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既成にしたくない事実を既成にしたお薬
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ことの発端はリンが夫ユーリとの夜の営み用に調合した危ないエロ薬である。
淡白な性格のユーリに激しく愛されたいと思ったリンが出来心で作った性欲を煽る劇薬であり、リンにそれ以外の目的と用途はなかった。
調合したのはラン・ヤスミカ家別邸の菜園で栽培した誘淫作用ある薬草とケシの果実とその他ヤバい薬草。
ケシを屋敷のお庭で栽培する行為はラン・ヤスミカ領では特に違法ではない。
薬草とは、えてして良薬にもなれば毒薬にもなるのだ。
リンは薬学の知識をフル活用してユーリの性欲をアップさせるヤバめのエロ妙薬を製造した。
「薬瓶の薬液を少しだけ寝る前に飲むホットワインに混ぜて飲ませる。数敵たらせば効果あり」
リンの思惑通りに欲情する薬を盛られたユーリは身体中が熱くなり、普段なら考えられないくらいリンを激しく抱いて理性が飛んだ。
翌朝、起きたらユーリはなんだかスッキリして薬の副作用もなく清々しい気分でリンにキスをしたのである。
ここまでなら単なるユーリとリンの夜の事情で終わる話であった。
大問題に発展したのはリンがそのヤバい薬を隠して保管せず、堂々と夫婦の寝室の近くに放置したせいである。
寝室近くの机はリン専用であり、性欲アップエロ薬以外に普通に解熱薬や鎮痛薬も陳列されていた。
父クロード殺害用の毒薬は鍵をかけて隠匿しているがリンはその毒薬が実は万能薬で危険ではないことを知らない。
むしろエロ目的の媚薬を全力で隠すべきだったのだ。
寒さが厳しい日が続いたある日のこと。
別邸の執事シオンが発熱して体調を崩してしまった。
おそらく風邪だろうということでユーリはシオンを休ませて安静にさせていた。
「熱が少し高いな。待ってろ。リンが作った解熱薬が部屋にあるから!」
「申し訳ございません……ユーリ様に看病させてしまって」
謝るシオンにユーリは優しく微笑むと薬を持ってくると言い残して部屋を出ていった。
そこにエドガー登場である。
ユーリはシオンの私室の前で様子を伺っていたエドガーと遭遇したので報告をした。
「シオンは少し熱がありますが大丈夫です。リンの机に解熱薬があるのでとって参ります」
「ユーリ殿。私は暇だしシオンが心配だ。看病は引き受けよう。リンの机の薬だな?私が取ってくる」
「え?そんな……エドガー義兄上にお任せするなんて恐縮です!シオンは別邸の執事なので俺が看病しなければ」
「たしか今日はリンと夫婦で教会を訪れる仕事があるであろう?領主の子息として大切な役割だ。リンだけ行かせるわけにもいくまい?」
エドガーの指摘通りに午後にはリンを伴って領地で唯一の教会を訪問する段取りであった。
教会の司祭がラン・ヤスミカ領の人々がどっかんどっかん笑うような楽しい説教をしたいと企画したのでユーリとリンは領主ラン・ヤスミカ家代表として実際に礼拝堂で行われる前に説教の内容を司祭から拝聴する。
礼拝での説教とは司祭が領地の人々を叱るという意味でなく神様のありがたい教えをみんなに説くという神イベントだ。
そんな場所で領地の人々を爆笑させる計画を練っている時点でラン・ヤスミカ領の教会の司祭は信仰をなめ腐っている。
領地の人々は信仰心が欠如してるとか以前に司祭の説教が寒いという理由で教会離れしているのが現状だ。
これはアカンと危惧した司祭が閃いたのが司祭と助手の助祭によるコントである。
今度の礼拝前に是非とも領主様の御一家に披露したいと司祭が懇願してきたのでユーリとリンが教会に行くことになった。
「そうですね。教会の司祭と話すのだからリンだけ行かせるわけにもいかないです。申し訳ありませんがエドガー義兄上にシオンの世話をお願いします」
「承知した。リンの机の薬瓶なら見慣れている。解熱薬はたしか青いガラス瓶だったな?」
「はい。青い薬瓶は2つありますがどちらも解熱薬とリンが申しておりました」
この青い薬瓶が2個ある件がそもそもの原因となる。
リンはヤバいエロ媚薬を解熱薬のストックとユーリに誤魔化していたのだ。
見分けがつくのは調合したリンだけで、ユーリにもエドガーにもどちらかはガチの欲情するエロ薬とはわからない。
寝室の前でユーリは青い薬瓶2個をエドガーに手渡した。
「あれ?1個は中身がほぼカラですね?エドガー義兄上。リンが申してましたが解熱薬は瓶の薬をイッキのみさせても問題ないと」
「ならばこちらの薬液が満タンな方の中身をシオンに飲ませよう。ユーリ殿。リンが本邸から戻ったら遠慮なく出かけてくれ」
そんなわけでユーリは薬の瓶をエドガーに託すと本邸にリンを迎えに行きそのまま教会に出掛けてしまったのだ。
お気づきだろうが、カラに近い方が本物の解熱薬で満タンな方がヤバいエロ性欲薬である。
ユーリとリンが屋敷から出たあとにエドガーは薬と水を用意してシオンの部屋に向かった。
そのあとの展開は誰もが予想できるだろう。
数滴ワインに混入させるだけで理性を失う劇薬をシオンは原液でさらにイッキのみさせられたのだ。
エドガーになんの悪意も下心もなかったし、シオンだって体調崩した自分をエドガーが襲うとは考えていなかった。
(そういう人でなしではないからな。エドガー様は)
そんな安心感でシオンはエドガーに言われるまま激ヤバエロ薬を飲み干してしまったのだ。
結果的にエドガーは熱があるシオンを襲ってないが熱が増して欲情したシオンが看病してくれてるエドガーを襲う……もとい無理やり押し倒して誘惑して関係を持ってしまう。
変態仮面でならしているエドガーもこれには驚愕し困惑した。
絶対にセックスさせてくれない想い人の人格が急に変わって誘惑してくるのだから尋常ではないといくらバカチンなエドガーでも気づいた。
しかし、冷静にさせようにもシオンは熱に浮かされたように目の焦点が合っておらず、痩身の身体で抱きついてくる。
「シオン……!正気に戻れ!あとで絶対に後悔するぞ?」
「なに言ってるんだ?熱い……熱い。エドガー……愛してる。抱けよ」
通常は絶対に口にしないであろう台詞をシオンが微笑みながら吐いたのでエドガーのなけなしの理性もぶっ飛んでしまった。
夫婦として定期的にリンと関係を持っているユーリと異なりシオンは妻と15歳で死別してから男女ともに身体の関係を持っていない。
そういう喪にふくしたストイックな生活も仇となりリンのエロ劇薬が過剰に効いてしまったのだ。
エドガーが全力で拒んでシオンを正気に返せばよかったとも取れる。
だが、日頃からエロ妄想してる変態仮面エドガーに薬のせいとはいえ淫らに乱れたシオンが「愛してる。抱けよ」と言ってしまったのが決定的となった。
エドガーが誘惑に屈しないはずはなく、シオンを抑えようとしていたつもりが結局は自分も欲情して別の意味でシオンを押さえ付けてしまう。
こんな調子でエドガーは念願かなってシオンを抱けたわけだが、これが大惨事の幕開けであった。
教会でリンはユーリと司祭と助祭のコントを観ていた。
「礼拝で聖書に飽きたのでエロ小説から台詞を拝借してまーす!」
「司祭様!なにやってんねん!それもう礼拝ちゃうやろ?」
信仰心も神への愛も微塵も感じない罰当たりなコントをユーリとリンは延々と聞いていたがユーリはハッと思い出したようにリンに言った。
「そういや、リンが作ってくれた解熱薬。シオンに全部飲ませた。熱が下がってるといいけど」
ユーリの何気ない言葉にリンはサッと青ざめて恐る恐る訊ねた。
「ユーリ?青い満タンな薬瓶の中身を全部シオンに与えたのですか?」
「そうだと思う。エドガー義兄上が持っていったから」
リンはことの重大さに血の気がひきそうになったが司祭と助祭のコントはヒートアップしている。
「礼拝に来たご婦人の胸の谷間を説教台から眺めるのが趣味です!」
「司祭様!あんた変態やんけ!?お薬のんで落ち着けや!」
「助祭さん!君だって貧乳の娘に目がないくせに!」
根本的に大問題かつ、神様を冒涜しつつコントしている司祭と助祭コンビを前にリンは色んな意味で笑えなかった。
「ユーリ……私は別邸に帰るのが怖いです」
「え?そんな心配するなよ!シオンはエドガー義兄上が看病してるから元気になる」
その看病してくれていたはずのエドガーが何故か自分の寝ているベッドに横になりグッスリ眠っている現実をシオンは瞳を開いた瞬間目撃することとなる。
「は?あれ……?エドガー様がなんで?」
聡いシオンはエドガーの寝顔を確認した途端に全てを察して熱は去ったが全身に激しい悪寒が走った。
自分が何かに操られるようにエドガーに関係を迫った記憶が鮮明に甦ったのである。
エドガーは困惑していたのにシオンが強引に誘惑して抱けと迫ったのだ。
「そんな……俺、気が狂ったのか?どうして?」
シオンが混乱して震えていると気配を察知したエドガーが目を覚ました。
エドガーと目があった瞬間、シオンは反射的に手で口を押さえたが遅かった。
「シオン!?落ち着け!水を飲ませる」
シオン……自分がやらかした現実に打ちのめされてベッドで嘔吐したのである。
胃液を吐いて顔面蒼白のシオンの姿をエドガーは水をグラスに注ぎながら見ていた。
そして、シオンを落ち着かせ、慰める意味を込めて告げたのである。
「シオンに愛してると言われて嬉しかった。それがたとえ熱で理性が崩壊して口走った言葉であっても。私もシオンを愛している」
「うるさい……ゲロってる奴に向かって愛してるはやめろ!」
シオンはそのあともショックが消えず熱は下がったのに嘔吐を続けた。
エドガーは吐くほどセックスしたことをシオンが後悔してるなら全力で拒めば良かったと悔いたがもう遅い。
とにかく、リンの出来心で作ったエロ薬のせいでシオンはエドガーと積極的に関係を持ってしまい吐くほど後悔したのである。
セックスした相手が事後にゲロっても恋心が燃えているエドガーはやはり変態仮面を越えた強者である。
こうしてシオンとエドガーは既成事実を作ってしまった。
end
淡白な性格のユーリに激しく愛されたいと思ったリンが出来心で作った性欲を煽る劇薬であり、リンにそれ以外の目的と用途はなかった。
調合したのはラン・ヤスミカ家別邸の菜園で栽培した誘淫作用ある薬草とケシの果実とその他ヤバい薬草。
ケシを屋敷のお庭で栽培する行為はラン・ヤスミカ領では特に違法ではない。
薬草とは、えてして良薬にもなれば毒薬にもなるのだ。
リンは薬学の知識をフル活用してユーリの性欲をアップさせるヤバめのエロ妙薬を製造した。
「薬瓶の薬液を少しだけ寝る前に飲むホットワインに混ぜて飲ませる。数敵たらせば効果あり」
リンの思惑通りに欲情する薬を盛られたユーリは身体中が熱くなり、普段なら考えられないくらいリンを激しく抱いて理性が飛んだ。
翌朝、起きたらユーリはなんだかスッキリして薬の副作用もなく清々しい気分でリンにキスをしたのである。
ここまでなら単なるユーリとリンの夜の事情で終わる話であった。
大問題に発展したのはリンがそのヤバい薬を隠して保管せず、堂々と夫婦の寝室の近くに放置したせいである。
寝室近くの机はリン専用であり、性欲アップエロ薬以外に普通に解熱薬や鎮痛薬も陳列されていた。
父クロード殺害用の毒薬は鍵をかけて隠匿しているがリンはその毒薬が実は万能薬で危険ではないことを知らない。
むしろエロ目的の媚薬を全力で隠すべきだったのだ。
寒さが厳しい日が続いたある日のこと。
別邸の執事シオンが発熱して体調を崩してしまった。
おそらく風邪だろうということでユーリはシオンを休ませて安静にさせていた。
「熱が少し高いな。待ってろ。リンが作った解熱薬が部屋にあるから!」
「申し訳ございません……ユーリ様に看病させてしまって」
謝るシオンにユーリは優しく微笑むと薬を持ってくると言い残して部屋を出ていった。
そこにエドガー登場である。
ユーリはシオンの私室の前で様子を伺っていたエドガーと遭遇したので報告をした。
「シオンは少し熱がありますが大丈夫です。リンの机に解熱薬があるのでとって参ります」
「ユーリ殿。私は暇だしシオンが心配だ。看病は引き受けよう。リンの机の薬だな?私が取ってくる」
「え?そんな……エドガー義兄上にお任せするなんて恐縮です!シオンは別邸の執事なので俺が看病しなければ」
「たしか今日はリンと夫婦で教会を訪れる仕事があるであろう?領主の子息として大切な役割だ。リンだけ行かせるわけにもいくまい?」
エドガーの指摘通りに午後にはリンを伴って領地で唯一の教会を訪問する段取りであった。
教会の司祭がラン・ヤスミカ領の人々がどっかんどっかん笑うような楽しい説教をしたいと企画したのでユーリとリンは領主ラン・ヤスミカ家代表として実際に礼拝堂で行われる前に説教の内容を司祭から拝聴する。
礼拝での説教とは司祭が領地の人々を叱るという意味でなく神様のありがたい教えをみんなに説くという神イベントだ。
そんな場所で領地の人々を爆笑させる計画を練っている時点でラン・ヤスミカ領の教会の司祭は信仰をなめ腐っている。
領地の人々は信仰心が欠如してるとか以前に司祭の説教が寒いという理由で教会離れしているのが現状だ。
これはアカンと危惧した司祭が閃いたのが司祭と助手の助祭によるコントである。
今度の礼拝前に是非とも領主様の御一家に披露したいと司祭が懇願してきたのでユーリとリンが教会に行くことになった。
「そうですね。教会の司祭と話すのだからリンだけ行かせるわけにもいかないです。申し訳ありませんがエドガー義兄上にシオンの世話をお願いします」
「承知した。リンの机の薬瓶なら見慣れている。解熱薬はたしか青いガラス瓶だったな?」
「はい。青い薬瓶は2つありますがどちらも解熱薬とリンが申しておりました」
この青い薬瓶が2個ある件がそもそもの原因となる。
リンはヤバいエロ媚薬を解熱薬のストックとユーリに誤魔化していたのだ。
見分けがつくのは調合したリンだけで、ユーリにもエドガーにもどちらかはガチの欲情するエロ薬とはわからない。
寝室の前でユーリは青い薬瓶2個をエドガーに手渡した。
「あれ?1個は中身がほぼカラですね?エドガー義兄上。リンが申してましたが解熱薬は瓶の薬をイッキのみさせても問題ないと」
「ならばこちらの薬液が満タンな方の中身をシオンに飲ませよう。ユーリ殿。リンが本邸から戻ったら遠慮なく出かけてくれ」
そんなわけでユーリは薬の瓶をエドガーに託すと本邸にリンを迎えに行きそのまま教会に出掛けてしまったのだ。
お気づきだろうが、カラに近い方が本物の解熱薬で満タンな方がヤバいエロ性欲薬である。
ユーリとリンが屋敷から出たあとにエドガーは薬と水を用意してシオンの部屋に向かった。
そのあとの展開は誰もが予想できるだろう。
数滴ワインに混入させるだけで理性を失う劇薬をシオンは原液でさらにイッキのみさせられたのだ。
エドガーになんの悪意も下心もなかったし、シオンだって体調崩した自分をエドガーが襲うとは考えていなかった。
(そういう人でなしではないからな。エドガー様は)
そんな安心感でシオンはエドガーに言われるまま激ヤバエロ薬を飲み干してしまったのだ。
結果的にエドガーは熱があるシオンを襲ってないが熱が増して欲情したシオンが看病してくれてるエドガーを襲う……もとい無理やり押し倒して誘惑して関係を持ってしまう。
変態仮面でならしているエドガーもこれには驚愕し困惑した。
絶対にセックスさせてくれない想い人の人格が急に変わって誘惑してくるのだから尋常ではないといくらバカチンなエドガーでも気づいた。
しかし、冷静にさせようにもシオンは熱に浮かされたように目の焦点が合っておらず、痩身の身体で抱きついてくる。
「シオン……!正気に戻れ!あとで絶対に後悔するぞ?」
「なに言ってるんだ?熱い……熱い。エドガー……愛してる。抱けよ」
通常は絶対に口にしないであろう台詞をシオンが微笑みながら吐いたのでエドガーのなけなしの理性もぶっ飛んでしまった。
夫婦として定期的にリンと関係を持っているユーリと異なりシオンは妻と15歳で死別してから男女ともに身体の関係を持っていない。
そういう喪にふくしたストイックな生活も仇となりリンのエロ劇薬が過剰に効いてしまったのだ。
エドガーが全力で拒んでシオンを正気に返せばよかったとも取れる。
だが、日頃からエロ妄想してる変態仮面エドガーに薬のせいとはいえ淫らに乱れたシオンが「愛してる。抱けよ」と言ってしまったのが決定的となった。
エドガーが誘惑に屈しないはずはなく、シオンを抑えようとしていたつもりが結局は自分も欲情して別の意味でシオンを押さえ付けてしまう。
こんな調子でエドガーは念願かなってシオンを抱けたわけだが、これが大惨事の幕開けであった。
教会でリンはユーリと司祭と助祭のコントを観ていた。
「礼拝で聖書に飽きたのでエロ小説から台詞を拝借してまーす!」
「司祭様!なにやってんねん!それもう礼拝ちゃうやろ?」
信仰心も神への愛も微塵も感じない罰当たりなコントをユーリとリンは延々と聞いていたがユーリはハッと思い出したようにリンに言った。
「そういや、リンが作ってくれた解熱薬。シオンに全部飲ませた。熱が下がってるといいけど」
ユーリの何気ない言葉にリンはサッと青ざめて恐る恐る訊ねた。
「ユーリ?青い満タンな薬瓶の中身を全部シオンに与えたのですか?」
「そうだと思う。エドガー義兄上が持っていったから」
リンはことの重大さに血の気がひきそうになったが司祭と助祭のコントはヒートアップしている。
「礼拝に来たご婦人の胸の谷間を説教台から眺めるのが趣味です!」
「司祭様!あんた変態やんけ!?お薬のんで落ち着けや!」
「助祭さん!君だって貧乳の娘に目がないくせに!」
根本的に大問題かつ、神様を冒涜しつつコントしている司祭と助祭コンビを前にリンは色んな意味で笑えなかった。
「ユーリ……私は別邸に帰るのが怖いです」
「え?そんな心配するなよ!シオンはエドガー義兄上が看病してるから元気になる」
その看病してくれていたはずのエドガーが何故か自分の寝ているベッドに横になりグッスリ眠っている現実をシオンは瞳を開いた瞬間目撃することとなる。
「は?あれ……?エドガー様がなんで?」
聡いシオンはエドガーの寝顔を確認した途端に全てを察して熱は去ったが全身に激しい悪寒が走った。
自分が何かに操られるようにエドガーに関係を迫った記憶が鮮明に甦ったのである。
エドガーは困惑していたのにシオンが強引に誘惑して抱けと迫ったのだ。
「そんな……俺、気が狂ったのか?どうして?」
シオンが混乱して震えていると気配を察知したエドガーが目を覚ました。
エドガーと目があった瞬間、シオンは反射的に手で口を押さえたが遅かった。
「シオン!?落ち着け!水を飲ませる」
シオン……自分がやらかした現実に打ちのめされてベッドで嘔吐したのである。
胃液を吐いて顔面蒼白のシオンの姿をエドガーは水をグラスに注ぎながら見ていた。
そして、シオンを落ち着かせ、慰める意味を込めて告げたのである。
「シオンに愛してると言われて嬉しかった。それがたとえ熱で理性が崩壊して口走った言葉であっても。私もシオンを愛している」
「うるさい……ゲロってる奴に向かって愛してるはやめろ!」
シオンはそのあともショックが消えず熱は下がったのに嘔吐を続けた。
エドガーは吐くほどセックスしたことをシオンが後悔してるなら全力で拒めば良かったと悔いたがもう遅い。
とにかく、リンの出来心で作ったエロ薬のせいでシオンはエドガーと積極的に関係を持ってしまい吐くほど後悔したのである。
セックスした相手が事後にゲロっても恋心が燃えているエドガーはやはり変態仮面を越えた強者である。
こうしてシオンとエドガーは既成事実を作ってしまった。
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