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12話【魔導師ト魔女】*
しおりを挟む約束の日。この日ヨナは街の中に占拠するドーム状の闘技場にいた。一対一の戦いだと思っていたヨナの周りを取り囲む強者の魔導師達。魔女最強説を立証するため行われることになった。
・ * ・* ・ * ・
直前に知らされたルールにヨナは抗議したが宰相の使者は、
『あなたは既に我が国の魔女様であります。国のルールに従ってもらいます。あなたは城の生きた図書を扱える唯一の方。この国の魔導師達もあなたの代わりに図書を管理できるだけの力である、ランク上げの為にも対戦するのが得策なのです。それとも、あなたは自分が負けるとお思いですか?』
『いえ、わかりました。ではこちらも封じているものを表に出すことにします。彼らのランク上げのためにですよ?フフフ』
ヨナはこの時、ニヤリと笑えば、使者は慌てて立ち去っていった。
・ * ・* ・ * ・
闘技場、ステージに上がれば、会場審判員に真ん中へ行くよう促され、すると後から魔導師達がぞろぞろ現れヨナは魔導師に囲まれ逃げ場がなくなり、戦う選択ししか残されてはいなかった。
「ジャンジャンジャーン!!」
始まりのシンバルのような音が辺りに響き渡ると同時に、ヨナは両足を少し開き両手を祈るように天へ掲げれば雲のない空から紫色の光の粒が柱のように地上に向けて降りてきてヨナは光に包まれ柱の中に収まればその光はシュッとヨナの体内へと吸収されヨナは辺りを見るように体をくるりと回し両手を広げ魔導師達めがけ紫に輝く光の矢が放たれ次々に刺さっていくなか、反撃が始まった。
火の玉がヨナを襲いヨナは指で空にくるくるとなにかを描けば、火の玉はそこへ吸収されて消えて行き、飛んでくる剣、短剣、矢、数々の凶器を操る魔導師達はヨナへめがけそれを操作するが、ヨナのてから発する魔力の球体を放てば全て溶けて消えていった。しばらくすれば、次々に倒れて行く魔導師達。ただ一人余裕で佇むヨナが一人。観客席は悲鳴がやまず。
(やれやれ、最初の矢の効果が出てきたみたいだけど…)
悲鳴の中、審判員が声を震わせ旗を掲げた。
「し…勝者!魔女ヨナ!」
ヨナは勝利が決まった事を安堵し、審判員の前で白い球体を手から産み出し地面に叩きつければ、球体は割れ、ステージ一面が白一色に染まると、横たわる魔導師達を包み込み、やがて魔導師達は、欠伸をしながら起き上がっていった。観客席はざわめき、恐怖の悲鳴は歓喜の悲鳴に変わる。ヨナは起き上がりだした魔導師達の間を通り抜け、ステージを降りて行きステージに背を向けるように地下へ続く階段を降りて行った。ヨナだけがいる控室。ヨナは魔導師達の惰弱さに呆れ、彼らを育てる手助けをしなくてはならないと改めて思った。
(あ…ルイス様見ていたのかしら、私は悪い魔女だと思われたら私の努力はきっと水の泡になるわよね。)
ヨナはふと、ルイスにどう見られたか不安になり両手でかおを覆うと動揺からか同じ言葉を何度も繰り返したのだった。
「どうしよ、どうしよ、どうしょ………」
コンコンコン。
扉をノックするおとにヨナが返事をすれば、扉はゆっくりと開かれた。外回りに出ていたルイスが今戻ったところだった。
「ヨナすまない。試合が見れなかったが、勝利したと聞いた。怪我はないか?試合内容を聞いたぞ?酷いな…」
「ごめんなさい。」
ヨナは戦い方をしかられたと思い泣きながら謝れば、ルイスはヨナの頭をポンポンと優しく撫でた。
「ヨナは頑張ったよ、あのルールは魔女を追い出すための魔導師長の案か?あれで自分の魔導師教育の欠如がわかっただろう。明日、今日の事も踏まえて会議がある。全指導者が集まる会議だ。ヨナも明日は出席するように。」
「はい…ルイス様。」
ルイスはそう言うとヨナに背を向け部屋を出ようとしヨナはルイスを呼び止めた。
「もう行ってしまうんですか?」
「巡回の報告があるんだ、すまない。ああ、近々私の両親にヨナを会わせようと思っている。結婚の許しをもらわなくてはいけないからなぁ。」
ヨナは言葉をなくし、ポカンとしていると、ルイスは振り返り苦笑いした。
「いつものヨナを見せてくれたらいいから。じゃあ、私はもう行くから従魔たちも図書室で待っているんだろ?早く戻って報告してこなくていいのか?」
「そうですね、報告しなきゃ。」
ヨナは頷いて立ち去るルイスを見送ると、服を着替え藍色のロングコートを纏い荷物をまとめ部屋を後にし足取り軽く帰路についた。
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