シロタエギクは誰がために咲く

ルーシー

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予定調和

2話

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屋上にいたそいつはその一言を言うと満足気な表情を見せた。しかし、その男の言葉には確かに意味があり、正しいことだったのだ。どうせ捨てた命だ。僕は二つ返事でOKをした。
「具体的にはなにをすれば良いの?」
死にたがりの人間をわざわざ選ぶのだから、殺し合いでもするのだろうか。まぁ、ひっそり死んでも良いけど。
男はやさしそうな目つきををして宥めるように答えた。
「君のクラスのいじめっ子がいただろう?」
多少驚いたがこんな所で自殺しようとする学生なんて、いじめぐらいしかないだろうから、わかったのだろう。
「今から、君の立場とその女の子の立場を交換する。
そして、三か月後にその子は死ぬ。」もちろん、いじめでたけどと男は忘れずに付け足した。
オーラからわかっていたことだが、この男は人間とは少し違っていた。思考も、行動も常人の固定概念から飛び出していた。
「どうやって入れ替えるのかとか、そういう面倒くさい質問はなしで行こう。」僕の思考を読むように続けた。
「三か月後、僕は君に聞かなければいけないことがある。その子の代わりに死ぬかどうかだ。」
多分、今なら二つ返事でノーだっただろう。
もちろん、三か月一緒に過ごしてもこの意志が変わる気配は見えない。それでも、その男の言葉には魔法がかかっているかのように、僕の中にノーと言う考えが消えていった。僕は無意識のうちに頷いていた。
男は満足気な表情を見せ、一言呟いた。
「三か月後。君の判断でこの物語は良くも悪くもなるから。そこらへんよく考えて行動してね。」
男が指ぱっちんをすると、僕の目の前の世界はガラスが割れるように真っ黒な視界になった。その後、僕は死んだように眠った。


目が醒めると自室だった。壁には無味無臭な白い壁紙。
鳴り響く目覚まし。ベッドから起き上がり、机の上にあるカレンダーを見てみると、僕の飛び降り未遂の三か月前に戻っていた。
下に降りて、朝食を食べながら見ていたテレビでも三か月前に戻っていた。同じニュースを見ていても面白くないので、早く学校に行くことにした。

学校に着くと僕の席はピカピカのままだった。三か月前には無駄に早起きして落書きしているクラスの三軍がいるはずだから綺麗なことはないのに…
不思議に思っていると教室の扉が開かれた。
そこには、僕をいじめていた頃には全く見えなかった、女子特有の弱々しさがあった。表情は暗く、僕の事を明らかに避けていた。その女の子が座った席にはおびただしい数の落書き。机の上には、中学生が精一杯空っぽの脳味噌をひねり出して考えた、罵詈雑言が書いてある紙と、白い花が花瓶の中に載せてあった。
ここで僕はようやく気付いたのだ。女の子と立場が入れ替わり、過去に戻った事に。
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