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顔合わせ
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「よっこらせっと……ん?」
ファイがドアを開けると、目の前に何やら荷物を整理している筋肉質でがたいの良い男が立っていた。
ファイより頭一つ分大きいぐらいの身長で、黒髪で眉毛は先まできれいに整っていて顔は骨骨しくきりっとした爽やかそうな見た目をしている。
「は、初めまして、ファイ・ストレイクです。これから3年間よろしくお願いします」
割と当たり障りのないファーストコンタクトができたのではないだろうか、とファイは心の中で喜んだ。
「おお! お前が俺の同居人か! 俺の名前はフォントレス・コバ―フィートだ。フォントレスってのは言いずれぇからフォンでいい。こっちこそよろしくな」
同時に右手を差し出し握手を求めてきた。
ファイは握手を断る理由がないので、素直に応じた。
「よろしく、フォン」
「さて、挨拶も済んだところでファイ、お前も自分の荷物整理しとけ。後々やろうとすると面倒になるから今のうちにやっとけ」
ファイはどういうことだともったがフォンの後ろを見ると、一瞬で状況が理解できた。自分の家から送ってきた荷物が山ずみになっていた。
「そ、そうだね……片付けようか」
二人は荷物の整理に取り掛かる。
フォンは先に荷物整理を終わったためファイの手伝いをしたりして、仲を深めていった。
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
気の遠くなりそうな整理を続けやっとのことで終わったと思ったら外はすっかり暗くなっていた。ファイは時間を忘れて作業していたため急に疲れが襲ってきた。
「もう少し荷物減らしとけばよかったな……」
「流石に半日以上ずっと荷物整理は辛いな……っと終わったら腹減ってきたな。どうだファイ、飯食いに行こうぜ」
確かに作業が終わったと思ったら今度は急にお腹が空いてきた。
「そうだね、俺もお腹空いてきたから食堂に行こうか」
二人は部屋をでて、食堂に向かう。食堂は寮から出てそれほど遠くない場所にある。
この学院には食堂があり、寮生組は基本的にそこで食事を摂ることになっている。
寮生組は人数が多く、学年ごとに食べる時間が決められている。3年が最初、次に2年が、最後に1年という流れになっている。
食堂はバイキング形式になっていてお盆に好きなものを盛り付けて適当な席に座るようになっている。
ファイたちは食堂に着き、食べ物をよそって席に座る。ファイは周りを見て人の多さに驚いた。
「すごい人の数だね。食堂もすごい広いけどほとんど席が埋まってるし……」
「まぁ、この学院の半分以上は王都以外から来てる寮生組だしな。でも1年だけでこの人数ってのは確かに驚きだな」
フォンはよそった飯を食べながら答え、そのままファイに問いかけた。
「そういえばファイってどこのクラスなんだ?」
「1―Aだよ。フォンはどこになったの?」
「そうか! 俺も1―Aなんだ。運がいいな」
「どんな人たちだろうね」
「俺は仲良くできりゃどんな奴でもいいや」
何気ない会話をしていてふと思った。
そういえばマキナはどこのクラスになったんだろうか。
マキナとは昔からの幼馴染だ。親同士の仲が良かったからか小さい頃はよく一緒に遊んでいた。最近はあまり一緒に遊ぶことは少なくなったが……(主にマキナの方から若干避けられているような気がしている)。
なんてことを考えていたら真左からお盆が置かれる音がした。気になって左を向くとそこに立ってたのはマキナだった。今気になっていた張本人が来たから驚いてしまった。
「隣いいかしら?」
と席に座っていいかと聞いてきた。
「いいけど……どうしたの?」
ファイはマキナの問いかけに肯定し、素直に疑問に思ったことを口にした。
「席を探そうと思って周りを見てたらあんたがいたから来たのよ。なに、悪い?」
「いや、別に悪くはないけど……」
マキナは「じゃあいいでしょ」と言いながらファイの隣に座りフォンに対して挨拶をした。
「初めまして、マキナ・アストレアよ。よろしく」
「あ、あぁ俺はフォントレス・コバ―フィートだ呼び方はフォンでいい。こちらこそよろしく」
フォンは急に来た女の子からの自己紹介に一瞬戸惑ってしまったが、すぐに気を取り直して挨拶を返した。
「そういえばマキナ、クラスはどこになったの?」
ファイは先ほどから気になっていたことを聞いた。
「クラス? ……あぁ、ファイと同じ1―Aだけど、それがそうしたの?」
「いや、どうというわけじゃないんだけどね……一応幼馴染だし気になるじゃん?」
マキナは「ふーん……」と呟いてご飯を食べ始めた。
ファイは心の中で安堵した。なぜなら同じクラスになれば昔のように仲良くできるのではないかと思っていたからこれは大きなチャンスだと思ったからだ。
「マキナは荷物整理は終わった?」
「昼過ぎには終わったわよ。ファイは終わったの? もしかしてまだやってないとかじゃないでしょうね」
「流石にやったよ! でも終わったのはちょっと前なんだけどね……」
「ファイは荷物多く持ってきすぎなのよ」
「うっ……そうなんだけどね……」
確かにファイは荷物を結構多く持ってきている。整理したときにフォンが4箱に対しファイは8箱と2倍の箱を持ってきている。ファイは学院に荷物を送るために荷物詰めをする際あれもこれもと詰め込んでいたらいつの間にか荷物が多くなってしまった。
「なんというか、俺は蚊帳の外みたいだな……」
マキナが来てから黙々と食べ物を口に運び続けていたフォンがついに口にした。
「全然そんなことないよ! フォンとも会話したいよ!」
ファイがすかさず答える。
「えぇそうよ。これから同じクラスメイトになるんだから」
マキナがファイに続く。
「おぉ、そうか。それはありがたいんだが……なんというか、お前ら仲いいんだな。」
フォンはファイとマキナの掛け合いを聞いて思ったことを素直に言う。
「本当に⁉」「誰がファイとなんか!」
ファイとマキナが同時に叫んだ。マキナは立ち上がって叫んでしまった為、周りの目が一瞬こっちに向いた。
マキナは恥ずかしくなりこほんと一回咳きを込んで静かに座る。
「やっぱり俺のこと嫌い?」
マキナはファイが落ち込んでいるのに気が付いた。
「い、いや別にそんなに嫌いというわけではないのよ? ただあの言い方だと誤解を生んじゃうんじゃないかなと思って言っただけで……」
フォンは前のじゃれあいを見て思った。荷物整理の時にファイにマキナのことは聞いていたのだが、これを見る限りファイが勘違いしているだけではないのかと思ったが見ていて面白かったので言わないで見ていることにした。
なんてことを考えていると、マキナがフォンに指をさして言ってきた。
「ああもう! フォン、あなたが悪いのよ! どうしてくれるのよ!」
「俺かよ⁉」
怒りの矛先が原因を作ったフォンに向かってきた。
それを聞いたファイが「まぁまぁ」となだめる。するとマキナが「なんであんたがなだめてんのよ!」とまた怒る。
夕飯中はずっとそんなことを繰り返し、ずっと賑やか(?)だった。
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
夕食を食べ終わったファイとフォンはマキナと別れ寮に戻って寝る準備をしていた。
「ふぁ……今日はいろんなことがあってすごい眠いや……」
「全くだ……本当に疲れた。特に夕食」
「あはは……ごめんね」
「いや、別に怒ってるわけじゃねぇからいいさ。ま、とにかく今日はもう寝ようぜ」
「そうだね」と答えてベッドに入る。明日の授業が楽しみすぎて眠れないっていうことなく死んだように眠ってしまった。
ファイがドアを開けると、目の前に何やら荷物を整理している筋肉質でがたいの良い男が立っていた。
ファイより頭一つ分大きいぐらいの身長で、黒髪で眉毛は先まできれいに整っていて顔は骨骨しくきりっとした爽やかそうな見た目をしている。
「は、初めまして、ファイ・ストレイクです。これから3年間よろしくお願いします」
割と当たり障りのないファーストコンタクトができたのではないだろうか、とファイは心の中で喜んだ。
「おお! お前が俺の同居人か! 俺の名前はフォントレス・コバ―フィートだ。フォントレスってのは言いずれぇからフォンでいい。こっちこそよろしくな」
同時に右手を差し出し握手を求めてきた。
ファイは握手を断る理由がないので、素直に応じた。
「よろしく、フォン」
「さて、挨拶も済んだところでファイ、お前も自分の荷物整理しとけ。後々やろうとすると面倒になるから今のうちにやっとけ」
ファイはどういうことだともったがフォンの後ろを見ると、一瞬で状況が理解できた。自分の家から送ってきた荷物が山ずみになっていた。
「そ、そうだね……片付けようか」
二人は荷物の整理に取り掛かる。
フォンは先に荷物整理を終わったためファイの手伝いをしたりして、仲を深めていった。
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
気の遠くなりそうな整理を続けやっとのことで終わったと思ったら外はすっかり暗くなっていた。ファイは時間を忘れて作業していたため急に疲れが襲ってきた。
「もう少し荷物減らしとけばよかったな……」
「流石に半日以上ずっと荷物整理は辛いな……っと終わったら腹減ってきたな。どうだファイ、飯食いに行こうぜ」
確かに作業が終わったと思ったら今度は急にお腹が空いてきた。
「そうだね、俺もお腹空いてきたから食堂に行こうか」
二人は部屋をでて、食堂に向かう。食堂は寮から出てそれほど遠くない場所にある。
この学院には食堂があり、寮生組は基本的にそこで食事を摂ることになっている。
寮生組は人数が多く、学年ごとに食べる時間が決められている。3年が最初、次に2年が、最後に1年という流れになっている。
食堂はバイキング形式になっていてお盆に好きなものを盛り付けて適当な席に座るようになっている。
ファイたちは食堂に着き、食べ物をよそって席に座る。ファイは周りを見て人の多さに驚いた。
「すごい人の数だね。食堂もすごい広いけどほとんど席が埋まってるし……」
「まぁ、この学院の半分以上は王都以外から来てる寮生組だしな。でも1年だけでこの人数ってのは確かに驚きだな」
フォンはよそった飯を食べながら答え、そのままファイに問いかけた。
「そういえばファイってどこのクラスなんだ?」
「1―Aだよ。フォンはどこになったの?」
「そうか! 俺も1―Aなんだ。運がいいな」
「どんな人たちだろうね」
「俺は仲良くできりゃどんな奴でもいいや」
何気ない会話をしていてふと思った。
そういえばマキナはどこのクラスになったんだろうか。
マキナとは昔からの幼馴染だ。親同士の仲が良かったからか小さい頃はよく一緒に遊んでいた。最近はあまり一緒に遊ぶことは少なくなったが……(主にマキナの方から若干避けられているような気がしている)。
なんてことを考えていたら真左からお盆が置かれる音がした。気になって左を向くとそこに立ってたのはマキナだった。今気になっていた張本人が来たから驚いてしまった。
「隣いいかしら?」
と席に座っていいかと聞いてきた。
「いいけど……どうしたの?」
ファイはマキナの問いかけに肯定し、素直に疑問に思ったことを口にした。
「席を探そうと思って周りを見てたらあんたがいたから来たのよ。なに、悪い?」
「いや、別に悪くはないけど……」
マキナは「じゃあいいでしょ」と言いながらファイの隣に座りフォンに対して挨拶をした。
「初めまして、マキナ・アストレアよ。よろしく」
「あ、あぁ俺はフォントレス・コバ―フィートだ呼び方はフォンでいい。こちらこそよろしく」
フォンは急に来た女の子からの自己紹介に一瞬戸惑ってしまったが、すぐに気を取り直して挨拶を返した。
「そういえばマキナ、クラスはどこになったの?」
ファイは先ほどから気になっていたことを聞いた。
「クラス? ……あぁ、ファイと同じ1―Aだけど、それがそうしたの?」
「いや、どうというわけじゃないんだけどね……一応幼馴染だし気になるじゃん?」
マキナは「ふーん……」と呟いてご飯を食べ始めた。
ファイは心の中で安堵した。なぜなら同じクラスになれば昔のように仲良くできるのではないかと思っていたからこれは大きなチャンスだと思ったからだ。
「マキナは荷物整理は終わった?」
「昼過ぎには終わったわよ。ファイは終わったの? もしかしてまだやってないとかじゃないでしょうね」
「流石にやったよ! でも終わったのはちょっと前なんだけどね……」
「ファイは荷物多く持ってきすぎなのよ」
「うっ……そうなんだけどね……」
確かにファイは荷物を結構多く持ってきている。整理したときにフォンが4箱に対しファイは8箱と2倍の箱を持ってきている。ファイは学院に荷物を送るために荷物詰めをする際あれもこれもと詰め込んでいたらいつの間にか荷物が多くなってしまった。
「なんというか、俺は蚊帳の外みたいだな……」
マキナが来てから黙々と食べ物を口に運び続けていたフォンがついに口にした。
「全然そんなことないよ! フォンとも会話したいよ!」
ファイがすかさず答える。
「えぇそうよ。これから同じクラスメイトになるんだから」
マキナがファイに続く。
「おぉ、そうか。それはありがたいんだが……なんというか、お前ら仲いいんだな。」
フォンはファイとマキナの掛け合いを聞いて思ったことを素直に言う。
「本当に⁉」「誰がファイとなんか!」
ファイとマキナが同時に叫んだ。マキナは立ち上がって叫んでしまった為、周りの目が一瞬こっちに向いた。
マキナは恥ずかしくなりこほんと一回咳きを込んで静かに座る。
「やっぱり俺のこと嫌い?」
マキナはファイが落ち込んでいるのに気が付いた。
「い、いや別にそんなに嫌いというわけではないのよ? ただあの言い方だと誤解を生んじゃうんじゃないかなと思って言っただけで……」
フォンは前のじゃれあいを見て思った。荷物整理の時にファイにマキナのことは聞いていたのだが、これを見る限りファイが勘違いしているだけではないのかと思ったが見ていて面白かったので言わないで見ていることにした。
なんてことを考えていると、マキナがフォンに指をさして言ってきた。
「ああもう! フォン、あなたが悪いのよ! どうしてくれるのよ!」
「俺かよ⁉」
怒りの矛先が原因を作ったフォンに向かってきた。
それを聞いたファイが「まぁまぁ」となだめる。するとマキナが「なんであんたがなだめてんのよ!」とまた怒る。
夕飯中はずっとそんなことを繰り返し、ずっと賑やか(?)だった。
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
夕食を食べ終わったファイとフォンはマキナと別れ寮に戻って寝る準備をしていた。
「ふぁ……今日はいろんなことがあってすごい眠いや……」
「全くだ……本当に疲れた。特に夕食」
「あはは……ごめんね」
「いや、別に怒ってるわけじゃねぇからいいさ。ま、とにかく今日はもう寝ようぜ」
「そうだね」と答えてベッドに入る。明日の授業が楽しみすぎて眠れないっていうことなく死んだように眠ってしまった。
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