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3.喜多村本家に居候

120.固めの盃 *

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【ご注意】本話の中ほどに『性描写』がございます。


 ミヤビ様とそろって北に向かってベッドに上がる。

「北に向かうは北の極星きょくせいうやまい──」
「で、固めのさかずき、でしたっけ?」

 レイニ様の御託ごたくはスルーして式を進める……。

「──なぜ、そなたが仕切る」
「いえ、仕切るつもりはありませんが」
「う、うむ。ならばよい」

 さかずきを受けたミヤビ様がレイニ様からお酒をがれ、それを飲み干す。次にボクがミヤビ様から渡された盃でお酒を受けて、それを飲む。

 レイニ様に盃を返すと手酌てじゃくで飲んでいる。なんでレイニ様まで?

 盃をけるとミヤビ様が受け取り、またお酒ががれ、それを飲み干す。その盃がボクに回ってくる。

「また、飲むの?」
だまらっしゃい」

「これは儀式ぞ」っておこられる。やむなくがれたお酒を飲み干す。

「でもさ~、これっぱらってナニもできなくなるんじゃ?」

「ぐっ……」っとレイニ様がうなり手酌して飲み干す。


もちをこれへ」

 なんだか、お酒の回し飲みは止めてくれたらしい。

 レイニ様の合図で、お餅を盛った高坏たかつきささげ持って白装束しょうぞくの人が入ってくる。

「ちょうどお腹いてたんだよね~」

 目前に置かれた高坏たかつきからお餅を取ってパクつく。

「これ、そなた、神聖なる儀式ぞ?」
「うんま~。やっぱ、お餅はきたてだよね~」
「……もうよいわ」

「お餅も食べたし、もう寝ちゃっていいの?」
「はぁ~……まあ、そうじゃ。そなた、なんともないのか?」
「ん~……特には。お腹、ふくれて眠くなりました。明かりを消して眠りましょう」

 そう言い、ボクは横になる。

「そうではない……。羽徳ハノリ様。こなたは、いかな男子をのこじゃ?」
「見たままじゃ。飄々ひょうひょうとして天衣てんい無縫むほう天真てんしん爛漫らんまん
「そうなの、か……。これ、まだ寝てはならん。和合わごうの手本を見せるゆえ」

「早くしてください。もう意識が持ちません」
「……ハノリ様、やりましょうぞ? アレを持て」
「え、う、うむ」と、不承ふしょう不承ぶしょうっぽくミヤビ様がうなずく。

「暗くしてください。子供が見てます」
「そなた、注文が多いぞ?」

 やっと暗くなり、白装束の人が搾精さくせいで使う射薬しゃやくじゅうみたいなのを持ってきてレイニ様の肩につ。

 なんかボクまでたれた。

 ミヤビ様は横になったレイニ様をはだけ愛撫あいぶしていく。レイニ様にミヤビ様がまたがって始まる。

 それを見てたらボクももやもやしてきた。あの注射のせいで下半身が怒張どちょうしてくるし。

 お二人は普通スタイルでよかった。……と思ってたら、攻守交代とばかりに起きあがって上下が替わる。

 一気に目が覚め、お二人に布団を掛け直す。衝立の向こうに丸見えですよ。

 まあ……はげしい。声も大きい。となりで寝てなんかいられない。マキナとボクはもっと静かにやってましたよ?

「はぁはぁ……はぁ~。どうじゃ? 流れるような絶技ぜつぎは」
「す、すごいですね。あと﹅﹅はよく眠れそうです」

 すみません、うちではそんなことやってらんない。ボクたち、なんかだらだらやって寝落ちパターンでした。

「では、交代。そなたの番じゃ」
「え~~? ボク、静かな方がいいかな~、なんて……」
「まあ、初めてでは仕方なかろう。今日のところは茶臼ちゃうすからじゃの~?」
「うむ」
「茶臼って? いや、やっぱりいいです……」

 ついこうとしたけど、ろくでもない説明を聞かされるんだろう。交代する際、レイニ様の分身見ちゃったよ。人のものを見るのは初めて。


 横になるボクにミヤビ様がおおいかぶさってくる。ボクはそれを受け入れる。

「うっ……くっ……」

 おだやかに始まってよかった……と思ったけど、なんか様子が変。

「ど、どうされた、ハノリ様?」
「も、もう……し……しむ……」
「は?」

 ぶるるっとふるえたミヤビ様が脱力だつりょくしてたおれてくる。おっぱいで窒息ちっそくするかと思ったよ。

「もう、てられたようですよ?」
「なんじゃと?」
「ではボクも……ふ~~。お休みなさい」
「これ、寝るな」

 まった欲望よくぼうをミヤビ様の中に解き放つ。すっきりすると眠くなるのが習慣になっちゃってるな。


「──おしっこ」

 夜中に目が覚める。まとわりつかれて重いと思ったらミヤビ様とレイニ様が抱きついていた。

 二人を振りほどいてベッドから降り、応接室に併設へいせつするトイレに向かう。

 寝室にはまだ衝立ついたてえてある。もう誰も居ないだろう。通り過ぎるさいに確認したら裏側に白装束の人がまだいた。

 ──こっわ!

御不浄ごふじょうですか?」
「ええ、まあ」

 リビングに入るとソファーのところに起きてる人と雑魚寝ざこねの人が居る。おつかれ様です。

「キョウ様が、御不浄だ」
うけたまわった」

 後ろの白い人から起きてる人に伝えられる。交代してリビングの人がトイレに付いてくる。

 いや、一人で行けるから。幼児じゃないから……。

 そう言や、マナちゃんアリサちゃんは、おトイレ一人で行けてるかな~? タンポポちゃんは大丈夫だろうけど。

 案の定、トイレの中まで白い人は入ってくる。見てはこないけど、人がいると出るものも引っ込むってものよ。

「あの、どちらへ?」
 トイレをすませ、部屋を出ようとすると白い人がいてくる。

「ちょっと子供たちが心配で……」
「子供?」
「あ、いや。お世話してる喜多村の子たち」
「……はぁ?」

 エレベーターで二階に降り、タンポポちゃんの部屋に行く。そおっと部屋に入ってベッドを見ると三人そろって眠ってる。ほっ……。
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