【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~

ペロりねった

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3.喜多村本家に居候

82.誰得? ボクの全身像

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※ちょっと長め、2700字あります。



 先ほどの全身写真を引き伸ばしたパネルがスタジオに運び込まれる。

 スタジオの観客から拍手と歓声があがる。

『何? この男の子、解放してくれるん?』
『そら、あかんやろ。婚姻した、ってうてたやろ。アホなの?』
『んん! この等身大パネル、いいでしょ~?』

 なんとか話題を変えようと相楽さがらは等身大パネルに近寄っていく。

『はあ、ええなぁ。それが?』
『分かってること、言うなや』
『欲しくありません?』

 相楽は、得意げにパネルの肩を抱く。


「馴れ馴れしいぞ、司会者──さがら!」

 キョウは、等身大パネルを自分のことのようにいきどおる。

 回りの子供たちは、めた目でキョウをじっとり見る。


『はあ! まさか、プレゼントて……』
『そうです。このパネル──』
『わいがもろた!』
『何ゆうてんねん! わいがもらう!』
『こら、そこ! 抜け駆けすんなや!』

 パネラーが争うのを後目しりめに一人が等身大パネルに駆け寄ると抱き締めている。

『ほんま。漁婦ぎょふの利とはこのことか!』

 抜駆けのパネラーが一斉に非難される。

『──皆さん、落ち着いて。この複製パネル、どどーんと百名様にプレゼントします。このあとの発表するキーワードを書いて番組ホームページの応募フォームから応募してくださいね。まだまだ、番組は続きますよ~』

 相楽が一旦、締めてCMに入る。


「キョウは、テレビに出てうらやましい」
「そうそう」
「あれは勝手に撮って映してるだけだからね?」
「でも、テレビに出てる」

 キョウは、返事に困る。街中で撮られた映像がテレビでさらされるなんて考えてもみなかっただろう。

 CMが明け、ニュースが再開される。

『はい! この商店に何を買いに来たのか分かりましたね?』

 相楽さがらが、話を思い出すようパネラーに聴く。

『服や下着でしたね~?』
『いっぱい買ってたね』
『そうでしょ~? 何を買ったか知りたくありません?』

 司会の相楽がまた挑発的にしゃべる。

『そら、知りたいわ』
『おう、着れるもんなら同じもん着たいわ』
『せやせや』
『そうでしょ~? 独自情報、手に入れました。ジャジャン!』

 相楽が自前効果音アタックとなえて新しいフリップを出す。そこには商品の一覧が書かれている。

 少年・キョウが買ったとおぼしき商品だ。

『ほう? 普通の物です、ね?』
『そこいらで売ってるわ』
『そうそう、それなら買える』
『再現しました。パネル、カモン!』

 相楽が呼ぶと新たにスタジオに入ってくるパネル。それがワンピース姿の等身大パネルに並べられる。

 スタジオの観覧者が沸く。

『『『うお~っ!』』』

 パネラーたちも歓声をあげる。

『ちょっと~、まずくない? こんなことして』
『大丈夫、大丈夫。私と商店のつながりで』

 それはキョウを裸に加工し肌着を着せたパネルだ。パネラーからは、どんなつながり? と懸念を表すものもいるが……。

『あんた、喜[ピーー]らの回しもんか!』
『まあまあ、それで、このパネルも?』
『いや、これは非売……ちょっと、ちょっと~』

 一人のパネラーが、パネルまで駆け寄り着せられた下着を剥ごうとする。

『そんなこと、するから配布できないんよ?』

 相楽は粗相そそうをしたパネラーをしっしっと犬のように追い払う。

『──はあ。さて、着たら「こうだろうか?」と予想して加工してみました』
『それを売っていただく──』
『非売品! 作った美術さんが持って帰るそうです。無事を祈りましょう』
『あんた、曝露ばくろしたら確実に襲われるでぇ? その美術さん』
『ご覧の通り、そこいらに売ってるものを買っていかれました』

 パネラーの指摘を無視して続ける相楽。

『返事しろや』
『こちら、独自に調べた少年の買い物の一覧です』

 パネラーの突っ込みも何のその、フリップに注目するよう相楽は誘導する。

『ほぉ~、肌着から普段着に……』
『あの和服もそこで買ったものだったんだ……』
『和装カバン、小物や草履も買われてますね』
『どうして草履、履かなかったんやろ』
『走りにくいからやろ』


「そうそう」とキョウがうなずく。子供たちは、また冷ややかな視線をキョウに送る。


『せやったら、着物着ぃひんかったらええねん』
『……確かに……どうしてでしょう』
『はい、独自情報です。彼は、喜多村家に婚姻の報告に訪れたようです!』

 相楽が、自信をもって曝露する。

『はあ……だから?』
『ああ、訪問着に和服を選んで着付けたと?』

 相楽がそうそうと頷いてスタジオ袖に指示する。

『まだ何かあるん?』
『もう何もないやろ~』

 パネラーが腰を浮かせてスタジオ袖をうかがう。

 画面から死角のスタジオの端から、覆いのかかる四角い額のようなものを抱えたADが現れる。

 相楽の横まで来るとADは待機する。

『あの投げられた白いソックス、見たくありません?』
『ええっ!』
『まさか!』

 パネラーは腰を上げたそのまま、席を離れて相楽の元へ歩みよる。

『ちょっとちょっと、戻って! ハウス!』
『わいら犬、ちゃう』
『人間は本能で動きません。あんたら本能まる出しや~。しっしっ』

 パネラーの進路に立ち塞がり、手を払って追い返す。

『近くで見せて~や』
『そやそや』
『ダメ。提供者に返還しないといけないから、危険人物は近づけられません』
『誰が危険人物や!』
『いや、それ、あの子のもんやろ』
『え~、投げてた物なので拾った人のもの、になるそうです。返って返って』

 追い返してもパネラーが席に戻らず、遠巻きで眺める態勢を続ける。

『──では……ジャジャン!』

 やむなく進行させ、相楽は覆った布をさっと取る。

 そこには額装されているキョウのソックスがあった。

 パネラーは近くで観ようと歩みよる。

『戻って! ハウス!』

 またしても近寄るパネラーの前に立ちふさがる相楽。

『犬、ちゃうちゅーねん!』
『何? ほお~。皆さん、放送を見た視聴者の皆さんが放送局ここに集まっているようです』

 出演者の前で指示だしするADを確認して相楽が伝える。

『なんやて?』
『さもありなん』
『放送をご覧の皆さん、落ち着いて……何? 中継?──』

 ADと相楽が話して指示を聞いている。

『──外の様子を映すそうです』

 バックモニターには放送社屋から外の様子をうつす映像が流れる。

 それを見たスタジオ観衆が騒然としている。

『かなり集まってますね~』
『皆さん、鬼気せまってます』
『皆さん、節度を持って』

 パネラーの呼び掛けもカメラの向こうの群衆に通じるはずもない。

『──分かりました。パネルとソックスの額を展示します。何? 一週間?! 展示しますので、皆さん解散してくださ~い』

 また指示を聞いた相楽が放送を通じて展示について発表し解散を促す。

『まあ、ここに来たら見れると分かれば来もしますわな』
『──はい。等身大パネル、二百枚プレゼントに増やします。解散して?』

 また指示を聞き発表する相楽。その姿に焦りが見える。

『ちょっと、収拾できそうにないな~』

 放送局に集まった人たちの対応に終始して番組はぐだくだになり、放送を終了した……。
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