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花騎士と兎の魔法
5話
しおりを挟む宮廷の敷地内の限られたものしか入ることを許されていない場所がある。白磁宮殿。磁器を思わせる外壁に覆われた…半球の宮殿。呪いの類を解くための療養所であり、治療を必要とし、許可された者だけが入院できる場所である。
レイア妃は異国の特殊な魔術がかけられており、そのままにすれば体力を徐々に奪われる恐ろしいモノだった。薬により眠らされたレイア妃は一時的に魔法が封じられている状態になり、白一色の壁と床の空間に置かれた高価な寝台に眠るその姿は眠り姫。
簡単には解けない魔術なため、解術方法は模索中、効果がありそうなありとあらゆる解術を試すことになったが…その作業は慎重さが必要とされ2日3日で解決できるものではなかった。
兎の獣人、宮廷魔法師ローアはレイア妃が手にしていたトゥスダ帝国の魔法書を手に、トゥスダ帝国へ向かうための準備に取りかる。トゥスダ帝国と親交深いシアトラ国の皇太子妃シュアの大切な妹である…花騎士と呼ばれる王女コアを連れトゥスダ帝国の皇女への接触を考えたのだった。
✤
今私は治療中で隔離されたレイア妃の護衛をできないため、ローア様の計画に協力する事になりました。
正直レイア妃は外出も少なかったこともあり、庭のお散歩か、町の視察に1、2度同行したくらい。剣を抜くのは鍛錬の時ぐらいでした。私が護衛につかない…守られた空間のハズの宮殿内で事件が起こり、呪のような魔術にかけられたレイア妃は白磁宮殿へ連れてゆかれました。
私は護衛を外れることになり、現在ローア様の計画を進めるために…会議室にローア様と数名の魔法使いと騎士と集まったのでした。
「ローア様、何故私なのですか?お姉様の身内だから?」
「そうですね、そうおもいますよね。」
「違うと?」
「ええ。貴方様はご家族に守られておられますから…その才は世に曝されてはおりません。」
「そうなりますね、お兄様達は辺境の大変な場所へ向かわれ、私は…兄様達に負けない騎士になる事を目指して今まで強くなることにこだわってきたのに…」
「ええ。花騎士の才…それは剣を振るう際に発動する魔力が花弁の形となり出現して人を惑わせると…」
ローア様は私の力を見たことがあるような口ぶりですが…
「ローア様は私の才を見たことが…」
「ええ。」
私はローア様がいらっしゃる時に剣を抜いた事はありません。才を見ている魔法使いは…私が騎士の訓練生だった頃に合同演習を行った魔法使いの方達ぐらいです。
何度目かの演習で会ったのでしょうか。でも…ローア様の様な兎の獣人さんは見たことがないかと思われますが。
「貴方様が訓練生の時に合同演習でご一緒したことが。」
「そ、う、です…か。」
一体どこに?こんなおっきな方がいたと…絶対記憶に残りますよね?だめ…思い出せません。
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