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3 出会いno.②
しおりを挟む騎士は食事を終え、店内でルカの母親に支払いを済ませ何やら話し込み、手を振り去って行った。
母親は厨房から顔を覗かせるルカに満面の笑みを向け
「ルカちゃん、お料理おいしかったそうよ、あとね~、騎士さんの一団が、料理人を探しているそうよ?面接したいからお城までこれをもって来てくださいって。」
母親はいつの間に受け取ったのか、手には料理人募集が書かれた書面をヒラヒラさせ、ルカに手渡し、ルカは両手でそれを受けとると、紙に顔を間近まで寄せ目を丸くした。
+ + + + + + + + +
な、なんと!募集条件に『1・自分のみを守れる人(魔法学校卒業者)』、魔法学校は基礎的な魔力操作も身に付けられるから、卒業者なら保障されてるってところかな?『2・料理人の資格を持つもの。』『3・長く勤めてくれる人。』私は紙に穴が開くほど何度も読み返し、紙からゆっくり視線を目の前で微笑む母に向けた。
「本当に?」
「そうよ。ふふふ。あなた愛想がなくて頑固だから卒業時に面接したお店ことごとく断れたけど、あなたを見て、料理を食べてあの騎士さんがこれを渡されたのよ?行ってみる価値はあると思わない?」
「うん。行きたい。」
「お兄ちゃんは働き手が減るから彼女とのデートもできなくなるかもね。ふふふ。」
母親は兄の彼女に愛想よくしているけれど、本心はあまり面白くないのかもしれない。兄の彼女さんには頑張って、母親という関門を突破してもらいたい!
ちょうど兄が休憩から戻ってきて、店もお客さんが増えだし、この後は夕方の忙しい時間に突入していったのでした。
+ + +
そして、面接が予定されている日、兄と母に見送られ私はサンダルから黒い靴に履き替えて、家を出た。
前日、お城から帰って来た父に報告すれば
「必ず採用されろ!」
「ふあい!」
父親の威圧的にも見えるその表情にむきになった私は、変に言葉に力が入りながら返事をしたら、兄と母にケラケラと笑われ、和やかな食卓を囲んで久しぶりに全員揃って食事をした事を思い出していた。
「頑張るぞ!」
私は、面接場所、扉の前で拳を掲げてジャンプした。
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