リアルBL!不安な俺の恋愛ハードルート

Kinon

文字の大きさ
211 / 246

51-5 お化け屋敷の仕事をこなし


 猫耳カチューシャと高野が撮ってくれた写真を手に。混雑する廊下を抜け、階段を下りてお化け屋敷へと戻る。

「ごめん。遅くなって……」

「委員長! どこ行ってたの、もう。今、お客さん女ばっかりだから。次エスコートよろしく」

 受付にいるのは新庄だ。

「岸岡は遊びに行ったのか?」

 ずっとここに詰めてることないんだし、そのほうがいいよね。

「1年の子と中入ってる。好きですとか言われて、いい気になって」

「まぁ……岸岡って今フリーみたいだから別にいいんじゃ……」

「あの遊び人、ムカつく」

 えー!?
 本当はどうか知らないけども。遊び人レベルは新庄も変わらなく見える……って、言えない雰囲気。
 本気で不機嫌オーラ出してるから……あ。

 もしや、岸岡にホレてるなんてこと……。

「早く耳つけて。後ろ、エスコートご所望のお客さんだから」

 本心はどうあれ、新庄のしたいようにすればよしとして。

「オーケー」

 ブスッとした声に従い、猫耳を装着。

 さてと……シッカリ仕事しなきゃな。



「いらっしゃいませ。エスコートの早瀬です。よろしく」

 女子高生らしき二人組に笑顔で挨拶し、ゾンビたちの待つお化け屋敷の中に入った。



 エスコート役で女の客に同行すること5回。
 4組は女子高生二人ずつ。ひと組は中学生3人。

 うまくエスコート出来たと思う。
 ヒントを揃えて、ゾンビを楽しむ女のコたちをフォローして。時折くる際どい質問にも、適度に本音と建前を交えて答えて。



 その後。
 11時40分頃に、バックヤードから出口前へ。答え合わせのテーブルの後ろ……カーテンで仕切られたスペースに入り、前の当番と交替。

 客がヒントから選んだ答えのボタンを押したら、答え合わせの仕掛けを操作するのが役目。
 出口横のイスに座ったゾンビの後ろにはベニアの壁があって、その裏に待機する。



 正解なら。
 テーブルの上と出口のドアの上にある緑のランプを点灯。
 取りつけてあるチェーンを引いて、お化け屋敷から外へのドアを解放する。

 不正解の場合。
 赤いランプを点滅。
 まずは、ゾンビの唸り声を流す。
 次に。
 手引書の指示通り。引っ張るヒモを探して、ヒモを客がゾンビのお腹に手を入れてきたら……。



 その手を掴む……!


 
 これ、すげー驚くの。
 だから、楽しいの。やりたい……のに。
 俺の当番の間、不正解はひと組だった。



 客の手を掴んで驚かすのは、最初だけ。2度めからは邪魔しない。
 お腹の穴の先は、ブヨブヨの水風船が入った箱。その中にあるヒモを見つけて引っ張ると。正解の場合と同じように、脱出の扉は開かれる。

 大した謎も難関もなく。10分から15分程度のルート設定のお化け屋敷としては、上出来だよな。
 
  

 出口番を終え、受付に戻った。
 昼になってますます賑わう客の対応は、エスコート役のひとりがやってる。
 案内人なしで入る客もけっこういて、エスコート待ちで行列の進みが滞ることはなくてよかった。

 大学生っぽい女3人組の案内をこなして廊下に出ると、利発そうな少年のお出迎えが。

將悟そうご。久しぶり」

れつ! 元気か?」

「うん。ゾンビ見に来たんだ」

「いっぱいいるよ」

かいが、將悟がエスコートしてくれるって。ソレ、似合ってるね」

 烈の視線は俺の頭……そう、女のコたちにも評判よかった猫耳。
 似合うのは、あんま嬉しくないんだけども。

「あ……義務でさ。凱は?」

「あっちでスカートの人と喋ってる」

 烈の指差すほうに、受付まであと少しのとこに並んで新庄と話す凱がいた。岸岡も。
 あと……長い黒髪の女のコも。

「あれが一緒に住んでるって子?」

「うん。せきっていうの」

 近づく烈と俺に気づいたのか、その子が振り向いた。



 おおッ! 美少女だ……!



 目が合って。
 微笑むその子……汐は、清楚で大人びてる雰囲気で。かわいいってよりキレイな感じ。

「待ってたぜ。エスコートして、猫ちゃん」

 凱の言葉に。すっかり頭に馴染んだフサフサの耳を、外したくなるのをグッと堪える。

「あ。この子、汐。俺の彼女。よろしくねー」

 そうだった。
 汐は、凱の彼女ってことにするって言ってたっけ。

「よろしく。將悟くん」

「はい……こちらこそ……」

 おしとやかそうな年下の子なのに。見えない迫力を感じて……つい、かしこまる。
烈の時みたいに。

「お前、信じんのか? こんなお嬢っぽいのがコイツの女ってのは、納得いかねぇ」

「嘘つく必要もないだろ。お前が納得しなくても問題なし」

 岸岡に聞かれ、信じる体で答える俺。

「けどよ。チャラいのに清純派引っかけんの、反則だよな。つーか、絶対こっちの素質もあるはず……」

「チャラく見せてるだけで、ほんとはキミみたいな遊び人とは違うんじゃない?」

 新庄が口を挟む。

「うちの学園来てから、凱が誰かと……って、聞いたことある? ないでしょ。キミにも僕にも落ちないし」

「それ。もっと納得いかねぇ。凱、そろそろ本性出せよ」

「んー? これが素だぜ?」

 凱は、いたって普段どおり。

「彼女もほんと。ノンケで浮気もしねぇから俺」

 信じてない瞳で、岸岡が汐を見やる。
 と、汐が短く息を吐いた。

「凱。頭下げて」

 言われて屈んだ凱の首に手をかけて……汐が唇を重ねた。



 う……わ……!?



 え?
 彼女のフリじゃないのか?
 こんな人前で……客も見てるよ!
 大人びてても中学生なんだよね?
 烈もいるし!



 焦る俺をよそに。
 いきなりのキスに素早く応じて汐の腰に手を回した凱は、ギャラリーを気にもせず。
 数秒ののち。深く合わせた唇を離し、岸岡を見る。

「オッケー? ほんとだろ」

「ああ……そう、だな……」

 言葉が続かない岸岡と、目を瞠る新庄。
 俺たちの後ろで、静かなどよめき。



「あいつ、マジでノンケなんだ?」
「両刀かもよ」
「あの子、おとなしそうなのにやるね」
「けっこうかっこいいじゃん。ああいう顔好み」
「今のガッツリしてたよな」



「はい。3人分ねー」

 次の番になってたらしく。一瞬呆然としてた受付のエスコート役に、凱が入場料を払い。

「んじゃ、入ろうぜ」

 何事もなかったように烈を手招き。

「行こう、將悟」

「うん……」

 あとに続く俺の前で。廊下に並んだ客たちに向かって、汐が頭を下げ。
 そして、優雅に微笑んだ。

 お騒がせして申し訳ありません。でも、お気になさらないで……って感じ。



 やっぱり。
 凱の身内だけあって……この子もどこか変わってる、と思った。



感想 5

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。 そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。