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東の祓魔師と側仕えの少年
66.本日のデザート②
しおりを挟む「あの……今日のデザート、フレイヤさんにお願いして僕が作らせてもらったんです。もしよろしければ、皆さんに食べていただきたいのですが…」
——ギロッ!!!
と、僕にはそういう効果音が聞こえた。
7人に一斉に自分の方を向かれるのは中々威圧感がある。
しかしすぐにその威圧感は勘違いだと分かった。
「まじかハルオミ!! やった~!!」
「ハルオミ君それは本当ですか!? 私、もうずっとハルオミ君のデザート食べたかったんです。この日を今か今かと待ち望んでいました!」
「ほお……異界の料理か」
酒ばかりあおっていたギュスター様も手を止めて興味深そうに呟く。
「異界料理なんて見た事も無いよなギュスター! ハルオミ君、さっそく食べさせてくれ」
「はい! 是非! 少々お待ちくださいね」
僕は立ち上がって食事会場の隣にある調理場へ行き、ウラーさんや給仕さんに声をかけた。
「みなさん、お願いします」
手伝ってもらって盛り付けの仕上げをする。
アップルパイは切り分けてそれぞれ1ピースずつお皿に乗せ、少し温める。その隣にはアイスクリームを添えた。
このアイスクリームはフレイヤさんが氷の魔法を使って冷やしてくれたんだ。魔法の力で一瞬でアイスクリームが出来上がったのでめちゃくちゃ感動した。僕も氷の魔法練習したいなあ……
僕たち8人分のデザートプレートが完成したところで、手伝ってくださった執事さんや給仕さん、それから美味しい料理を作ってくれた料理人さんにも声をかける。
「あの、あとこれ、小さいですが皆さんで食べてほしいと思って多めに作ったんです。さっきみたいに温めて、あとこのアイスを添えて食べてみてください」
「なっ、ハルオミ殿! わたくしどもにも心遣いを……良いのですか?」
そう言ってウラーさんたちは目を見開く。
「もちろんです。お口に合うかわかりませんが……では、どうぞ召し上がってくださいね!」
僕はアイスが溶ける前にワゴンにお皿を乗せてフレイヤさんたちの元へと運ぶ。
やはり見た目が珍しいのか、皆さん興味深げにお皿を観察している。
「やったー! ハルオミ君のデザート!」
手をぱちぱちたたいて喜びを表現するパネースさん。
「パネースのはしゃいでいるところが見れるなんて、ハルオミ殿には感謝を述べねばな」
「でもハルオミ、この横っちょの白いのは見たことねーぞ、これ何だ?」
「それはアイスクリームだよ。フレイヤさんに作るの手伝ってもらったの。ナイフとフォークでアップルパイを切って、そのアイスを乗せて食べてみてください。さ、皆さん、溶けないうちにどうぞ」
「では、いただこう」
「いただきます」
「いただきます!」
皆がを揃えて言い、僕の作ったものが7人の口の中に収まるのをじっと見る。緊張で、その一瞬がとても長い時間に感じた。
「「…………っ!!!」」
「ど、どうですか……? お口に、あいますか?」
数秒、なぜか誰も声を発さず僕の方を凝視する。マズかったかな、なんか材料忘れたかな!? と不安に駆られ、自分の皿からすぐに一口放り込む。
「……ん」
いや、普通だけど、大丈夫だと思うけど……口に合わなかったかな、アイスクリームって馴染み無かったかな。
「これは………」
あれこれ考えているとギュスター様が静かに口を開いた。それに続くようにして、皆一斉に声を発した。
「な、何ですかこれはハルオミ君! 私の知っているあっぷるぱいより数倍、数百倍おいしい!」
「ハルオミ殿、これが君の世界ではごく一般的に食べられているのか? こりゃレベルが高いな。シャキッとしたのはこれ果物か? こんな食感になるんだな」
「レベルが高いってもんじゃないよニエルド兄さん! ねえフレイヤ兄さん、いっつもこんな美味しいもの食べてたの!?」
「ああそうだ。だがこれはパネースの言う通り、普段の数倍うまい。さすがハルオミだ」
「熱いのと冷たいのが合わさって口の中すげーことになってる!この、あいすくりーむってヤツが乗っかるだけで全然違うんだな。まあ俺は乗ってても乗ってなくてもどっちも好きだぜ」
イザベラはアイスをフォークで掬って間近で観察している。どっちも好きと言いながらよっぽどアイスが気に入ったらしい。
はしゃぐ皆を沈めるように、何かを考え込むようにしてムーサ様が呟いた。
「美味い、美味すぎる……けどそれだけじゃない。なあギュスター、みんなも。なんか感じないか?」
なんか……? と一同頭を捻ったのも束の間、フレイヤさんが驚いたように声を上げた。
「なるほど、"無意識の放出"だ。君がこれを作ったあと疲れて動けなくなってしまったのは単に魔力を放出していたからでは無い。無意識に、これに魔力を込めていたんだね」
「ど…どういうこと?」
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