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しおりを挟むメディアン邸の庭では勉強の終わったスティアがルルとキキを呼び2匹に挟まれ、手に持つブラシで手入れを始めた。
「キキ押さないで、最初はルルを綺麗にするね。」
「うぉっふん。」
不満げにキキはスティアの背中に頭を擦り寄せ自分の存在をアピールした。
スティアはそんなやり取りを楽しみながら交互に2匹のブラッシングをしていると、塀近くでは複数の兵士が警戒態勢に入り騒がしくなっていた。
一人の騎兵が屋敷の方に向かい馬を走らせた。
「大変です!魔獣がすぐそこまで来ています。」
屋敷に駆けつけた騎兵隊の知らせで、執事は屋敷内に避難するよう屋敷じゅうを駆け回る中、ルティーは執事と合流し、スティアが部屋にいないことに気が付き、窓から庭を見下ろすとルルとキキと何時ものように遊んでいるところが見えた。
「スティア!中に入りなさい!敷地に、その子たちより大きな狼が侵入したの!!」
スティアは〈大きな狼〉に目を輝かせ辺りを見回していると屋敷の庭へ…スティアに引き寄せられたかのようにその狼は屋敷を囲う小さな塀をぴょんと超えてやってきた。
スティアのそばにいるルルとキキは目の前の侵入者に威嚇する様子もなくお座りのまま動かずにいた。
スティアの目の前に現れたおおきな狼はルル達と違い額に1角があり瞳の縁には虹色に光る鱗があった。狼はスティアの前で立ち止まり、スティアは何かを思い出していた。
(あれ!この子は前世のときに私の〈魔王の〉配下の人狼だよね?私達は基本倒されなければ死ぬことがないから、生きていたのね?名前は確か…)
「キラル?」
「はい。やはりー魔王様でしたか。」
「ルルとキキはもしかしてキラルの眷族?」
「そうです。魔王様の魂が復活したと、風の便りを受け参りました。今の世では何をお望みです?」
「ふふふ。私はもふもふに囲まれて平和な生活を暮らすことです。」
と、スティアは思わず大きな狼に抱きついていた。
「そうでしたか、私好みの美少女にお育ちになって、キラルは嬉しいです。姿を変えて抱きしめても良いですか?」
スティアはふと屋敷の窓から悲鳴を上げる母をみあげ、手を振ったのち、目の前の大きな狼を前にこくりと頷いた。
「いいですよ。狼の姿は目立ちすぎるし、人間の姿なら母様たちも安心するでしょ。」
「御意。」
白い煙に覆われた狼の影は徐々に縮まり、人へと姿を変えて、煙が消えた場所に、成人した美女、スティアの服装に合わせて侍女を思わせる黒いワンピースに白いフリルの付いたエプロンを身に着け現れた。
現れたのは、額の1角と目の縁の虹色の鱗はそのまま、白銀の腰まで伸びる長い髪、澄んだ水色の瞳の女性だった。
「キラル、今の私はスティアです。スティアと呼んで。」
「ええ、わかりましたよ、スティアお嬢様~」
そうしてキラルはスティアをギュッと抱きしめれば、スティアの顔はその豊満な胸にうもれてしまった。
スティアはこのとき、忘れていた記憶を1つ思い出した。
――キラルは異性には興味なく‥美少女が大好きだと言うことを――
キラルの性癖を恐れたスティアは、この騒動のあと、キラルには特徴はそのまま、ルル達と同じサイズの狼になってもらうことにしたのでした。
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