平凡教師生活

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学校編Ⅰ

ガラガラ
ざわつきの残り香が漂う教室に、ゆっくりドアを開け入ってくる一人の男性。のっそのっそと重い足取りで黒板の前に向かいながら、眠たい声で一言発した。
「授業はじめまーす」
特に変哲の無い背格好、特に意識しないフォーマルな服装。どこにでもいる顔、もしくは会ったことがあるのかもしれない、と思わせる平凡な面構えである。メガネの内側から覗く野心のない眼差しが、心地いい。
そんな先生が、僕は大好きだ。


僕が県立高等学校に入学した年、同じく新卒採用の先生がやってきた。新任式は体育館で行われた。20人程の新しい先生が舞台上に1列に並んでいたわけだが、目立つ先生はひと目でわかる。筋骨隆々なおそらく体育の先生や何故か白衣を着たおそらく理科系の先生もいる。様々な先生がいるように生徒の関心も様々であった。女子生徒は長身・細身・整った顔の男の先生に釘付けになり、男子生徒はややふくよかな体型・可愛らしい柔らかき雰囲気の女の先生を凝視していた。そんな中で私は一人、ただひたすらに便意を我慢していた。
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