リアルBL!不安な俺の恋愛ハードルート

Kinon

文字の大きさ
34 / 246

14-1 二人きりじゃん!

しおりを挟む
 窓を閉めた鷲尾わしおが部室を出ていってから程なくして。

かいのヤツ、やるな。場慣れしてやがる」

 息をついて涼弥が呟いた。
 勢いよく後ろを向くと。至近距離で涼弥と目が合って、ちょっと狼狽うろたえる。

「そう……だな。昨日も、あの豹変ぶりでうまく鷲尾をかわしてさ」

 俺を見据える涼弥の瞳がまともに見れない。
 怒らせるようなことは何もしてないはず、なのに……何か責められてる気がするのはどうしてか。


 マズい。
 このままだと顔が熱くなりそうだし、どこにあるかわからない涼弥の地雷を踏みそうで。
 しかも、俺ら今2人きりじゃん!
 あれ? 俺、今までどんな感じで涼弥と友達づき合いしてたんだっけ……?



「お前、凱のこと気に入ったのか?」

「え……?」

 えーと……これ、何て答えるのが正解?

「凱とは昨日知り合ったばっかだけど、なんか気が合ってさ。ちょっと変わってるとこあるけど、いいヤツだし。友達として好きっていうか……信頼出来るんだ」

 嘘つくのも変だから、思ってることをそのまま口にした。
 涼弥が眉を寄せて唇を薄く開け、何も言わずにギュッと閉じる。



 その反応、何?
 ていうか……何でそんな瞳で俺を見る!? そんな……悲し気で苦し気な……あ! 
 もしや、これが深音と紗羅が言ってた切ない瞳って……やつ……。



 顔が、頭がカッと熱くなるのをごまかそうと、思いきり目を逸らした。

「腹減ったな。早く教室戻って飯食おう。購買! まだやってるよな?」

 涼弥から数歩離れるように動いてから視線を戻す。

「ああ、たぶん」

 俺を見る涼弥の瞳からは切なさが消えて。代わりに、諦めるような呆れるような薄れた笑みが口元に浮かんでる。
 微かな淋しさを感じつつ、ホッとして息を吐く。
 校舎の非常口に向かって、俺たちは自然に歩き出した。



「あー俺、今日はおむすびがいいな。お前は? 弁当か?」

「今日は駅前で買ってきた。將梧そうご……」

「ん?」

 出来るだけ自然な表情を心がけて涼弥を見る。

「昨日、彼女とは……うまくいったのか?」

「あ……まぁ、うん」



 深音とセックスしたのかって聞かれてるみたいで。いや、実際そうなんだろうと思うと、堂々と肯定するのには抵抗がある。
 俺だけが意識してるのか、それとも。
 涼弥も少しは気にしてくれてる……のか? 俺がほかの人間とセックスしてることを?

 わー今のなし……!

 ほかのって何だよ? 涼弥とはしてないじゃん!
 つーか!
 涼弥が……自分以外と、なんて俺に対して思うとか……ないよな?

 あったら怖い。どうしよう!?
 涼弥がそういう目で俺を見てるって考えたら……俺、自信もって告れるまでコイツと目合わせられないわ。



「お前は? あれから、和沙と話したんだろ。何だって?」

 これ以上思考がそっちに行かないように、話題チェンジだ。

「和沙? ああ、藤宮のことか。あいつは、前にちょっと街で揉めてるの助けたんだが……その時の状況で、確認したいことがあるって話だった」

「そうなんだ」



 涼弥が女を助けに入る状況っていうとやっぱり、しつこいナンパ男や悪いヤツらに絡まれてるとか…襲われそうになってるとか。
 とにかく、困ってたり危機的状況にあったりした和沙が、涼弥に助けてもらったんだろう。
 そういう時って、自分を救ってくれた男に対して自然と好ましい感情が湧くもんだよな。相手にも依るけどさ。

 ピンチの最中に恋愛感情を抱きやすいっていう吊り橋効果は、一理あると思う。
 助けてくれた相手に感謝プラス好意を抱くのも、逆に助けた相手に好意を抱くって心理があるのも納得出来る。



 でも。
 そんなの錯覚じゃん?
 俺自身、自分が涼弥に助けられた状況での俺たちの行動の理由を、そう結論づけた。
 でも……違った。
 いや。
 錯覚じゃないこともあるって、知ったんだ。



 特殊な状況下で抱く恋心は錯覚で、すぐに消える幻想的なものかもしれない。
 だけど、それはただのきっかけで。もともとそこにあるものなら…いつか気づいて認めるしかなくなる。
 遅かれ早かれ、望む望まざるにかかわらずに、だ。

 少なくとも。
 俺の場合はそうだったから今、涼弥はどうなのか気になるんだよ。
 この半年間、俺と涼弥の間に溝を作ってきたものの正体は、錯覚か消せない思いか。まだ確かめる勇気がないって…ヘタレだね俺。
 こんなんじゃ、和沙に涼弥持ってかれても仕方ないな……。



 グルグルとしょうもない考えに囚われてるうちに非常口に着き、校舎の中に戻る。天文部の部室の前には誰もいない。
 俺たちは、人気のない廊下を進んだ。




しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。 そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】

まつも☆きらら
BL
突然できたかわいい弟。素直でおとなしくてすぐに仲良くなったけれど、むじゃきなその弟には実は人には言えない秘密があった。ある夜、俺のベッドに潜り込んできた弟は信じられない告白をする。

処理中です...