リアルBL!不安な俺の恋愛ハードルート

Kinon

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3-1 ゲイなの?

 ここ蒼隼そうしゅん学園についてかいに教えるのは、さほど苦もなく難しくもない。受け入れられるかどうかは別として。

 蒼隼学園には中等部と高等部がある。
 高等部はここ。
 校舎は最寄の駅から徒歩10分。
 さらに5分歩いたところに高等部の寮があって、家が遠方の生徒がここで生活してる。全体の4分の1くらいかな。

 中等部は隣の市の山中にある。
 そして、全寮制で外部から隔離された学校生活を3年間送ると、ほとんどの生徒が同性愛に寛大になる。
 まぁ、自然な成り行きだよね。
 性に目覚めて欲望処理に勤しむ多感な時期を、男しかいない世界で過ごすんだから。
 恋愛対象もセックスの相手も、求めるなら男限定。少数いる求めない派も、同性愛に対する嫌悪感はない。
 見慣れちゃうとそんなもん。
 
 その中等部からの内部進学組が、高等部の半数を占める。もう半分は高等部からの外部進学組で、ほとんどが男女共学の中学時代を過ごした生徒たちになる。
 つまり、高校から蒼隼学園に入ってきた人間の大半はヘテロセクシャル……ノンケなので、女が好きで男は対象外。

 そこまではいいの。性指向は人それぞれ。他人がどうこういうことじゃない。
 だけど、現実には問題がありまくる。

 ゲイだろうがノンケだろうが、誰にも迷惑かけてないんだからいいじゃん!

 そう言えるあなたはラッキー。恋人と末永くお幸せに。
 でもね。
 悲しくも避けられないことに、ゲイがノンケに惚れちゃうケースがある。かなり頻繁に。
 しかも、それが学園内で起きる。
 惚れた側のゲイが強引に迫ったり、惚れられた側のノンケがゲイ全体を誹謗中傷ひぼうちゅうしょうしたり。

 結果、最初は当人たちだけだったのが周囲を巻き込んで、衝突して対立って図式の一丁上がりーっとなる。



 これらの事情を、私情を交えず簡潔に説明した。

「そんな感じで、何かあるとモメ事がムダに大きくなるんだよ。うちのクラスは仲いいほう」

 ここまで黙って聞いてた凱が、口を開く。

「なるほどねー。よくわかった」

 俺の説明で理解出来なかったら、この先いろいろな経験しつつ身をもって知ってもらうしかないところ。
 よくわかったなら、よかったよかった。

「仲良く共存すればいーじゃん? どっちが悪いっつーもんじゃねぇんだからさ」

 あれ? わかったって言ったよな?

「話聞いてたか? 世間的にゲイはマイノリティだけど、ここではそうじゃない。それがノンケには不可解で気に障る。ゲイのほうは、理不尽に迫害されてる気になるから好戦的。おまけに中学からのノリで恋愛に積極的だ。で、トラブルが起きやすいんだよ」

 端折はしょり過ぎたっぽい最後のほうの説明を補填ほてんした。
 これでわからないなら、もう知らん。

「ふうん。頭いーくせにバカが多いってこと?」

「まだ高校生だからな」

 だから、感情も衝動も欲望も怒りも、まだうまくコントロール出来なくて……バカなのはしょうがない。俺は除外で……。
 やっぱ含めて。

「それ言ったら納得するしかねぇけどさー。トラブルの原因が色恋なら。その気もねぇヤツにムリヤリっての以外は、本人同士で解決すりゃいいだけだろ」

「それが出来れば苦労しないよ。うちの学校、妙に仲間意識が強いんだ。その仲間がひとつじゃなくなるのが問題だな」

「じゃあ、そん中でうまくやるしかねぇか。色恋沙汰に関わんなきゃ、とりあえずは安全?」

 その通り。それが正解。
 トラブルの99パーセントは、恋愛絡みかセックス絡み。
 これに関わらないようにすれば、平和でいられる。

 ただし。
 残念だけど……凱。お前には無理だ。
 自分の意思とは関係なく、色恋沙汰に巻き込まれるはず。
 だってさ、絶対放置してくれないよ? そういうオーラまとってるもん。

 さて、どうする……どっから確認するのがベストか。始めからか?

「えー……っと。その前に聞きたいんだけど、前いた学校ってどこ?」

 この問いに、凱は怪訝けげんそうに眉を寄せた。

「関係あんの?」

「まぁ、多少は」

 現実世界で同性愛がデフォの学校は限られる。

惺煌せいこう学園ってとこ」

 セイコー……セイコウ……惺煌!? あの……!?

 目をみはる俺を見て、凱が顔をしかめる。

「知ってんだ?」

「少しは……な。わりと有名だし、うちのライバル校だし……」

「そうらしいねー。俺がここに入ったのは住んでるとこに近いから。惺煌は強制的に入れられたんだけどさ」

 ニヤリとする凱。
 また瞳が鋭い。プラス、暗い。

 あ。ここ地雷だ。
 しかも、避けて進めないくらいギッシリの地雷帯。
 もちろん、踏まない。立ち入りません。

 だからお願い……瞳で圧かけるのやめてくれ。

「そうなんだ。でも、うん。それなら、ここの中等部と似たような環境にいたんだよな?」

「そーね。男ばっかの寮生活。俺は中2の途中からだけど。そう言えば、お前は内部進学なの?」

「ああ……」

「じゃあ、ゲイなの?」

 それさぁ、会って2時間足らずでダイレクトに聞いちゃう?
 素直に話についてきてくれるのはうれしいけど、素直には率直がよくセットになってるの忘れてたわ。

「お前は?」

 ズルいけど先に聞かせて。
 何の抵抗もなく答えそうだし。



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