赤獅子と可憐な花嫁

yu-kie

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エピローグ

赤獅子と可憐な花嫁

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 騎士団の休暇。両家の家族が集まり結婚の日取りや準備について明確な話し合いがあり、ミュウラには忙しい毎日が待っていた。

 ミュウラの父が言っていたように、騎士団を休まなければミュウラの嫁入りのための準備はできなかっただろう。

 カエン達赤獅子の本家に嫁ぐと言うことの大変さを身にしみたミュウラだったが、既に缶詰状態からの~どこに出しても恥ずかしくないようにと、淑女としての知識を詰め込まれているため、お披露目の宴では騎士の時とはまるで別人の様に可憐で淑やかなカエンの婚約者をやりきり、皆ミュウラに悪い印象は持たなかったのだった。

     ‡ ‡

 結婚式。

 赤獅子一族の本家であるリシュア邸は、紅いお城を思わせる屋敷と広大な敷地があり、その敷地内にある小さな神殿で式は執り行われた。

 神殿に奉られるのは赤獅子の石像。金獅子と眷属の忠誠を誓った際に天に向け咆哮ほうこうした姿をしていると言われている。

 紅いウェディングドレスのミュウラは父に手を引かれ石像前へとたどり着くと、長であるカエンの父が司祭の装いで待ち構え、先に到着していた騎士服の儀式に着る正装姿のカエンが背中を向けたまま、その時を待っていた。

 ミュウラの到着に、振り返るカエンは華やかなミュウラの姿ににこりと笑いかけ、ミュウラも微笑み返した。

 家族と…騎士や赤獅子一族に見守られ、二人の式は盛大に執り行われた。

     ‡ ‡

 結婚式の夜。

 カエンは興奮が収まらず、獅子の姿、二人の寝室の窓の外のバルコニーにいた。

 屈強な獅子は月を見上げて咆哮ほうこうし、収まらない興奮を晴らそうと必死な中、白い丈の長い夜着用ワンピースに着替えたミュウラが寝室から現れた。

「カエン様…そちらに行っても良いですか?」
「…ああ。」
「月が綺麗。」

 カエンのそばに来たミュウラの囁きに、獅子のカエンは振り返った。

「ミュウラ。」
「カエン様に触れても良いですか?」
「ああ。」
「カエン様素敵。」

 ミュウラは思わず抱きつき、カエンはさらに興奮。力強く空へ向い咆哮。赤獅子カエンは、可憐な花嫁ミュウラを乗せ、バルコニーを飛び越えると夜の散歩へと飛び出すのだった。


 二人の夫婦生活は始まったばかり。二人の夫婦の物語はこここら始まる。


 END
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 ここまでお読み下さりありがとうございました。

 ◆yu-kie◇
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