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花騎士と兎の魔法
7話
しおりを挟むコアとローアをのせ、サフラン国の紋章の刻まれた馬車は、護衛騎士数名を連れトゥスダ帝国へとむかった。
到着のこの日はトゥスダ帝国建国祭の最中。様々な国からの馬車が帝都へとやって来ていた。
帝都を囲む塀に開かれた門をくぐれば帝都の城下町が広がり…馬車は城へ向ういくつもの馬車と分かれ、違う場所へと向かった。
やって来たのは大きな邸宅。門を抜け馬車は敷地内で停車した。
「ローアさん?ここは…」
「花騎士殿に来ていただいた理由です。屋敷は面会に用意された場所になります。ここはトゥスダ帝国、皇族と深い繋がりのある方の邸宅になります。」
「お待ちしておりました。ご案内いたします、どうぞ…」
屋敷から現れた屋敷を任されているだろう執事の男性が1人、馬車から降りた2人を迎え、屋敷内へと入って行き、コアとローアも屋敷内へと入っていった。
歩く先に見える重厚な扉の左右に兵士が1人ずつ警備しており、彼らは執事の男性と1つ2つと言葉をかわし、その重厚な扉が開けられた。
執事が先に部屋へ入るとコアとローアを手招きし、奥の来客用のソファーへと誘導すると…対面側に置かれた豪華な二組の椅子、それぞれに座る華やかなドレスを身に着けた貴婦人に紹介した。
「殿下、例のお客様をお連れいたしました。」
執事は右に座る赤いドレス姿の少し威張った様に脚を組んでいる赤い髪の女性に深く一礼した。
「ようこそお客人、私はデューサ・アナ・トゥスダ。この国の皇女。ローア、発言を許す。」
兎の獣人ローアを見知った様に思われるデューサと名乗る皇女はローアに目を向け発言を促した。
「はい!伝鳥でお伝えした件で参りました。ローア・ラピリス、お連れしたお方はサフラン王国コア王女殿下でございます。」
「おお、本当に来てくださったのか!」
デューサ皇女は慌てるように席を立ち緊張して立ち尽くすコアへと手を差し伸べた。
「お久しぶりです。コア・ソラ・サフランでございます。」
コアは差し伸べられたてを取り強張った表情を無理やり笑顔にさせて挨拶をした。
「コア王女殿下…そんなに緊張を顔に出してはなりません。」
「あ…お姉様!」
デューサの隣に座っていた淡い水色のドレスを身に着けた貴婦人は顔を隠す様に広げていた羽根付きの扇子を閉じ席を立ち、コアに柔らかな笑顔を向けた。
(あれ?思っていたような緊迫した状況じゃないよね?デューサ皇女殿下やお姉様、ローア様も…どういうことかしら?)
困惑するコアはこの後真実を知ることになるのだった。
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