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1 *勘違いと喧嘩*
しおりを挟む10年前、8歳だった私は竜の山脈を前にした麓の街にいました。
◆
両親は国王に使える魔導士で、この日だけは休暇をとってリアーナの街の花祭りに行きます。
そんなわけで、今日はお爺様が領主をしている領地リアーナに遊びに来ています。
山脈の麓にあるこの街は竜人と呼ばれる一族との交流もあります。年に数回。花祭りが街で行われていて、花祭りの日だけ竜人の人々を街に招待して一緒にお祭りを楽しんでいます。
街の大通りの両サイドは華やかに彩る切り花を活けたものや、植木で育てた満開の花を咲かせた木を華やかに飾り付けたものが並ぶ。領地リアーナは花の生産が多いことから花師たちが盛んに腕を競い一番を狙う。年に数回、花が咲き乱れる時期に花祭りが開かれ競いあい、各地から花祭りを見に観光客も集まるのだそう。
8歳の私はまだ幼いから両親と一緒にお祭りを見ていたのだけど、お爺様に一人呼ばれてドキドキしながらお爺様のお屋敷のお客様を迎えるお部屋に来ました。
「ルイ。竜人のカイくんだ。」
私はお爺様の後ろに隠れて少しだけ顔を出して、カイ様に挨拶をしました。
「ルイ・ヒリイス…ですぅ。」
「カイ・ガイシア。よろしくね。」
カイ様もカイ様のお爺様のてをとったまま、空いてるほうの手を私に差し出して、私はその手を取り仲良く握手を交わしました。
私たちキーラル国の王家の血筋の人々は金髪に青色の瞳。対する竜人の人々は銀髪に紅色の瞳。カイ様とカイ様のお爺様も同じ色をしていました。
その後二人でお庭の探険をはじめて、遊んでいるうちに、カイ様のご両親と私の両親がお爺様の屋敷に戻って、皆でテーブルを囲んでお食事をしました。
その日から、私はカイ様の許嫁になったのでした。
あれからカイ様は山脈に戻られ、何度か行われた花祭りで会うこともなく、年に一回だけ花祭りに来ては一緒に街でお祭りを見ながら街を駆け回りました。
「ルイ。街は楽しいね。」
「カイと一緒だからいっぱい探険できて楽しいよ!」
3年たつ頃、10歳を迎えるとカイは、竜人の儀式で街に来ることができなくなりました。
変わりに山脈を飛び回る幼い炎竜を見るようになりました。
山脈から降りて来なくなったのは、炎竜が山脈を暴れて飛び回り出したからだと…この時の私は思っていました。
大好きなカイに会えなくなったのは山脈の竜のせい。そう思えば知らないうちに私は竜に対して良いイメージを持たなくなっていたのでした。
そして、再会したのは14歳の頃。カイは背も伸び始めていて、傷を増やして、筋肉もついてたくましくなって…あまりお話もしなくなってしまった。
それでも年に一度は二人で花祭りを見て、18歳を迎えた花祭り。彼は街に来なくなった。
変わりに街に現れたのは大きく育った炎竜だった。この年の花祭りは山脈を守る巨体の炎竜の御披露目もあり、私は顔をこわばらせ、祭りを見に来ていた私にお爺様は言ったのです。
「ルイを嫁に迎えるのもまもなくだね……くんの御披露目であり、ルイの嫁入りの発表でもあるんだよ。」
祭りの花火の音にかき消され、お爺様の言う炎竜の名は聞き取れず…私は炎竜の花嫁に近々なるのだと知らされ、私は話を理解できないまま、この日炎竜と大喧嘩を始めることになるのでした。
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