偽の暴君,漆黒騎士の許嫁です

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第2章【漆黒の騎士】

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 マヤは退屈な毎日を過ごしていた。どこに行くのも警護が付いて…食べるものは毒がないかをみるために、魔法使い達が作った試験紙に浸して青く変わらないか確認され、チェックの済んだ料理を口にすることがようやくできる。そんな風に食事を終えたマヤは護衛をつれ部屋に戻った。

 ‡

 コンコンとドアをノックする音のあと、第1王女ルールアと第2王女ミーリアが訪れた。

「マヤ、お話しましょう。」

ルールアの声で、マヤは扉を開け二人を部屋へと招き入れた。

「マヤ、婚約のお披露目会中止になってから…散々ね。新しい縫いぐるみあげるから元気を出して?」

ルールアは後ろに隠していた両手一杯のサイズの猫の縫いぐるみをマヤの前にスッと差し出した。

「嬉しい…でもおルールア姉様私もう子供じゃないです。」

マヤはもらった縫いぐるみをギュと抱き締めたまま苦笑いでルールアに訴えれば、隣にいたミーリアがクスクス笑った。

「言葉と行動が伴ってないですよ?」

「「あっ、」」

ルールアは縫いぐるみを大事に抱き締めるマヤの姿に気がつき、マヤも同様自分の現在の行動に苦笑いした。

 ‡

 姉妹マヤの部屋で和んでいるなか…仕立てたドレスを着てみようと言うことに…3人だけの婚約発表の宴。

 部屋に侍女を呼んで…お茶会が始まり…侍女にドレスを着付けてもらい…白いシーツを被ったマヤはふたりの前に出るとシーツを侍女に渡し、くるりと回ってみせた。

コバルトブルーのドレスには、白いレースの花が散りばめられ小柄なマヤはまるで妖精のよう。

「「きゃあー素敵!」」

 姉二人は篭いっぱいの花びらをパッ!パッ!と空高く撒けば花吹雪のようにフワリフワリとマヤの頭上に降り注いだ。

 いつまで続くのか…この生活に不安を抱きながらも…ささやかな楽しいひとときを過ごすのだった。

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