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第6章 ラシャ(Lusha)
記憶の中で -2
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★★★
キノの意識は全く別の時、別の場所での希由香の記憶を捉えた。強い光線を頭上から放つ太陽の眩しさに、希由香が目を細める。
草木の茂る丘。滅多に人の踏み入れぬ、自然のみが愛でる庭園。街を眼下に臨む丘の先端に建つ古木の柵に、希由香がゆっくりと近づいて行く。
まだ…希由香の記憶の中? 浩司が導いたの?
キノの脳裏に甦る夜景。浩司と二人で見渡した、濃紺の闇に光る黄銀の明り。
ここ…この柵、あの時の…確かにあの森の奥にあった場所だ。違うのは、この暑さと蝉の声、今は真夏で昼間で…浩司がいない。
希由香は柵に手をかけて、青い空と街並との境を眺めている。
これはいつの記憶だろう…2年前、浩司と別れてすぐの夏? 去年? それとも、ついこの前の夏? 一体どうして、この記憶に…?
風雨に晒された荒い白木の柱の根元で、何かが陽を照り返し輝いている。視界の端でそれを捉えた希由香が首を傾けると、輝きは消えた。視線の角度を異にすると姿を隠すその光を探そうと、希由香がしゃがみ込む。
あれは…。
掻き分けた野の草の間には、黒い小石があった。希由香はそれを拾い上げ、目の高さに翳し見る。
浩司を思って、でも、夜に来る勇気はなくて…今、ここに来て、陽射しがあったから気づいた…。希由香の選んだ浩司への思いが、彼女自身のだけじゃなく、世界の運命の方向を決めたの? それとも、希由香を取り巻く運命が…彼女の思いを必要としたっていうの?
春に去った恋しい男の瞳と同じ、闇色に光る石。力の護りを優しく手の平に包み、希由香が立ち上がる。かつて浩司と見たあの夜の色を見せることのない空と街並を、遠い瞳で再度見渡す。
これでわかった。護りの今ある場所も、どこで手に入れたのかも…。
キノの心に湧き上がるのは、満足感でも達成感でもなく、新たなる決意だった。
今まで、世界を救うという自分には大それた、漠然とした使命感よりも、希由香と浩司それぞれの思いの強さこそが、キノを護りの発見へと駆り立てていた。それを見届けることは自分にとっても深い意味があると信じ、ここまで来た。
キノは今あらためて、二人の幸福を心の中心から願う。そして、二人の運命の中で果たす自分の役割が、決して悲しい未来を引き起こすものではないようにと。
キノの視界に映る景色が動いた。何気なく希由香が見やった柵の右手側に、何か赤いものが見える。100メートルばかり離れたところにあるそれは、一面の緑の中に異質で、見る者の目を自然と惹きつける。
ためらいがちに足を踏み出した希由香が近づくにつれ、背の高い夏草の間に見え隠れする赤い物体の正体が露になる。
はたと立ち止まる希由香の10メートルほど先に、鮮やかな色のシャツを羽織った男が腰を下ろしていた。銀に近い金髪に灰蒼の瞳を持つその男がこちらを向く。
誰…?
人の気配には、とうに気づいていたのだろう。男は希由香の姿に驚きもせず微笑みかけると、再び視線を前方へと戻し、丘の向こうに広がる風景を眺め続ける。
物思いに耽るその瞳はどこか悲しく、希由香は目を逸らすことが出来なかった。
「ここにはよく来るんですか?」
ぼんやりと空を見ていた希由香に、男が言った。
しばらくその場に立ち尽くしていた希由香が男の隣に腰を下ろしてから、1時間余りの時が経過していた。
それぞれの思いを抱えた見ず知らずの二人は、互いの心に巣くう悲しみと切なさを感じ取っていたのだろうか。希由香も男も、同じ空間を共有することに何の違和感も感じず、穏やかで不思議な時が流れる。
希由香は男に視線を移した。
「日本語、話せるの?」
「毎年、一年のうち半分くらいはこっちで生活していますから」
そう言った男の優し気な表情に、希由香はほっとする。
「よかった…。何て話しかけていいか、わからなかったの。ここに来たのは、二度目よ。前は…」
言葉に詰まる希由香を見て、男が話の続きを引き受ける。
「あそこに、黒い屋根が見えるでしょう? 私はよくそこを訪ねて来るんですが、この庭で人に会ったのは初めてです」
希由香が男の指さす方に目をやると、夜に見ても全く気づかないであろう黒い建物があった。
「ここ…あの家の庭だったの? ごめんなさい、勝手に入っちゃって…」
「それは全くかまいません。こんな森の奥に入って来る人は滅多にいないので、少し不思議に思っただけで…」
「…ここから見る夜景が好きだっていう人が、連れて来てくれたの。もう一度だけ来てみたくて…」
「その人とは…もう一緒に来られないんですね」
男の口調は静かで、そして、全てを知っているかのようだった。
「今も、愛してるんですか?」
唐突なその問いに、希由香は素直にうなずいて微笑んだ。
「自分を愛さない人を思い続けるのは、不幸せだと思う?」
「幸か不幸かは、人によるでしょう」
「あなたは?」
「…何故、私が報われない思いを抱いていると思うんです?」
「最初に私を見た時…あなたが微笑んだから」
男が希由香を見つめ、諦めたように笑う。
「私は、自分を幸せだと思います」
「愛されたいと願っても、叶わない。それを知ってても?」
「自分でそうしたいと望んでいますから。悲しみを上回る恋しさがある。それでも辛いなら、やめればいい。違いますか?」
「…私も幸せよ。思う人がいない方が、寂しくて辛いことかもしれない。もし、彼に出会えずにいたら、私…心から笑うことなんて、忘れたままだった。私は彼を救えなかったけど…彼の幸せを願ってる」
「願いや祈りは…力を生み出します」
男がふと思い詰めた表情になる。
「あなたの意見を聞かせて欲しい。愛する人が…自分のすべきことだからと、心を苦しめることをする時…あなたなら、どうしますか? それを止めるか、ともに苦しむか。私は、自分がどうすべきか決められない」
男は、苦悩する瞳を瞼に隠す。彼の悩みを知るには及ばなかったが、希由香は自分に返せる答えを探す。
「詳しいことはわからないけど、そのすべきことは、誰が決めたものなの? つまり…何かの義務として他人に押しつけられたものなら、苦しむのがわかってるなら選ばなくていいんだよって言える。でも、自分自身の意志で決めたことなら…止めるのは、一緒に苦しむより勇気がいると思うから…」
男は悲しみに満ちた瞳を希由香に向け、深い溜息をついた。
「私は…彼女が自分で決めたことだと知っています。そして…それが、彼女にとって死よりも辛い選択であることも」
「…たとえ自分が死ぬとしても、しなきゃならないこと…ううん、どうしてもしたいことは…あると思う。でも、その理由によっては、反対した方がいい場合も…それに、反対されたい場合もあるかもしれない。言えない何かがあるのかもしれない。気づいてあげれば変えられる何かがあるのかもしれない。だから、私だったら本当の心を知りたいよ。あなたは、それを決めたのは彼女の本心だと思う?」
男はまじまじと希由香を見つめる。
「あなたは…愛する人が死ぬ時、何を望みますか?」
「え…?」
希由香は男の真剣な瞳を見つめる。
「もし、自分が代われるなら代わりたい」
「それが不可能な場合は?」
「…誰かを愛していて、愛されていて欲しい。死ぬ時はひとりだって知ってるけど、心に誰かがいて、寂しくはないように。愛する人が孤独な心のまま死ぬのは…何よりも辛いから」
希由香が微笑んだ。
「いつ死ぬかなんてわからないけど、愛する人には一日でも多く生きてて欲しいと思う。幸せでいてくれればもっといいな。そうじゃない?」
男は黙って空を仰ぎ、希由香へと視線を戻す。その顔には、何かを吹っ切ったかのような笑みが浮かんでいた。
「今日あなたに会えて…話が出来てよかった」
「ありがとう。私もそう思ってたところ。どうしてかわからないけど…あなたと話したい、話さなきゃって思ったの」
「あなたは…」
男が何かを言いかける。その瞬間、希由香の目に映る男の灰蒼の瞳を最後に、キノは視界を失った。
★★★
キノの頭の中を、写真のような映像が凄まじい速度で掠め去る。そして、色とりどりの閃光と化したそれらが、ふいに止んだ。
背骨を伝う冷や汗のような時間が流れる。
いったいどうなってるの…? ずっと真っ暗なまま…もしかして、記憶から戻れない…!? どうすればいい!? 浩司…!
キノの叫びが声になることはなく、意識をさらう闇が続いた。
キノの意識は全く別の時、別の場所での希由香の記憶を捉えた。強い光線を頭上から放つ太陽の眩しさに、希由香が目を細める。
草木の茂る丘。滅多に人の踏み入れぬ、自然のみが愛でる庭園。街を眼下に臨む丘の先端に建つ古木の柵に、希由香がゆっくりと近づいて行く。
まだ…希由香の記憶の中? 浩司が導いたの?
キノの脳裏に甦る夜景。浩司と二人で見渡した、濃紺の闇に光る黄銀の明り。
ここ…この柵、あの時の…確かにあの森の奥にあった場所だ。違うのは、この暑さと蝉の声、今は真夏で昼間で…浩司がいない。
希由香は柵に手をかけて、青い空と街並との境を眺めている。
これはいつの記憶だろう…2年前、浩司と別れてすぐの夏? 去年? それとも、ついこの前の夏? 一体どうして、この記憶に…?
風雨に晒された荒い白木の柱の根元で、何かが陽を照り返し輝いている。視界の端でそれを捉えた希由香が首を傾けると、輝きは消えた。視線の角度を異にすると姿を隠すその光を探そうと、希由香がしゃがみ込む。
あれは…。
掻き分けた野の草の間には、黒い小石があった。希由香はそれを拾い上げ、目の高さに翳し見る。
浩司を思って、でも、夜に来る勇気はなくて…今、ここに来て、陽射しがあったから気づいた…。希由香の選んだ浩司への思いが、彼女自身のだけじゃなく、世界の運命の方向を決めたの? それとも、希由香を取り巻く運命が…彼女の思いを必要としたっていうの?
春に去った恋しい男の瞳と同じ、闇色に光る石。力の護りを優しく手の平に包み、希由香が立ち上がる。かつて浩司と見たあの夜の色を見せることのない空と街並を、遠い瞳で再度見渡す。
これでわかった。護りの今ある場所も、どこで手に入れたのかも…。
キノの心に湧き上がるのは、満足感でも達成感でもなく、新たなる決意だった。
今まで、世界を救うという自分には大それた、漠然とした使命感よりも、希由香と浩司それぞれの思いの強さこそが、キノを護りの発見へと駆り立てていた。それを見届けることは自分にとっても深い意味があると信じ、ここまで来た。
キノは今あらためて、二人の幸福を心の中心から願う。そして、二人の運命の中で果たす自分の役割が、決して悲しい未来を引き起こすものではないようにと。
キノの視界に映る景色が動いた。何気なく希由香が見やった柵の右手側に、何か赤いものが見える。100メートルばかり離れたところにあるそれは、一面の緑の中に異質で、見る者の目を自然と惹きつける。
ためらいがちに足を踏み出した希由香が近づくにつれ、背の高い夏草の間に見え隠れする赤い物体の正体が露になる。
はたと立ち止まる希由香の10メートルほど先に、鮮やかな色のシャツを羽織った男が腰を下ろしていた。銀に近い金髪に灰蒼の瞳を持つその男がこちらを向く。
誰…?
人の気配には、とうに気づいていたのだろう。男は希由香の姿に驚きもせず微笑みかけると、再び視線を前方へと戻し、丘の向こうに広がる風景を眺め続ける。
物思いに耽るその瞳はどこか悲しく、希由香は目を逸らすことが出来なかった。
「ここにはよく来るんですか?」
ぼんやりと空を見ていた希由香に、男が言った。
しばらくその場に立ち尽くしていた希由香が男の隣に腰を下ろしてから、1時間余りの時が経過していた。
それぞれの思いを抱えた見ず知らずの二人は、互いの心に巣くう悲しみと切なさを感じ取っていたのだろうか。希由香も男も、同じ空間を共有することに何の違和感も感じず、穏やかで不思議な時が流れる。
希由香は男に視線を移した。
「日本語、話せるの?」
「毎年、一年のうち半分くらいはこっちで生活していますから」
そう言った男の優し気な表情に、希由香はほっとする。
「よかった…。何て話しかけていいか、わからなかったの。ここに来たのは、二度目よ。前は…」
言葉に詰まる希由香を見て、男が話の続きを引き受ける。
「あそこに、黒い屋根が見えるでしょう? 私はよくそこを訪ねて来るんですが、この庭で人に会ったのは初めてです」
希由香が男の指さす方に目をやると、夜に見ても全く気づかないであろう黒い建物があった。
「ここ…あの家の庭だったの? ごめんなさい、勝手に入っちゃって…」
「それは全くかまいません。こんな森の奥に入って来る人は滅多にいないので、少し不思議に思っただけで…」
「…ここから見る夜景が好きだっていう人が、連れて来てくれたの。もう一度だけ来てみたくて…」
「その人とは…もう一緒に来られないんですね」
男の口調は静かで、そして、全てを知っているかのようだった。
「今も、愛してるんですか?」
唐突なその問いに、希由香は素直にうなずいて微笑んだ。
「自分を愛さない人を思い続けるのは、不幸せだと思う?」
「幸か不幸かは、人によるでしょう」
「あなたは?」
「…何故、私が報われない思いを抱いていると思うんです?」
「最初に私を見た時…あなたが微笑んだから」
男が希由香を見つめ、諦めたように笑う。
「私は、自分を幸せだと思います」
「愛されたいと願っても、叶わない。それを知ってても?」
「自分でそうしたいと望んでいますから。悲しみを上回る恋しさがある。それでも辛いなら、やめればいい。違いますか?」
「…私も幸せよ。思う人がいない方が、寂しくて辛いことかもしれない。もし、彼に出会えずにいたら、私…心から笑うことなんて、忘れたままだった。私は彼を救えなかったけど…彼の幸せを願ってる」
「願いや祈りは…力を生み出します」
男がふと思い詰めた表情になる。
「あなたの意見を聞かせて欲しい。愛する人が…自分のすべきことだからと、心を苦しめることをする時…あなたなら、どうしますか? それを止めるか、ともに苦しむか。私は、自分がどうすべきか決められない」
男は、苦悩する瞳を瞼に隠す。彼の悩みを知るには及ばなかったが、希由香は自分に返せる答えを探す。
「詳しいことはわからないけど、そのすべきことは、誰が決めたものなの? つまり…何かの義務として他人に押しつけられたものなら、苦しむのがわかってるなら選ばなくていいんだよって言える。でも、自分自身の意志で決めたことなら…止めるのは、一緒に苦しむより勇気がいると思うから…」
男は悲しみに満ちた瞳を希由香に向け、深い溜息をついた。
「私は…彼女が自分で決めたことだと知っています。そして…それが、彼女にとって死よりも辛い選択であることも」
「…たとえ自分が死ぬとしても、しなきゃならないこと…ううん、どうしてもしたいことは…あると思う。でも、その理由によっては、反対した方がいい場合も…それに、反対されたい場合もあるかもしれない。言えない何かがあるのかもしれない。気づいてあげれば変えられる何かがあるのかもしれない。だから、私だったら本当の心を知りたいよ。あなたは、それを決めたのは彼女の本心だと思う?」
男はまじまじと希由香を見つめる。
「あなたは…愛する人が死ぬ時、何を望みますか?」
「え…?」
希由香は男の真剣な瞳を見つめる。
「もし、自分が代われるなら代わりたい」
「それが不可能な場合は?」
「…誰かを愛していて、愛されていて欲しい。死ぬ時はひとりだって知ってるけど、心に誰かがいて、寂しくはないように。愛する人が孤独な心のまま死ぬのは…何よりも辛いから」
希由香が微笑んだ。
「いつ死ぬかなんてわからないけど、愛する人には一日でも多く生きてて欲しいと思う。幸せでいてくれればもっといいな。そうじゃない?」
男は黙って空を仰ぎ、希由香へと視線を戻す。その顔には、何かを吹っ切ったかのような笑みが浮かんでいた。
「今日あなたに会えて…話が出来てよかった」
「ありがとう。私もそう思ってたところ。どうしてかわからないけど…あなたと話したい、話さなきゃって思ったの」
「あなたは…」
男が何かを言いかける。その瞬間、希由香の目に映る男の灰蒼の瞳を最後に、キノは視界を失った。
★★★
キノの頭の中を、写真のような映像が凄まじい速度で掠め去る。そして、色とりどりの閃光と化したそれらが、ふいに止んだ。
背骨を伝う冷や汗のような時間が流れる。
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