白薔薇騎士と小さな許嫁

yu-kie

文字の大きさ
6 / 26

しおりを挟む

 メディアン邸の庭では勉強の終わったスティアがルルとキキを呼び2匹に挟まれ、手に持つブラシで手入れを始めた。

「キキ押さないで、最初はルルを綺麗にするね。」
「うぉっふん。」

 不満げにキキはスティアの背中に頭を擦り寄せ自分の存在をアピールした。

 スティアはそんなやり取りを楽しみながら交互に2匹のブラッシングをしていると、塀近くでは複数の兵士が警戒態勢に入り騒がしくなっていた。

 一人の騎兵が屋敷の方に向かい馬を走らせた。

「大変です!魔獣がすぐそこまで来ています。」

 屋敷に駆けつけた騎兵隊の知らせで、執事は屋敷内に避難するよう屋敷じゅうを駆け回る中、ルティーは執事と合流し、スティアが部屋にいないことに気が付き、窓から庭を見下ろすとルルとキキと何時ものように遊んでいるところが見えた。

「スティア!中に入りなさい!敷地に、その子たちより大きな狼が侵入したの!!」

スティアは〈大きな狼〉に目を輝かせ辺りを見回していると屋敷の庭へ…スティアに引き寄せられたかのようにその狼は屋敷を囲う小さな塀をぴょんと超えてやってきた。

 スティアのそばにいるルルとキキは目の前の侵入者に威嚇する様子もなくお座りのまま動かずにいた。

 スティアの目の前に現れたおおきな狼はルル達と違い額に1角があり瞳の縁には虹色に光る鱗があった。狼はスティアの前で立ち止まり、スティアは何かを思い出していた。

(あれ!この子は前世のときに私の〈魔王の〉配下の人狼だよね?私達は基本倒されなければ死ぬことがないから、生きていたのね?名前は確か…)

「キラル?」
「はい。やはりー魔王様でしたか。」
「ルルとキキはもしかしてキラルの眷族?」
「そうです。魔王様の魂が復活したと、風の便りを受け参りました。今の世では何をお望みです?」
「ふふふ。私はもふもふに囲まれて平和な生活を暮らすことです。」

 と、スティアは思わず大きな狼に抱きついていた。

「そうでしたか、私好みの美少女にお育ちになって、キラルは嬉しいです。姿を変えて抱きしめても良いですか?」

 スティアはふと屋敷の窓から悲鳴を上げる母をみあげ、手を振ったのち、目の前の大きな狼を前にこくりと頷いた。

「いいですよ。狼の姿は目立ちすぎるし、人間の姿なら母様たちも安心するでしょ。」
「御意。」

 白い煙に覆われた狼の影は徐々に縮まり、人へと姿を変えて、煙が消えた場所に、成人した美女、スティアの服装に合わせて侍女を思わせる黒いワンピースに白いフリルの付いたエプロンを身に着け現れた。

 現れたのは、額の1角と目の縁の虹色の鱗はそのまま、白銀の腰まで伸びる長い髪、澄んだ水色の瞳の女性だった。

「キラル、今の私はスティアです。スティアと呼んで。」
「ええ、わかりましたよ、スティアお嬢様~」

 そうしてキラルはスティアをギュッと抱きしめれば、スティアの顔はその豊満な胸にうもれてしまった。

 スティアはこのとき、忘れていた記憶を1つ思い出した。

――キラルは異性には興味なく‥美少女が大好きだと言うことを――

 キラルの性癖を恐れたスティアは、この騒動のあと、キラルには特徴はそのまま、ルル達と同じサイズの狼になってもらうことにしたのでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

男に間違えられる私は女嫌いの冷徹若社長に溺愛される

山口三
恋愛
「俺と結婚してほしい」  出会ってまだ何時間も経っていない相手から沙耶(さや)は告白された・・・のでは無く契約結婚の提案だった。旅先で危ない所を助けられた沙耶は契約結婚を申し出られたのだ。相手は五瀬馨(いつせかおる)彼は国内でも有数の巨大企業、五瀬グループの若き社長だった。沙耶は自分の夢を追いかける資金を得る為、養女として窮屈な暮らしを強いられている今の家から脱出する為にもこの提案を受ける事にする。  冷酷で女嫌いの社長とお人好しの沙耶。二人の契約結婚の行方は?  

冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない

彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。 酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。 「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」 そんなことを、言い出した。

やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~

小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。 そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。 幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。 そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――? 「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」 鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。 精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

東雲の空を行け ~皇妃候補から外れた公爵令嬢の再生~

くる ひなた
恋愛
「あなたは皇妃となり、国母となるのよ」  幼い頃からそう母に言い聞かされて育ったロートリアス公爵家の令嬢ソフィリアは、自分こそが同い年の皇帝ルドヴィークの妻になるのだと信じて疑わなかった。父は長く皇帝家に仕える忠臣中の忠臣。皇帝の母の覚えもめでたく、彼女は名実ともに皇妃最有力候補だったのだ。  ところがその驕りによって、とある少女に対して暴挙に及んだことを理由に、ソフィリアは皇妃候補から外れることになる。  それから八年。母が敷いた軌道から外れて人生を見つめ直したソフィリアは、豪奢なドレスから質素な文官の制服に着替え、皇妃ではなく補佐官として皇帝ルドヴィークの側にいた。  上司と部下として、友人として、さらには密かな思いを互いに抱き始めた頃、隣国から退っ引きならない事情を抱えた公爵令嬢がやってくる。 「ルドヴィーク様、私と結婚してくださいませ」  彼女が執拗にルドヴィークに求婚し始めたことで、ソフィリアも彼との関係に変化を強いられることになっていく…… 『蔦王』より八年後を舞台に、元悪役令嬢ソフィリアと、皇帝家の三男坊である皇帝ルドヴィークの恋の行方を描きます。

魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

処理中です...