10 / 11
10 *許嫁の反撃*
しおりを挟む目覚めると、そこは砦ではない、麓の小屋だった。
ここは隣の…グラシア帝国側の国の境界線にある小屋。小屋内には地下通路があり、黒装束達が出入りし、ルイは小屋内で黒装束数名の監視の中、袋から出され拘束されていた。
*
この人達、何が目的なのかしら?私が魔法使えることも知らないみたいだし、逃げてもいいけど…彼らにぎゃふんと言わせたい…ここは大人しいふりして様子を見ることにしようかな。
*
人質となったルイ。
人質をとれば、おのずと犯人達は主犯者に報告をするわけで、主犯者は炎竜の『女』に興味を抱くもの?
その日の夕方。ルイは退屈そうに、口をへの字にしてあくびを耐えた。
「将軍が来られた。炎竜の女はいるか?」
小屋を覗きこむ黒装束が小屋のなかでルイを監視する黒装束に声をかければ、「いる」と短く答え、小屋の扉は全開し、黒装束の案内で、黒く輝く鋼の鎧を纏う青年が現れた。
「お前には人質になってもらう。山脈を奪ってやる。」
「……」
「お前は口も聞けないのか?」
「…私の名はルイ・ヒリイス。あなた方は何者ですか?」
「俺はラジア・グラシア。」
「…グラシア帝国の…私はその駒にするんですか?トラップとか?炎竜様助けに来たら返り討ちに合うとか?馬鹿げてる。」
(人質に?帝国なら目的は1つしかない。私を使って侵略をしようとしてるんだ…半日この人達を泳がしていたけど、もう無理。ちょうどグラシア帝国の偉い人みたいだし…)
興奮状態となったルイの回りには風の渦の柱が何本か出現して小屋を崩した。
「何が起きたんだあー」
逃げ惑う黒装束の男達。ルイは手から竜巻をおこし、山脈側の目に見える竜の巣へと飛ばせば、巣を荒らされ怒った竜は逃げ惑う黒装束へめがけて襲撃を始めた。
ルイの体は風の渦に守られラジアの行方を目で追った。
「そろそろ、捕獲してもらおうかな。ふふふ。」
竜の襲撃で黒装束達は逃げ惑うなか、風は突如静まり、ルイはふわふわと宙に浮いたまま、荒れ狂う竜に向け片手をくるくると回すと、催眠魔法により竜達は眠り始めた。
山脈は竜の騒ぎで集まった炎竜達が集まっており、ルイは炎竜の群れに手を振った。
「カイ~!ラジア・グラシアがいるよ!」
「ルイ、そこにいたのか!」
ひときわ大きな炎竜が急降下し、黒装束達は将軍ラジアを逃がそうと盾になるなか、ルイは宙に浮いたまま、突風をおこし操り、黒装束達とラジアをキーラル国側、炎竜の領域側へと吹き飛ばした。
カイは隣国に足を踏み入れる事無くそのまま侵入者としてラジア達を捕獲した。
炎竜達は砦へ捕獲したもの達を運び、ルイはカイの背にのり、砦へと向かった。
砦では、駆けつけたリーラスはカイと手を取り歩くルイに土下座した。
「花嫁様!申し訳ございませんでした!あなた様から一時でも離れたことお許しください!」
「リーラス、君には失望したよ。騎士の職は荷が重すぎたようだね?」
カイは怒り震える声でリーラスを睨み付ければ、女性であるがゆえの苦労を知るルイはリーラスの前に座り込みカイを睨んだ。
「カイ!あなた言ったわよね女は弱い生き物だって!そんな女性が騎士になるのは大変なことよ?砦内なら安全だと思っておかしくないわ!自分のみは自分で守れなくては!リーラスさんのせいじゃない!私の油断からよ?カイが必要ないなら、私の正式な専属護衛騎士にしてもらうから!」
「…わかったよ。だからルイ、もう怒らないで。」
「わかってくれたならいい。」
*
何故だろう。私…あれだけリーラスさんに嫉妬していたのに、カイが時々女性軽視てきな発言は許せないのよね!また興奮して宣言しちゃったけど、力は暴走させなかったから、私にしてはじょうできかな?
さっきの騒動で発散したからかもしれないね。
*
こうして、リーラスは宣言どうりルイの専属護衛騎士になり、砦の牢では、グラシア帝国の侵入者の尋問が始まった。
数ヵ月に渡りグラシア帝国との交渉が行われ、数多くの条件を皇帝はしぶしぶ受け入れ、ラジアは解放された。
皇帝は息子の失態を機に山脈に手出しを一切することはなくなったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
半年間、俺の妻になれ〜幼馴染CEOのありえない求婚から始まる仮初の溺愛新婚生活〜 崖っぷち元社畜、会社が倒産したら玉の輿に乗りました!?
とろみ
恋愛
出勤したら会社が無くなっていた。
高瀬由衣(たかせゆい)二十七歳。金ナシ、職ナシ、彼氏ナシ。ついでに結婚願望も丸でナシ。
明日までに家賃を用意できなければ更に家も無くなってしまう。でも絶対田舎の実家には帰りたくない!!
そんな崖っぷちの由衣に救いの手を差し伸べたのは、幼なじみで大企業CEOの宮坂直人(みやさかなおと)。
「なぁ、俺と結婚しないか?」
直人は縁談よけのため、由衣に仮初の花嫁役を打診する。その代わりその間の生活費は全て直人が持つという。
便利な仮初の妻が欲しい直人と、金は無いけど東京に居続けたい由衣。
利害の一致から始まった愛のない結婚生活のはずが、気付けばいつの間にか世話焼きで独占欲強めな幼なじみCEOに囲い込まれていて――。
【完結】大好きなあなたのために…?
月樹《つき》
恋愛
私には子供の頃から仲の良い大好きな幼馴染がいた。
2人でよく読んだ冒険のお話の中では、最後に魔物を倒し立派な騎士となった男の子と、それを支えてきた聖女の女の子が結ばれる。
『俺もこの物語の主人公みたいに立派な騎士になるから』と言って、真っ赤な顔で花畑で摘んだ花束をくれた彼。あの時から彼を信じて支えてきたのに…
いつの間にか彼の隣には、お姫様のように可憐な女の子がいた…。
婚約破棄された令嬢は氷の公爵に拾われ、気づけば溺愛されていました~見下してきたあなた、後悔してももう遅いわ~
exdonuts
恋愛
婚約者である王太子に理不尽な罪をなすりつけられ、婚約破棄された公爵令嬢レティシア。
家族にも見放され、絶望の淵にいた彼女の手を取ったのは「氷の公爵」と呼ばれる冷徹な青年・アランだった。
愛を知らずに生きてきた彼の優しさが、傷ついたレティシアの心を少しずつ溶かしていく。
一方、過去の悪行が暴かれ始めた王太子とその取り巻きたち。
ざまぁが爽快、愛が深く、運命が巡る。
涙と笑顔の“溺愛ざまぁ”ロマンス。
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。
でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。
もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……?
表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。
全年齢作品です。
ベリーズカフェ公開日 2022/09/21
アルファポリス公開日 2025/06/19
作品の無断転載はご遠慮ください。
氷月の最愛~政略結婚のはずが、クールな旦那様から溺愛が始まりました!~
来海空々瑠
恋愛
「悪鬼」と呼ばれるモノノ怪が現れる帝都。主人公の四ノ宮椿が結婚することになったのは、その悪鬼討伐隊に所属する副隊長の院瀬見千歳という男だった。冷酷無比とも名高い男との結婚に、誰もが椿の結婚生活の行く末を案じたが、気づけば夫からの溺愛生活が始まって……?!
【完結】こっち向いて!少尉さん - My girl, you are my sweetest! -
文野さと@書籍化・コミカライズ
恋愛
今日もアンは広い背中を追いかける。
美しい近衛士官のレイルダー少尉。彼の視界に入りたくて、アンはいつも背伸びをするのだ。
彼はいつも自分とは違うところを見ている。
でも、それがなんだというのか。
「大好き」は誰にも止められない!
いつか自分を見てもらいたくて、今日もアンは心の中で呼びかけるのだ。
「こっち向いて! 少尉さん」
※30話くらいの予定。イメージイラストはバツ様です。掲載の許可はいただいております。
物語の最後の方に戦闘描写があります。
皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?
akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。
今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。
家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。
だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる