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3.喜多村本家に居候
94.いざショッピングモールへ
しおりを挟む「田端クロユリ先生。お勉強の進捗はいかがですか?」
「え? は、はあ。まだもう少し、です」
「そうですか。みんな、頑張ってね」
「う、がんばる」
「うん」
「もう、集中できない……」
皆のお勉強はまだかかるみたい。周りで騒がれたんじゃ集中できないよね。
「そなた、何を言っておる?」
「そうじゃ、モールとやらに急ぐぞ?」
「え~。だって、子供たちの勉強が終わらないと出掛けられないし~」
そう言ったら、ミヤビ様のみならずサキちゃんまで微妙な顔をされた。
「勉強とは何じゃ? 準備ができたから行くのであろう?」
「ミヤビ様、この子たちの勉強が終わらないと行けないのです。約束ですから」
「はあ。勝手にやらせておけば良い。そなたが行かねば話にならん」
「いいえ。勉強を終わらせたら一緒に行くって約束ですので」
「…………」
さらに微妙な顔になったミヤビ様は、サキちゃんに視線を送ってる。
「マサキよ、こなたは何を言っておる?」
「はあ、言葉どおりこの子らの勉強を終わらせたら出かけると約束したのです」
「難儀なことよの~」
納得いかなそうだったけど、「分かった。終わるのを待つとするか」と折れてくれる。
聞き分けの良い人で良かった。幼女たちは必死で頑張っている。
後ろから覗いて、たまにタブレットをにらんでるマナちゃん・アリサちゃんの書き取りの手助けをし、今日の課題を終わらせる。
「これで行ける?」
「できた……」
「やっと終わったわ」
「うん、偉いえらい」
ボクは皆を労う。
「やっと終わったのか?」
「はい、終わりました」
ミヤビ様が問うので、田端先生を見るとうなずいてくれる。大丈夫みたい。
大人の皆さんはコーヒーやお茶を飲んで待っててくれた。
「では、行くぞ」
「あ、ちょっと。皆、おしっこして来ようか?」
「そ、そうね」
「うん」
「別にしたくないけど、いいわよ」
幼女の皆に聴くと同意してくれる。
「別に用足しなど、どこでも出来よう」
「残念。子供は堪え性がないんです~」
「…………」
また、ミヤビ様が微妙な表情になった。
子供は、今したくなくても道中したくなること、あるからね?
「マサキよ、こなた──キョウは子供持ちなのか?」
「いいえ、滅相もございません。ただ……」
「なんじゃ?」
「子供の扱いは慣れております。昨日よりこの子らの世話をし続けておるのです」
「ほぉう?」
聴こえてるよ。別に世話してるつもりないけど。
「違う──います。私たちがキョウの相手をしてる──いるのです」
「うん」
「そ、そうです」
えっ? そ、そうだった、の? ちょっとショック。
また、その先の余計なことを言いそうなタンポポちゃんの口を手でふさぐ。
「は~い、皆トイレに行こうか~」
「「「は~い」」」
皆が良い返事の時はいい予感はしない。
皆の着替えは……まあ、いいか。過剰に着飾ってる大人は置いといて。
「キョウ様はお召しかえをした方がよいと思います」
皆のトイレをすませると、サザレさんが寄ってくる。
「そなた、どこへ行く」
「着替えろって、サザレさんが」
「いつまで、待たせるのじゃ?」
もう、準備できないと出掛けられないんだから待っててよ。
使用人の館まで行くと、リネン室に連れ込まれる。
「なんじゃ、その姿は?」
「いいでしょ?」
リネン室でサザレさんが出してくれたエプロンドレスのメイド服に身を包んだ。こうすれば、お付きのメイドと勘違いしてくれる。
「ああ、まあ良い。ミヤビ様をお待たせしてはならん」
「いいじゃん。勝手に来たんだから待たせとけば」
「あのお方はいと貴き……はあ~。くれぐれも粗相のないように、な?」
「はいはい」
「はいは一回じゃ」
「はい」
いつになく口うるさい。何が粗相に当たるのか知らないのにボクに対処しようがないじゃん。
「待っておったぞ」
「お待たせしました」
「妙な服じゃ」
「いいでしょう? これで目立たない」
「そ、そうか? 逆に目立つと思うが」
ミヤビ様や奥方たちは、仮面を着けてる。仮面舞踏会にしてそうな目元を隠すヤツ。
洋装の義曽祖父ユキ様はともかく、和服の義祖父ショウ様、義父ヒロ様は似合わない。
「それで何で仮面?」
「身バレを防ぐためじゃな」
「ボクもしたい」
「その恰好で仮面などしたら、そなた余計目立つじゃろ?」
「……確かに」
まあ仕方ないか……。
「さあ、車に乗るぞ」
「やった~」
「わくわく」
「早く早く」
奥様がた、はしゃぎすぎでしょ?
「って、何これ?」
車はリムジンもあるけど装甲車が並んでる。その装甲車へ向かっている。
「万全を期して、これにした」
「車って言うか、装甲車とかってヤツでは?」
「そうじゃ!」
後ろのゲートからカーキー色の装甲車に乗り込んでいく。
「こんなのに乗って行って迷惑にならない」
「そんなことは知らん」
「そんなことって……」
「そなたら、早う乗らぬか」
はしゃいでる人がまた一人、窓際の席に陣取り、ボクを手招きしてる。
奥様がたは座席の座り心地を確認してる。
どう見ても固そう。居住性は考慮されてない。装甲車とは、そんなもの。
仕方なく子供たちと後方の席を探してると。
「キョウよ。こちらに来ぬか?」
「え? でも子供たちがいるから」
「しょうのない。皆、こちらに来よ」
ミヤビ様は呼ぶけど子供たちが遠慮してる。って言うか、恐れてるよ。
サキちゃんがにらんで「早く行け」って目が物語ってる。
幼女たちは、付いて来てるメイドさんに任せてミヤビ様の隣に座る。
「マキナはどうしておる?」
「えっ? まあ普通ですけど。会社でバリバリ働いてますよ?」
「そうか。息災で何よりじゃ」
ショッピングモールに着くまでマキナの近況を聴かれる。でも暮らしたのは四日くらいだから余り話せることはないんだよね。
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