65 / 76
あまり役に立たない恋愛相談
ラン・ヤスミカ領に存在する唯一の教会の司祭は超絶お喋りである。
司祭の仕事で領民の秘め事に耳を傾けるいわゆる【告解】があるのだがラン・ヤスミカ領の人々は絶対に告解には行かない。
理由は単純明快で司祭が告解の詳細を周辺に暴露するからだ。
「司祭様に告解するなら家の壁にできた染みに向かって相談した方がマシだ」
それがラン・ヤスミカ領の人々の共通認識であった。
これだと司祭が最低に思えるが、そもそもラン・ヤスミカ領の領民はさほど信心深くないので告解に行く人も少ない。
教会がまるで使い物にならないので領民は悩みごとを領主であるラン・ヤスミカ家に相談するのだ。
そして、領民にとって最も相談しやすい相手がラン・ヤスミカ家の次男ユーリである。
ユーリは日常的に領地の畑や牧場を手伝ったり、水路の掃除をしたり、領民会館の古い設備の修繕をしているので捕まえやすいのだ。
さらに軽率でなく純朴で真面目な性格のユーリは領民のプライバシーをけして漏洩しない。
そんなラン・ヤスミカ家のユーリは恋する少年の恋愛相談にのっていたが、場所は領立学校の体育館の屋根の上である。
「そんな訳でユーリ様。俺が立派な医者になれたらキトリをください」
「アラン。キトリには断られただろ?そんな約束はできないな」
ユーリは老朽化した体育館の屋根を修繕していたら医者の息子アランに捕まってしまった。
アランは14歳で学校の上級生なのだが、ユーリの兄エセルの養子になった8歳のキトリに一目惚れしてしまい付きまとっている。
立派な医者になると宣言する前にアランが医者に診てもらうべきだと思うが、ユーリは生真面目に相談にのっている。
「あまり付きまとうとキトリが怖がるから」
「無視されるより怖がられる方が嬉しいんです」
「そのストーカー思考はやめてくれ。また、ジャンとクレールと喧嘩になる」
キトリをめぐってユーリの甥っ子のジャンはアランと大喧嘩しているので揉め事を作りたくない。
しかし、領主の息子としてアランの恋の悩みをどうにか解決してあげたいとも思う。
アランは領地では唯一の医者の子供なのでゆくゆくはラン・ヤスミカ領を出て大学で医学を学ぶことになる。
大学で勉強中にキトリが別の誰かと恋仲になることをアランは恐れているのだ。
「でもな~!恋仲以前にアランはキトリに相手にされてないんだから無駄に心配しすぎだ!」
キトリはまだまだ幼いから恋愛感情とか抜きに接してくれないか、とユーリが頼んでもアランはキッパリ拒否する。
「ユーリ様だって今さらリン様とご夫婦でなく友達として付き合えと言われて承知できますか!?俺とキトリだってそういう関係なんです!」
「おい!待ってくれ!俺とリンは元から縁談が浮上していた!男同士でも夫婦になる約束が交わされていたんだ!アランは何度も言うけどキトリに相手にされてないだろ!?」
「いずれそういう関係になります!俺、キトリを見るまで男の子なんて好きにならなかった!女の子にも14歳なのに全く興味がなかった!14歳で初めてキトリに恋をしたんです!運命ですよ!」
14歳まで恋愛に興味がなかった奴が8歳の少年に出逢った瞬間フォーリン・ラブな展開は運命を通り越して軽くホラーである。
たしかにキトリは可愛いがそれほどまでアランの心臓を撃ち抜く魅力があるのかとユーリは考えてしまう。
実は甥っ子のジャンもキトリにハートを撃ち抜かれているという実情を純朴なユーリはまだ知らない。
リンは知っているがユーリには教えていなかった。
「とにかく!キトリはまだ子供だからあまりしつこくしないであげてくれ」
「そんな悠長なことしてたら別の男の子に取られます!だからユーリ様に相談してるんですよ!」
なんでこんなに会話が噛み合わないんだとユーリは頭を抱えたがアランはさらに続ける。
「ユーリ様は恋は盲目という言葉を知らないんですか!?理屈じゃなくて恋をすると人生は変わるんです!ユーリ様がリン様にしているようなことを俺もキトリにしたい!」
「ダメだ!俺とリンは夫婦だけどお前とキトリは何度も何度でも言うが恋愛関係じゃない!恋をするのは自由だが周りを見なさすぎる!冷静になれよ!」
さすがのユーリもアランのエンドレス恋愛相談に嫌気がさしはじめていた。
それ以前にこんな人の話をろくに聞かない奴を医者にして大丈夫かという不安さえわいてきた。
そんな瞬間である。
体育館の屋根に誰かがのぼってくる気配がした。
学校の先生かと思ったらユーリの帰りが遅いのを心配したリンである。
「すみません。アランの叫びがすごいので全部聞こえてました。こんな大声で叫んでいたら学校中に聞こえますよ?」
「リン!迎えに来てくれたのか?修繕は終わったから帰ろうと思ってた!」
アランの恋愛相談に匙を投げようとしたユーリに対してリンは深刻な顔で言ったのである。
「先ほど司祭様が屋敷に来ました。キトリの告解のことで話があると」
ラン・ヤスミカ領の人々は司祭に告解なんて絶対にしないが、キトリは隣国からやって来たよそ者ということもあり、その暗黙の了解を知らなかったらしい。
守秘義務なんてガン無視している司祭だがキトリの告解の内容があまりに壮絶なのでラン・ヤスミカ家のリンに相談に訪れたのだ。
「養父母のエセル様とフィンナ様に直接お話しするのもどうかと司祭様も躊躇したそうで……」
「え?そんなに深刻な相談なのか!?キトリの告解は?」
言いよどむリンにユーリが話してくれと促すとリンはアランを見て息を吐いた。
「司祭様がキトリから聞いた内容はこうです!僕はジャンお兄さまが好きなのにアランがずっと追いかけてくる。こういう場合は殺しても正当防衛は成立するかな?」
キトリがジャンを好きだという事実を知らなかったユーリは仰天したが、もっと衝撃的な展開が待っていた。
なんとアランが体育館から身投げしようとしたのでリンが素早く取り押さえた。
「離してください!キトリ……ジャンが好きだったなんて!俺、もう生きる希望がないです!」
「それも衝撃だと思いますが、アラン!あなたはキトリに殺意を抱かれるレベルに付きまとったのですよ!?8歳が正当防衛を企む方が私はショックです!」
隣国生まれのキトリは身の危険を感じたら攻撃しても構わないと幼心に思っていたようだ。
この比較的に攻撃的な気質は執事のシオンも同じなのでこれが隣国の国民性らしい。
リンが捕縛したのでアランの自殺未遂は失敗に終わったがアランは号泣しだしたのでユーリは困ってしまった。
下手に慰めても無駄そうなのでどうしたものかと考えていたらリンが静かにアランに言い聞かせた。
「アラン。キトリはジャン殿と深い関係になるつもりはないので気が変わる可能性はあり得ます。自害したら損ですよ」
自分の次兄エドガーのように付きまとった結果、シオンを根負けさせて成就する方法もあるから諦めないでと励ますリンにユーリは思った。
それだとアランのキトリへの付きまといは改善しないのでループである。
しかし、リンの励ましでアランは希望を持ったらしく瞳を輝かせた。
「ですよね!俺もエドガー様方式で攻めてみます!リン様。ありがとうございます!」
こうして、なにも解決していない恋愛相談は幕を閉じた。
キトリはユーリとリンに司祭に殺人を示唆する告解をするなと叱られ、この領地では告解が告解にならないことを思い知ったのである。
「僕はジャンお兄さまとお話ししたいのにアランが邪魔するからウザくて……」
「キトリ!年長者に対してウザいなんて言ってはダメです!お行儀が悪いですよ?」
礼儀作法には厳しいリンに叱られるとキトリはシュンとした顔で頷いた。
今回のことはキトリの養父であるエセルには秘密となったがユーリには新たな悩みが生まれてしまった。
「キトリがジャンを好きなんてエセル兄上が知ったら……」
あまり物事に動じないエセルだって驚愕するに違いないとユーリは心配だったがリンは落ち着いた声で告げた。
「ご安心ください。エセル義兄上……全部知っています。ジャン殿もキトリが好きだということもです。子供の様子を見ていたら自然と分かったそうで……」
「ええ!?エセル兄上は知ってるのか!?あと!ジャンもキトリが好きとか両想いかよ!アラン!勝ち目ないな!どう考えても」
細かく述べるとジャンとキトリは両片想いだが、それを理解したうえで実子と養子を見守れるエセルの度量が広すぎる。
ユーリとしてはアランが完全失恋するのも可哀想だが、14歳ならばこれから先にも運命の出逢いがあるだろうと半ば強引に結論付けた。
だが、アランはキトリを諦めておらず、エドガーを師匠と仰ぎ、本格的にキトリにうざがられる日々が始まる。
得てして恋を付きまといのゴリ押しで成就させられるのはエドガーほどの変態仮面でないと困難なのである。
アランはキトリになら正当防衛でも過剰防衛でも殺されてもいいと考えているのでラン・ヤスミカ領でキトリをめぐる恋の鞘当てはどうやら泥沼化していく模様であった。
end
司祭の仕事で領民の秘め事に耳を傾けるいわゆる【告解】があるのだがラン・ヤスミカ領の人々は絶対に告解には行かない。
理由は単純明快で司祭が告解の詳細を周辺に暴露するからだ。
「司祭様に告解するなら家の壁にできた染みに向かって相談した方がマシだ」
それがラン・ヤスミカ領の人々の共通認識であった。
これだと司祭が最低に思えるが、そもそもラン・ヤスミカ領の領民はさほど信心深くないので告解に行く人も少ない。
教会がまるで使い物にならないので領民は悩みごとを領主であるラン・ヤスミカ家に相談するのだ。
そして、領民にとって最も相談しやすい相手がラン・ヤスミカ家の次男ユーリである。
ユーリは日常的に領地の畑や牧場を手伝ったり、水路の掃除をしたり、領民会館の古い設備の修繕をしているので捕まえやすいのだ。
さらに軽率でなく純朴で真面目な性格のユーリは領民のプライバシーをけして漏洩しない。
そんなラン・ヤスミカ家のユーリは恋する少年の恋愛相談にのっていたが、場所は領立学校の体育館の屋根の上である。
「そんな訳でユーリ様。俺が立派な医者になれたらキトリをください」
「アラン。キトリには断られただろ?そんな約束はできないな」
ユーリは老朽化した体育館の屋根を修繕していたら医者の息子アランに捕まってしまった。
アランは14歳で学校の上級生なのだが、ユーリの兄エセルの養子になった8歳のキトリに一目惚れしてしまい付きまとっている。
立派な医者になると宣言する前にアランが医者に診てもらうべきだと思うが、ユーリは生真面目に相談にのっている。
「あまり付きまとうとキトリが怖がるから」
「無視されるより怖がられる方が嬉しいんです」
「そのストーカー思考はやめてくれ。また、ジャンとクレールと喧嘩になる」
キトリをめぐってユーリの甥っ子のジャンはアランと大喧嘩しているので揉め事を作りたくない。
しかし、領主の息子としてアランの恋の悩みをどうにか解決してあげたいとも思う。
アランは領地では唯一の医者の子供なのでゆくゆくはラン・ヤスミカ領を出て大学で医学を学ぶことになる。
大学で勉強中にキトリが別の誰かと恋仲になることをアランは恐れているのだ。
「でもな~!恋仲以前にアランはキトリに相手にされてないんだから無駄に心配しすぎだ!」
キトリはまだまだ幼いから恋愛感情とか抜きに接してくれないか、とユーリが頼んでもアランはキッパリ拒否する。
「ユーリ様だって今さらリン様とご夫婦でなく友達として付き合えと言われて承知できますか!?俺とキトリだってそういう関係なんです!」
「おい!待ってくれ!俺とリンは元から縁談が浮上していた!男同士でも夫婦になる約束が交わされていたんだ!アランは何度も言うけどキトリに相手にされてないだろ!?」
「いずれそういう関係になります!俺、キトリを見るまで男の子なんて好きにならなかった!女の子にも14歳なのに全く興味がなかった!14歳で初めてキトリに恋をしたんです!運命ですよ!」
14歳まで恋愛に興味がなかった奴が8歳の少年に出逢った瞬間フォーリン・ラブな展開は運命を通り越して軽くホラーである。
たしかにキトリは可愛いがそれほどまでアランの心臓を撃ち抜く魅力があるのかとユーリは考えてしまう。
実は甥っ子のジャンもキトリにハートを撃ち抜かれているという実情を純朴なユーリはまだ知らない。
リンは知っているがユーリには教えていなかった。
「とにかく!キトリはまだ子供だからあまりしつこくしないであげてくれ」
「そんな悠長なことしてたら別の男の子に取られます!だからユーリ様に相談してるんですよ!」
なんでこんなに会話が噛み合わないんだとユーリは頭を抱えたがアランはさらに続ける。
「ユーリ様は恋は盲目という言葉を知らないんですか!?理屈じゃなくて恋をすると人生は変わるんです!ユーリ様がリン様にしているようなことを俺もキトリにしたい!」
「ダメだ!俺とリンは夫婦だけどお前とキトリは何度も何度でも言うが恋愛関係じゃない!恋をするのは自由だが周りを見なさすぎる!冷静になれよ!」
さすがのユーリもアランのエンドレス恋愛相談に嫌気がさしはじめていた。
それ以前にこんな人の話をろくに聞かない奴を医者にして大丈夫かという不安さえわいてきた。
そんな瞬間である。
体育館の屋根に誰かがのぼってくる気配がした。
学校の先生かと思ったらユーリの帰りが遅いのを心配したリンである。
「すみません。アランの叫びがすごいので全部聞こえてました。こんな大声で叫んでいたら学校中に聞こえますよ?」
「リン!迎えに来てくれたのか?修繕は終わったから帰ろうと思ってた!」
アランの恋愛相談に匙を投げようとしたユーリに対してリンは深刻な顔で言ったのである。
「先ほど司祭様が屋敷に来ました。キトリの告解のことで話があると」
ラン・ヤスミカ領の人々は司祭に告解なんて絶対にしないが、キトリは隣国からやって来たよそ者ということもあり、その暗黙の了解を知らなかったらしい。
守秘義務なんてガン無視している司祭だがキトリの告解の内容があまりに壮絶なのでラン・ヤスミカ家のリンに相談に訪れたのだ。
「養父母のエセル様とフィンナ様に直接お話しするのもどうかと司祭様も躊躇したそうで……」
「え?そんなに深刻な相談なのか!?キトリの告解は?」
言いよどむリンにユーリが話してくれと促すとリンはアランを見て息を吐いた。
「司祭様がキトリから聞いた内容はこうです!僕はジャンお兄さまが好きなのにアランがずっと追いかけてくる。こういう場合は殺しても正当防衛は成立するかな?」
キトリがジャンを好きだという事実を知らなかったユーリは仰天したが、もっと衝撃的な展開が待っていた。
なんとアランが体育館から身投げしようとしたのでリンが素早く取り押さえた。
「離してください!キトリ……ジャンが好きだったなんて!俺、もう生きる希望がないです!」
「それも衝撃だと思いますが、アラン!あなたはキトリに殺意を抱かれるレベルに付きまとったのですよ!?8歳が正当防衛を企む方が私はショックです!」
隣国生まれのキトリは身の危険を感じたら攻撃しても構わないと幼心に思っていたようだ。
この比較的に攻撃的な気質は執事のシオンも同じなのでこれが隣国の国民性らしい。
リンが捕縛したのでアランの自殺未遂は失敗に終わったがアランは号泣しだしたのでユーリは困ってしまった。
下手に慰めても無駄そうなのでどうしたものかと考えていたらリンが静かにアランに言い聞かせた。
「アラン。キトリはジャン殿と深い関係になるつもりはないので気が変わる可能性はあり得ます。自害したら損ですよ」
自分の次兄エドガーのように付きまとった結果、シオンを根負けさせて成就する方法もあるから諦めないでと励ますリンにユーリは思った。
それだとアランのキトリへの付きまといは改善しないのでループである。
しかし、リンの励ましでアランは希望を持ったらしく瞳を輝かせた。
「ですよね!俺もエドガー様方式で攻めてみます!リン様。ありがとうございます!」
こうして、なにも解決していない恋愛相談は幕を閉じた。
キトリはユーリとリンに司祭に殺人を示唆する告解をするなと叱られ、この領地では告解が告解にならないことを思い知ったのである。
「僕はジャンお兄さまとお話ししたいのにアランが邪魔するからウザくて……」
「キトリ!年長者に対してウザいなんて言ってはダメです!お行儀が悪いですよ?」
礼儀作法には厳しいリンに叱られるとキトリはシュンとした顔で頷いた。
今回のことはキトリの養父であるエセルには秘密となったがユーリには新たな悩みが生まれてしまった。
「キトリがジャンを好きなんてエセル兄上が知ったら……」
あまり物事に動じないエセルだって驚愕するに違いないとユーリは心配だったがリンは落ち着いた声で告げた。
「ご安心ください。エセル義兄上……全部知っています。ジャン殿もキトリが好きだということもです。子供の様子を見ていたら自然と分かったそうで……」
「ええ!?エセル兄上は知ってるのか!?あと!ジャンもキトリが好きとか両想いかよ!アラン!勝ち目ないな!どう考えても」
細かく述べるとジャンとキトリは両片想いだが、それを理解したうえで実子と養子を見守れるエセルの度量が広すぎる。
ユーリとしてはアランが完全失恋するのも可哀想だが、14歳ならばこれから先にも運命の出逢いがあるだろうと半ば強引に結論付けた。
だが、アランはキトリを諦めておらず、エドガーを師匠と仰ぎ、本格的にキトリにうざがられる日々が始まる。
得てして恋を付きまといのゴリ押しで成就させられるのはエドガーほどの変態仮面でないと困難なのである。
アランはキトリになら正当防衛でも過剰防衛でも殺されてもいいと考えているのでラン・ヤスミカ領でキトリをめぐる恋の鞘当てはどうやら泥沼化していく模様であった。
end
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる
猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。
しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。
当然そんな未来は回避したい。
原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。
さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……?
平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。
ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。