はない。変な性癖ではあるが……」
「変……って。マキ姉まで……。私は変じゃない」
「それはさて置き──」
マキナの話題転換に「置かないで」とアヤメさんは抗議するもスルーされる。
結果を教えろとのマキナの言葉でアヤメさんは医師の顔になった。
「軽い疲労、だね。ここ数日間の出来事で負担がかかってた」
真っ当にアヤメさんが、検査結果を知らせてくれた。どんな検査をしたのやら……。
まあ、確かに毎日いろいろな出来事がボクに起こって楽しくもあったが、精神が疲れていたのも事実だ。
アヤメさんは、それよりすごい事が起こってると言い募るが、言っても今はボクに負担だろうとマキナが止めた。
「それはまた今度に。さあ、家に帰るか?」
「そんな~。一泊、してってよ? VIP室の稼働率が~」
「そんな事は知らん──」
アヤメさんは、病室の稼働率が~とか、経営が~とか言ってくる。
ちなみに、ここの病院も喜多村系列会社のGH|(総合病院)らしい。ずばり、キタムラGH。
「私も泊まる。問題ないな?」
そんなこんなで、結局泊まることになってしまった。勿論、マキナと同室で。
ベッドもクイーンサイズで、問題ないし?
ん? 大きい病室にはベッドは一つで、このベッドで同衾してもいいのか。
「よ、夜は静かに。お願い、よ?」
分かってる、と下腹をさするマキナ。
「排卵が来そうだと」と吐露した。それって……ここ数日のお陰で卵が育ったって事?
「ちょっとエコーしてみる?」
そう言うアヤメさんの言葉に、「いや、自分で分かる」とマキナは断わった。
また「検査機器の稼働率が~」と、言い募っているアヤメさん。
まあ、喜多村家の内需に貢献するのもありか、とは思うけどね?
「お腹、減りましたね?」
肯定とばかりにお腹もクゥ~っと鳴った。
部屋にいたのが17~18時ころだったから、って携帯端末で時間を見ようと思ったけど、持っていないのに気づく。
目が覚めたら検査衣だけの姿で、下着も着けていない。検査の時に脱がされてどこかに紛れていると思う。
廃棄とかになってなきゃいいけど。アヤメさんに所在を訊くべきか?
その他、携帯しているべき物が何もない。
「そうだな。いつもはもう夕食のころだな」
マキナはそうだろうけど、ボクは19時には食べてるからね? もっと時間は過ぎてる感覚だよ。
ずっと赤井さんが付き添ってくれていたらしいので、家には夕食もないだろう。
「どうしましょう? マキナは食べましたか? 夕食」
「食べてない。デリバリー、頼むか?」
そう言ってマキナはアヤメさんを見る。すまなそうにアヤメさんの表情が曇る。
デリバリーは勿体ない、とは思うが仕方ないかぁ。
「病室、病院から出られないだろうし、な?」
念押しで語威を強めてアヤメさんに言う。
「もう少し早いと調理場に言って二食くらい確保できた」と困り顔のアヤメさん。
「もう、病食は片付けてる、と思う」
さすがに時間が──18時の給仕から二時間も経つと廃棄してしまっている、と言う。
って事は20時くらいか、現時刻。
言外にデリバリーはダメ、と言ってるんだろう。
持ち込んだ食物|(消費期限の短い意味の)なま物で入院患者が食中毒など起こした日には、院内調理場が業務停止。
調理場が食中毒との因果関係がないと判断できるまで食事の提供は外注に頼らざるを得なくなる。
病院の風評被害も被って経営危機かも知れない。
外へ出る、デリバリーを頼むで、マキナとアヤメさんが紛糾する。
入院手続きは成立していないものの、病院の出入りは管理されているので、軽々しく外出の許可はできない。
「お前の権限で許可しろよ?」
「いや、誰だろうと許可されないよ? 黙って外出しても私の管理責任問題になる」
涙目で「無許可で外出はやめて」とアヤメさんは訴えている。
ボクも検査衣で守衛の前を通り過ぎる勇気は、ない。
外で事故でも起こした日には……確かにアヤメさんの立場が危ういかもね。
「コンビニでお弁当──」
「却下」
ボクが言った側からマキナに否定された。
「全く……食べる準備くらい気を回しておけよ?」
「その……つい。つい忘れたんだよ」
善からぬ事に熱中してたんだろう? とマキナが責める。
まあまあ、そう言わず……と、アヤメさんは院内コンビニを見に行くよう提案してくる。
だが「この時間だと、ろくに残ってないけど」とぶっちゃける。ダメじゃん。
に、しても。
「ボク、下着も着けてない」
聞くや否やマキナが鋭い眼光をアヤメさんに飛ばす。視線に捉えられた彼女は、そっぽを向いてヒューヒューとかすれた口笛を吹きだす。
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