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3.喜多村本家に居候

131.喜多村本家に帰着

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「はい、到着」
「やっと着いた~」
「長い旅路だった」
だれのせい?」
「う、ごめんなさい」

 正門の通過儀礼ぎれいも問題なく、迎賓げいひんかん前の車寄くるまよせに停まると、みんなと車を降りる。

「古めかしくて年代を感じる屋敷やしきだね~」
「うん、おもむきある」
「二人は同じ部屋でいいよね」

「私は一緒でいいよ」
「うん、私もそれで」

 迎賓館のエントランスから家令かれい陽笠ひかささんとメイド長のサザレさんが現れる。

「陽笠さん、サザレさん、二人を案内してあげて。部屋は一緒でいいから」
うけたまわりました」
「──かしこまりました」

「我らは部屋に戻っております」
「私たちも」
 警護たちが断わりを入れ、車はやかた前のロータリーから横道へ進んでいく。


 使用人ツートップの先導せんどうに付いて行き部屋に着く。ボクが入ってた部屋だね?

「す、すごいね」
「うん」
「夕食をお持ちするまでおくつろぎください。それでは」
「ありがとう」
「──ありがとうございます」
「──ありがと」

 お礼を言うと、陽笠さんとサザレさんは使用人館の方に帰っていく。

「ええっと、用事がある時はコレでメイドさんを呼べばいいから」
「すごいね」
「うんうん」
 メイドコールなど、一通り部屋の説明をする。

「向かいの部屋が護衛の部屋だから。あれ? 羽鳥来はっとりさんがいない」
「警護の車に乗っていったんじゃ?」
「うん、そう」
 ──大丈夫かな~?

「では、我々は部屋におりますので」
「うん」
 タマちゃんの護衛たちが部屋に向かう。

「ねえ、あの子たちは?」
 ドアのかげからタンポポちゃんたちがのぞいてる。

「ああ、喜多村の子たち。おいで」
「キョ~、おそい」
「待ってた~」
「おそ~い」
 ──ぐほっ! タンポポちゃんたちを呼ぶとみんながタックルしてくる。

「ケホッケホッ……、この子がタンポポちゃん。で、マナちゃんにアリサちゃん」
「喜多村タンポポ。キョウの未来の夫よ」
「きたむらマナミ。みらいのおっと」
「やまぶきアリサ。キョウのおっと」
 あちゃ~、言っちゃったよ。言いそうって思っていながら、つい油断してしまったよ。

 それに「未来の」にしてくれたんだ。でも、アリサちゃん?

「ちょちょちょ、ど~言うことよ?」
「やはり、キョウちゃん。幼女に拉致らちられて調教……」
 水無みなちゃんがおどろき、タマちゃんがまた妄想もうそうを展開する。

「ど──」
 ──ど? なんですレニ様?
「──ど~言うことです、義兄上あにうえ!」
 レニ様、大声でびっくりするよ。タンポポちゃんたち、ビクッてしたよ。

 タンポポちゃんたち、レニ様とは反対の右手や右脇に食らいついてる。三人にぶら下がられると重い~。

「あ、いや、これにはいろいろありまして、ですね?」
「幼な夫と新愛人の修羅しゅら……。しゅら、しゅら、しゅらしゅしゅしゅ~」
「キョ、キョウちゃんが~、キョウちゃんが~。いけない道に……」
義兄上あにうえ、子供こどもと言い募《つの》るので、ど~も怪しいと思っておりましたが、そ~言うことでしたか」
 いや、ど~言うことよ。ちゃんと言って。

「ですから、将来約束してお世話してるだけでして、ね?」
「キョウちゃん、こっちに帰ってきて?」
「お世話……むふぅ~むふぅ~……」
義兄上あにうえ、正気に戻ってくだされ」
 こっちってどっちよ。それにタマちゃん、お世話に興奮《こうふん》することある?
 レニ様、ボクはいたって正気です。

「キョウ、部屋に行って遊ぼ」
「うん、あそぶ」
「おままごと?」

 レニ様、水無ミナちゃん、つかんでらさないで。タンポポちゃんたち、引っ張らないで、うから、酔っぱらうから……。

「むふ~……。どろどろ、ねちょねちょ……」

 それからタマちゃん、傍観ぼうかんしてないで助けてよ?

 あとで説明するって、ひとまず収める。まだやかたの説明終わってないから。


 そのあと、おトイレとお風呂に案内する。レニ様と子供たちにまとわりつかれて歩きにくいったらありゃしない。

「お風呂は混浴なんだね~」
「いや、違うと思う。たぶん時間を決めて替わってるんだろうけど」
「ここでキョウちゃんが……はあはあはあ……」

「タマちゃん、何もないからね?」
「でも、ぬるぬるされた」
「いや……うん。まあ、そうだけど」
「むふぅ~」
「まあ……お風呂のことは訊いてみるよ」

 気にしなかったけど時間を決めて男だけで入るか、本館の家族風呂に入りにくるかだね。あとで訊いとこう。

「ぬるぬるとはなんです?」
 ああ、レニ様が耳聡みみざとく、ぬるぬるに食いついちゃったよ。

「キョウとぬる──」
 タンポポちゃん、だまろうか? とっさに子供たちを抱きめてことなきを得る。

 相変わらず、レニ様と子供たちにまとわりつかれてて鬱陶うっとおしい。

「ああ、それはボディーソープで洗った、ってことです」
「口ぶりからは、そう思えませんでしたが?」
「き、気のせいです……」
「そうですかぁ?……」
 疑わしげにレニ様が目を細める。なにげに洞察どうさつりょくが上がってきてる。


「ボクも部屋にもどるから、みんなも休んでて」
 みんなに一通り説明したのでサキちゃんに帰着の報告ほうこくしてこないと。

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