経験値袋と呼ばれたミニドラは今

みやんて

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1章 最弱のドラゴン

一人と一匹

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気配を消しその場を離れた一人と一匹。足手まといがいるとはいえ、追われた国では最強の闇の者だった彼にはそこまで難しくはなかった。

十分に離れたことを確認し、木の枝に括り付けたり茂みのそばに埋めたりして隠していた物資を回収する。数日かけて準備をしていたこともあり、しばらく町へ寄らずとも済むだけの物資を確保できていた。まぁ、時間をかけすぎたせいで追っ手に見つかりかけたのだが。


(しかしそれにしても早い。短期間でここまで腕が上がるものだろうか…?)


疑問に思わないこともなかったが、とりあえずはここから離れるのが先である。が、その前にはっきりさせておかねばならないことがある。



「お前、これからどうする?」



勢いで連れてきてしまったが、これから先ずっと連れまわすわけにもいくまい。まぁ行きがけの駄賃で、どこか行きたい場所があるなら連れて行ってやろうか。どうせ当てのない一人旅だ。そんな思いでそう声をかけたのだが…。



―あなたはなぜ、私をころさないの―


逆に問いかけられた。


「なぜといわれてもな…。なんとなくとしか言いようがないのだが。」


―あなたは追われている。違う?―


「…そうだな、逃亡中の身だ。」


―わたしをころせば強くなれる。生き残れる。かんたん。―


「…そうだな。」


―わたしを隠したの、じぶんのため。わかる。でもころさないのはわからない。―


「聞くが、殺されたいのか?」


―いやだ。―


「ではいいではないか。」


―気になった。…どうせまたころされる。おなじ。でも話せるの今だけ。―


「…お前の境遇が他人事とは思えなくてな。情が沸いた…のか。ふっ。私らしくもない。」


―………―


「お前を殺したら確かに逃げるのは楽になるだろうな。でももう殺すつもりはない。幸い私は今のままでも十分強い。お前の世話になる意味も薄かろう。」


―………………―


「置いていったら私の追っ手に見つかってしまうだろうし、新しい住みかまで送ってやるくらいならできるからな。どこか心当たりはないのか。」


―ねぇ。―


「お、なんだ。」


―連れてって。―


「ああ、どこに連れて行けばいい。」


―一緒に。―


「…連れて行くんだから一緒だろう。場所を言え。方角がわからないなら指せ。」


―あなたのいくところ。―


「つまりそれは。…私の旅についてくると、そういうことか。」


―よろしく。―


「急に図々しくなっていないか、お前……。」



妙にまっすぐ見つめられ、今更断るとも言いづらく。男は天を見上げ「さすがに予想外なんだがどうするよこれ…」とつぶやく。

そんな彼の思いをよそに、ミニドラは機嫌よさそうに尻尾をゆるゆると左右に振っていた。
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