花騎士と兎の魔法

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花騎士と兎の魔法

2話

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 サフラン国は王太子妃を迎え、歓迎の宴が行われた。妃の名はレイア、美しいと噂の小国の王女は王太子と少し似た性格の様子。どうやら…サフラン国からシアトラに嫁いだシュア王女の噂は小国にも届いており、レイア王女はシュア王女と比較されたり、それ以上のものを求められ…苦労していたそうな。

   ✤

「はあ~なんてことかしら。」
「どうしました?」
「私はシュア王女になる方法ないかしら?」
「なんと?」

 花嫁様は少々心を病んでおります。お姉様は各地で有名な、聡明なお姉様、シュア王女。ああ、兄様を見ているような…そんな錯覚をしてしまいます。兄様もよく稽古をしている時に病んでる時がありました。

「王太子妃殿下。貴方様は一人しかいません。シュア姉様も一人だけです。姉様が沢山いたら…それはそれで嫌ですね。」
「まあ。」

 現在私はレイア様の庭園散歩に同行中。兄様と似た症状を抱えるレイア様に…私は戸惑い中でございます。

「でも…私にとっては凄い悩みなのよ。私はあの方のように聡明になれたら…」
「妃殿下!」

 レイア様に声をかけたのは隣に控えているレイア様のお付きの侍女。小国から一緒に付いてきてくださった方です。

「貴方様は誰よりも美しく、慈愛に満ちたお方、私は何度も貴方様に救われております。」
「素敵ではないですか。」

 私が思わずこぼした言葉に、お二人は少し落ち着いたようで…レイア様の悩み事の話はひとまず終わりました。

 でも…

 レイア様は諦めては無かった様で…そんなある日、レイア様に異変が起きました。

 宮廷を出入りしている商人の一人から『賢者の様になれる魔法書』を手に入れて…何故か賢者でも無く、お勉強好きな人になってしまい、数学者の様に、あちこちに数式を書き続ける症状が。

 会話もままならなくなり、緊急事態と思われたレイア様を治すために宮廷の魔法使い達が呼ばれたのでした。



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