リアルBL!不安な俺の恋愛ハードルート

Kinon

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24-3 こんなんばっかで、もう嫌、限界

 一瞬の間。
 その前の言葉との意味を結びつけるのに、時間がかかった。

「沙羅の友達と涼弥が、ホテル……」

 涼弥が……沙羅の友達と……友達……。

「その友達って、和沙かずさ?」

「誰かは聞いてない」

「そうか……うん。わかった。沙羅と深音みおが気になって友達の後つけたの、相手が涼弥だからだろ」

 通常トーンで話す俺を、御坂が訝しげに見る。

將梧そうご。ショックじゃないの?」

 ショック……はショックだけど。悠とのこと聞いた時ほどじゃない。
 相手が女だからか?
 それに……。

「まぁ少しは……けどさ。俺、涼弥とつき合ってるわけじゃないし。偽装でも、深音とセックスしたし……」

 考えるふうな鋭い目をしたかいを見やり。

「涼弥が好きなのに、凱とやった。理由は何でも、俺がやりたくてやったんだ。あいつもそうなら……いいじゃん」

 御坂に、大したことじゃないって感じで笑って見せた。

「お前が気にしてないなら、それでいいけど……」

「ホテル入ったからって、やってるって限んねぇしな」

 とりあえず納得した様子の御坂に、無理めの楽観的意見を述べる凱。

「お前だって1回くらいあんだろ?」

「出来なかったことなら、あるよ」

「へー繊細だねー。あー見えて涼弥もそーかも。つーか、好きな相手とも限んねぇよな。お前みたいに」

「そうだね」

 御坂が笑い、予鈴が鳴る。

「とにかくさ。俺が涼弥を好きだってこと、ただ知っててくれればいいから」

「わかった……あ、將梧。沙羅は知ってる?」

「知ってるよ。深音も。だから、気になってつけたんだと思う」

 さっきより納得の色を強めた瞳で、御坂が頷いた。



 小泉が教室に入ってきて、みんな自分の席へと戻る。
 SHR。続く数学の授業も上の空で。

『考え過ぎんなよ? どーしても気になんなら、本人に聞くしかねぇからな』

 2限の選択授業で物理室に向かう前、凱に言われた。
 けどさ。



 考えちゃうだろ! どうしたって!



 沙羅と深音の友達ってのは十中八九、和沙だよな。
 形だけつき合ってほしいって頼まれたって、涼弥も言ってたし。
 和沙の事情は知らないけど、本当に困ってるコの本気の頼みゴトなら……涼弥はオーケーするはず。
 たとえあんまり親しくない相手でも、自分に不都合がなきゃ。もしくは、少しでも自分にメリットがあれば。

 和沙だとして。
 彼氏のフリするのにホテル……行く?
 誰に対するフリで?
 沙羅と深音は見てたけど、その『フリを見せたい人間』もいたの? そこに?

 じゃ次。
 便宜上、形だけつき合って彼氏のフリするためにホテル行ったとして。



 セックスしないで何すんの?



 お話? 映画でも見る? カラオケとかもあるんだっけ? あと何がある?

 俺の中では。
 ラブホって、デカいベッドがでんとあって。
 さあどうぞ、心置きなくやりなさい!って空間なイメージなんだけど……偏見か?
 その気がなくてもその気にさせられちゃう部屋っていうか……。
 いや。
 怖いだろ、そんなとこ。絶対変な物質漂ってる。

 で、結局。
 俺がとやかく言うことでも、悶々と考えることでもなし。
 相手が和沙だろうがほかの女だろうが、涼弥がやりたくてやるならいい。それはほんと。

 だってさ。



 俺、凱とセックスしたじゃん! めっちゃ興奮して。出来るだけいっぱいやりたくて。すげーよくて!



 これな。
 自分のこと棚に上げんなって話。
 俺が凱とやりたくてやったように、涼弥が誰かと。それは理解も納得も出来る。

 ただ……ただね?


 
 モヤモヤムカムカ。イヤーな感情が、ふつふつと湧くのがキツい。



 嫉妬な。
 悪魔に変容する第一要素。これがなきゃ、人間もっと生き易いらしい。
 まぁ、生き易い、イコール、ハッピーじゃないけども。
 俺が感じる嫉妬心は、たぶん微々たるもの。指に刺さった棘くらい? ほかに気とられることあれば、すっかり忘れる程度の。

 はぁ……何かないかな、気逸らしてくれるモノ。物理の公式以外に。



 集中出来ない授業も残り15分。物理のテストは1日目だったから、もう今日結果が返される。
 答案返却で名前を呼ばれ始めると、物理の木島がテスト問題の解説を延々と語ってる間は静かだった教室に雑音が溢れる。

「お前、やっぱり気にしてるだろ」

 隣に座る御坂がボソッと言った。

「ずっとボーっとして、杉原のこと見てる」

「気にはしてる」

 ごまかす必要もなく認める。

「あやふやっていうか……考える余地があるからダメなんだよな」

「あぁそれはあるね。可能性がゼロじゃないことって、期待したり心配したりするのやめられない」

「そう。ほぼハズレなら、アタリはないってハッキリわかったほうが楽だよ」

「でも、たまにない? ほんの少しの希望でも残しときたくて、わざと見ないフリすること」

「あるな。それも」

 名前を呼ばれた。
 教卓で木島から答案を受け取って席に戻る時、ずっと後ろ姿だけ見てた涼弥を前から見た。
 目が合う。
 瞬間。逸らすなよ!って念を送った。



 なんっですぐ目逸らすんだよ……!?



 俺の念にパワーがないせい……なんてバカなこと思うわけない。
 ここんとこ、こんなんばっかで。もう嫌。限界。さすがに。

「俺、涼弥に聞くわ」

 席に戻ってきた御坂に宣言する。

「昨日のこと」

「聞くって、ホテル行ってやったかどうか?」

「うん」

「でもそれ……キツい言い方になるけど、お前に関係ないだろ?」

 涼弥が俺を好きだって発想がなければ、そう思うのは当然。
 言いにくそうに、だけど言ってくれる御坂に微笑んだ。

「わかってる。俺のわがままで聞くって。でも聞くよ」

「気持ち、バレてもいいの?」

「うん。もういい。男も平気ってわかったからさ。先戻ってて」



 チャイムと同時に、涼弥のところへ。席を離れる前に、正面から向き合った。

「話があるんだ。5分つきあってくれないか?」

 明らかに驚いた顔の涼弥の瞳が揺れる。

「頼む」

「……わかった」



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