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しおりを挟むスティアに従う狼キラルの様子を見た集落の人々は、スティアに神様的な物を感じ…リューイとライカも、キラルにまたがるスティアが輝いて見えた。
(我が子ながら、なんて神々しいのだろう。スティアは…きっと大物になるだろう。ライカ王子殿下を婿に迎えるのだ。離れるのが嫌で辺境の地でも1番優秀な者を家庭教師に迎えていたが…娘にもライカ王子殿下に見劣りしないよう、相応の作法を身に着けさせる良い機会かもしれない。)
そう思うリューイはスティアを王都の貴族の令嬢令息の通う、学園に通わせることを決めた。
††††
辺境の地から王都は遠く、王都のリューイの親夫婦で、スティアの祖父母でもある老夫婦の暮らす屋敷に預ける事が決まり…スティアの旅立ちの日、許嫁のライカは見送りにメディアン家にやってきた。
「ライカ殿下がスティアお嬢様のお見送りに参られました。」
スティアの旅立ちの支度が整い、家族と玄関へとぞろぞろと向かう中、外から報告に現れた執事は慌てるようにリューイに伝えた。
「お父様お母様、ライカ殿下にご挨拶をしたいです。」
「ああ、いっておいで。」
スティアはリューイにペコリと頭を下げ、くるりとまわり背中を向けると屋敷の外へと飛び出した。
「ライカ様!」
屋敷から飛び出したスティアは転びかけ、目の前のライカの腕がキャッちし、スティアを軽々と抱き上げた。
「スティア嬢。見送りに来たよ。」
「はい!嬉しいです!」
「向うに行っても僕の事を忘れずにね。」
「勿論ですわ!私の許嫁様!」
「君の成長を見るのを楽しみにしてる…離れてしまうのは寂しいけれど。」
「ライカ様?」
スティアはライカの腕の中で、少しだけ寂しげな表情を見せるライカを心配そうに見上げた。
ライカは心配そうに見るスティアの視線に気が付き慌てるように鉄壁無表情に戻るとスティアを床におろし、スティアと目線を合わすようにししゃがみ込むと、小さな箱を取り出し蓋を開けた。
「君の2つの小さな耳にこれをあげる。」
箱の中にはライカと同じ色、ワインレッドの丸い小粒の宝石が揺れるイヤリング。スティアはそれを手に取ると両方の耳にパチンパチンと取り付けた。
「このイヤリングには魔法を施してあるから、落としても必ず君の耳に戻ってくるからね。」
「はわわぁ~素敵ですぅ!」
スティアは嬉しくてその場でぴょんぴょんと飛び跳ねた。
(か、可愛い。可愛すぎる!)
ライカはニヤける自身の口元を手で覆い、必死にれいせを装うなか、二人を横切る侍女姿のキラルがあった。
「あー忙し忙し。」
馬車の荷台に大きなスティアの旅行バッグを乗せたライカは、殺意のこもる視線をライカに向け、《早く終われ》とでも言いたげに睨んでいた。
「スティア嬢、あの化け物も一緒に?」
「?キラルですか?キラルは力持ちだし、彼女なら護衛もできるのです。」
スティアはライカに笑顔を向けそう伝えるなか、リューイが屋敷から現れスティアをギュッと抱きしめた。
「キャッ」
スティアは急に抱きあげられて思わず声を漏らした。
「ライカ殿下、あのモノは娘にしか扱えないやっかいなモノだが幸い、娘のためなら従順だ。考えていることは馬鹿正直に口に出すから、あちらでもうまく扱ってくれるだろう。」
「そうですか。」
「スティア~父は寂しいぞ~手紙を送ってくれよ?」
「はい。」
こうして馬車は、スティアとキラルともう一人、スティアの赤ん坊の頃からの世話係のベテラン侍女が乗り込み走り出した。
リューイとルティーは身を寄せ合い寂しげに見送るなか…馬車が屋敷から見えなくなるまで、ルルとキキは『行ってらっしゃい~』と言いたげに、スティアの旅立ちを送り出すように鳴き続けていた。
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