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27-5 楽しみに待ってろ、俺も待つ
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「俺が襲いかかりゃ、お前は俺を嫌いになって完全に離れる。そうしなけりゃと思った。マジでやる気はない……当然な」
くぐもった声で、涼弥が答える。
「何で……?」
「俺の気持ち知って、それでも友達でいようとするってのは……お前にとっちゃ、かなりのストレスだ。いつ俺にやられんじゃねぇかって怯えて……けどよ、お前から俺は切れねぇだろ」
涼弥が顔を上げて俺を見る。
「自分からは離れられないが……友達でいるのもつらい。俺は……お前が手に入らねぇなら……手が届かねぇようにしたかった」
真剣な涼弥の瞳を見つめる。
俺が、せめて友達の関係は失くしたくないと思ってた時。
涼弥は……友達より深くなれないなら、いっそなしでって……そこまで俺を……。
心がしめつけられて……熱いよ。
「だから今日……学校で抑えらんなくなった時、終わりだと思って最後に……動画だけは、どうにか自分でケリつけなけりゃ……ってな。けど……」
涼弥が溜息をついた。
「土曜に終わる覚悟してたくせによ。いざこれでもう終わりかって考えると……力が入らねぇんだ。水本に殴られて、むしろ助かった。自分の身体、痛みで実感出来たからな」
涼弥……。
「もう目も合わせない、口も聞いてくれねぇかもって思ってたお前が店に来て……俺を好きだって。今もキスして、俺に抱かれる気があるって聞いたら……どうにかなっちまうだろ?」
「涼弥……もうわかった」
チュッと。触れるだけのキスをして、緩んだ涼弥の腕から抜け出して。
床に放られた薬の袋を手に取って、中から抗生剤と痛み止めのプラシートを出した。一緒に飲むらしい胃腸の薬も。
「薬、飲めよ」
一回分の錠剤をプチプチと取り出して、涼弥に渡す。
「あ……水がなかった」
「いい。コーヒーで」
「平気なのか? 成分的に……」
言ってる間に。ラグに直に置かれたお盆にあったコーヒーで、涼弥が薬を飲み下した。
「いつもそのへんのもんで飲んでる。將梧。何で急に……軽蔑したか?」
心配そうな顔を向ける涼弥に笑いかける。
「するわけないだろ。その逆。あ、服も着替えれば? シャツの血は落ちないかもな」
「そんなのはいい。將梧……」
「薬飲んで食って眠って。早く治せよ」
涼弥が俺の瞳にしっかりと焦点を合わせるのを見てから。
「お前とセックスしたい」
素直な気持ちを口にする。
「一ヶ月。楽しみに待ってろ。俺も待つ」
「……遠いな」
「じゃあ、3週間ちょい。学祭終わるまで。そうだ、食おう。弥生さんお手製のチーズケーキ。懐かしいな」
お盆からケーキの載った皿を取り、コーヒーを一口飲んだ。
チーズケーキを頬張り始めた俺を見て、涼弥がフォークを手に取りケーキのど真ん中にザクッと刺す。
「うまい」
マジでうまいんだよねこれ。
「そりゃよかった」
涼弥もケーキを口に運ぶ。
「あばらのヒビなんか、一週間休んだだけで空手の稽古してたぞ」
「俺もそうだった」
なら、何でセックスはダメなんだ?
聞きはしないで、そう言いたげな目を向けてくる涼弥がかわいい。痣だらけの強面なのに。
「將梧。何で笑ってんだ?」
「ブスッとしてるからさ。拗ねてるのか?」
「いや。舞い上がってフワフワすると思ったら、我慢利かねぇとか……自分が手に負えねぇ。笑うな」
そう言われても。
今日は笑いより緊張が多かった分、おかしい気分はなかなか消えなかった。
食べ終えて。コーヒーも飲み干して、息をつく。
「俺はさ。お前が傷つくのも痛いのも苦しいのも嫌だ。気持ちいいことしてる時は、痛いのなんかわかんなくなるだろ。で、無理してあとで気づく。だから、治るまでやらない」
「俺は……」
「病院行く前、言ったよな? 逆だったらって。お前、俺がケガしててもやりたいっつったらやるの? 理性飛ばない自信あるか?」
「逆なら待つぞ。完治するまでキッチリ」
「差別するなよ」
「抱かれるほうが、きっとつらい。肋骨やってたら」
「そんなふうに言われると怖くなるだろ。お前とやるの」
涼弥が黙り込む。眉間に浅く皺を寄せて。
「何考えてる?」
俺を見る涼弥の瞳が揺れる。
「言わなきゃならない5つめは……悠とのことだ」
俺の瞳も揺れた。
いきなりで……動揺する。
「いずれ話すが……暫く待ってくれるか?」
「え……?」
「お前が男とやった話も……あとで必ず聞き出すが、今は言わないでくれ」
必ず……って。怖いなそれも。
「あとって……」
「お前を一度でも抱いてからなら……冷静に聞けるし話せる。だから、そのあとだ」
その前に聞いたら……キレたりへこんだりしそうだから……か?
それよりも。
「何で、俺がやったことになってるんだよ」
「ないのか? 気になるかって聞くなら、気になる。あるかないかだけ教えろ」
探るように見つめ合う。
嘘はつけない。つくつもりもない。
「あるよ。ひとりと……一度。もちろん、自分の意思で」
くぐもった声で、涼弥が答える。
「何で……?」
「俺の気持ち知って、それでも友達でいようとするってのは……お前にとっちゃ、かなりのストレスだ。いつ俺にやられんじゃねぇかって怯えて……けどよ、お前から俺は切れねぇだろ」
涼弥が顔を上げて俺を見る。
「自分からは離れられないが……友達でいるのもつらい。俺は……お前が手に入らねぇなら……手が届かねぇようにしたかった」
真剣な涼弥の瞳を見つめる。
俺が、せめて友達の関係は失くしたくないと思ってた時。
涼弥は……友達より深くなれないなら、いっそなしでって……そこまで俺を……。
心がしめつけられて……熱いよ。
「だから今日……学校で抑えらんなくなった時、終わりだと思って最後に……動画だけは、どうにか自分でケリつけなけりゃ……ってな。けど……」
涼弥が溜息をついた。
「土曜に終わる覚悟してたくせによ。いざこれでもう終わりかって考えると……力が入らねぇんだ。水本に殴られて、むしろ助かった。自分の身体、痛みで実感出来たからな」
涼弥……。
「もう目も合わせない、口も聞いてくれねぇかもって思ってたお前が店に来て……俺を好きだって。今もキスして、俺に抱かれる気があるって聞いたら……どうにかなっちまうだろ?」
「涼弥……もうわかった」
チュッと。触れるだけのキスをして、緩んだ涼弥の腕から抜け出して。
床に放られた薬の袋を手に取って、中から抗生剤と痛み止めのプラシートを出した。一緒に飲むらしい胃腸の薬も。
「薬、飲めよ」
一回分の錠剤をプチプチと取り出して、涼弥に渡す。
「あ……水がなかった」
「いい。コーヒーで」
「平気なのか? 成分的に……」
言ってる間に。ラグに直に置かれたお盆にあったコーヒーで、涼弥が薬を飲み下した。
「いつもそのへんのもんで飲んでる。將梧。何で急に……軽蔑したか?」
心配そうな顔を向ける涼弥に笑いかける。
「するわけないだろ。その逆。あ、服も着替えれば? シャツの血は落ちないかもな」
「そんなのはいい。將梧……」
「薬飲んで食って眠って。早く治せよ」
涼弥が俺の瞳にしっかりと焦点を合わせるのを見てから。
「お前とセックスしたい」
素直な気持ちを口にする。
「一ヶ月。楽しみに待ってろ。俺も待つ」
「……遠いな」
「じゃあ、3週間ちょい。学祭終わるまで。そうだ、食おう。弥生さんお手製のチーズケーキ。懐かしいな」
お盆からケーキの載った皿を取り、コーヒーを一口飲んだ。
チーズケーキを頬張り始めた俺を見て、涼弥がフォークを手に取りケーキのど真ん中にザクッと刺す。
「うまい」
マジでうまいんだよねこれ。
「そりゃよかった」
涼弥もケーキを口に運ぶ。
「あばらのヒビなんか、一週間休んだだけで空手の稽古してたぞ」
「俺もそうだった」
なら、何でセックスはダメなんだ?
聞きはしないで、そう言いたげな目を向けてくる涼弥がかわいい。痣だらけの強面なのに。
「將梧。何で笑ってんだ?」
「ブスッとしてるからさ。拗ねてるのか?」
「いや。舞い上がってフワフワすると思ったら、我慢利かねぇとか……自分が手に負えねぇ。笑うな」
そう言われても。
今日は笑いより緊張が多かった分、おかしい気分はなかなか消えなかった。
食べ終えて。コーヒーも飲み干して、息をつく。
「俺はさ。お前が傷つくのも痛いのも苦しいのも嫌だ。気持ちいいことしてる時は、痛いのなんかわかんなくなるだろ。で、無理してあとで気づく。だから、治るまでやらない」
「俺は……」
「病院行く前、言ったよな? 逆だったらって。お前、俺がケガしててもやりたいっつったらやるの? 理性飛ばない自信あるか?」
「逆なら待つぞ。完治するまでキッチリ」
「差別するなよ」
「抱かれるほうが、きっとつらい。肋骨やってたら」
「そんなふうに言われると怖くなるだろ。お前とやるの」
涼弥が黙り込む。眉間に浅く皺を寄せて。
「何考えてる?」
俺を見る涼弥の瞳が揺れる。
「言わなきゃならない5つめは……悠とのことだ」
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いきなりで……動揺する。
「いずれ話すが……暫く待ってくれるか?」
「え……?」
「お前が男とやった話も……あとで必ず聞き出すが、今は言わないでくれ」
必ず……って。怖いなそれも。
「あとって……」
「お前を一度でも抱いてからなら……冷静に聞けるし話せる。だから、そのあとだ」
その前に聞いたら……キレたりへこんだりしそうだから……か?
それよりも。
「何で、俺がやったことになってるんだよ」
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