赤獅子と可憐な花嫁

yu-kie

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エピローグ

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 大会最後の授与式、騎士達と共に並ぶミュウラはAランクを示すバッチを受け取り胸に付けた。

 順位の発表の後、ミュウラは悔しさを隠して笑顔でカエンのもとへゆくと、カエンは席を立ちミュウラを連れて広場を後に…

「団長…少し席を外します。会議までには戻ります。」
「わかった。」

 カエンはミュウラの手を取ると、広場を離れて騎士団施設の敷地内の小さな花壇横にあるベンチの前にやって来た。

「カエン様…ごめんなさい。父様との約束を果たせませんでした。」
「だがAランクになれた。」
「でも…カエン様は本当は私を即戦力として騎士団に迎えたかったのですよね?」
「ミュウラ。大会は2年に一度、次があるよ。それに…私は今のままでも良いと思う…君を婚約者に迎え…皇女が君を騎士に誘おうとしているのを見て…ミュウラを手放したくない自分に気がついたんだ。それと…俺は君と離れたくないんだ…。」
「カエン様…いいんですか?あ、でも、それ以外に父との約束に、負けたら騎士団を抜けて花嫁修業に専念しろと…」

「ああ。一緒に宰相殿に話しに行こう。今までどうりの条件で続けれるよう頼むんだ。この後に会議があるからその後、ミュウラは先に家に帰っていて?後から君の家にゆく。」
「はい。ありがとうございます。」

 ミュウラは涙ぐみ、カエンはギュッと抱きしめしばらくミュウラはカエンの肩に顔をうずめたのだった。
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