【完結】眠れぬ異界の少年、祓魔師の愛に微睡む

丑三とき

文字の大きさ
66 / 176
東の祓魔師と側仕えの少年

66.本日のデザート②

しおりを挟む





「あの……今日のデザート、フレイヤさんにお願いして僕が作らせてもらったんです。もしよろしければ、皆さんに食べていただきたいのですが…」


——ギロッ!!!

と、僕にはそういう効果音が聞こえた。
7人に一斉に自分の方を向かれるのは中々威圧感がある。

しかしすぐにその威圧感は勘違いだと分かった。

「まじかハルオミ!!  やった~!!」

「ハルオミ君それは本当ですか!?  私、もうずっとハルオミ君のデザート食べたかったんです。この日を今か今かと待ち望んでいました!」

「ほお……異界の料理か」

酒ばかりあおっていたギュスター様も手を止めて興味深そうに呟く。

「異界料理なんて見た事も無いよなギュスター!  ハルオミ君、さっそく食べさせてくれ」

「はい! 是非!  少々お待ちくださいね」

僕は立ち上がって食事会場の隣にある調理場へ行き、ウラーさんや給仕さんに声をかけた。

「みなさん、お願いします」

手伝ってもらって盛り付けの仕上げをする。

アップルパイは切り分けてそれぞれ1ピースずつお皿に乗せ、少し温める。その隣にはアイスクリームを添えた。

このアイスクリームはフレイヤさんが氷の魔法を使って冷やしてくれたんだ。魔法の力で一瞬でアイスクリームが出来上がったのでめちゃくちゃ感動した。僕も氷の魔法練習したいなあ……

僕たち8人分のデザートプレートが完成したところで、手伝ってくださった執事さんや給仕さん、それから美味しい料理を作ってくれた料理人さんにも声をかける。

「あの、あとこれ、小さいですが皆さんで食べてほしいと思って多めに作ったんです。さっきみたいに温めて、あとこのアイスを添えて食べてみてください」

「なっ、ハルオミ殿! わたくしどもにも心遣いを……良いのですか?」

そう言ってウラーさんたちは目を見開く。

「もちろんです。お口に合うかわかりませんが……では、どうぞ召し上がってくださいね!」

僕はアイスが溶ける前にワゴンにお皿を乗せてフレイヤさんたちの元へと運ぶ。




やはり見た目が珍しいのか、皆さん興味深げにお皿を観察している。

「やったー! ハルオミ君のデザート!」

手をぱちぱちたたいて喜びを表現するパネースさん。

「パネースのはしゃいでいるところが見れるなんて、ハルオミ殿には感謝を述べねばな」

「でもハルオミ、この横っちょの白いのは見たことねーぞ、これ何だ?」

「それはアイスクリームだよ。フレイヤさんに作るの手伝ってもらったの。ナイフとフォークでアップルパイを切って、そのアイスを乗せて食べてみてください。さ、皆さん、溶けないうちにどうぞ」

「では、いただこう」

「いただきます」

「いただきます!」

皆がを揃えて言い、僕の作ったものが7人の口の中に収まるのをじっと見る。緊張で、その一瞬がとても長い時間に感じた。

「「…………っ!!!」」

「ど、どうですか……?  お口に、あいますか?」

数秒、なぜか誰も声を発さず僕の方を凝視する。マズかったかな、なんか材料忘れたかな!? と不安に駆られ、自分の皿からすぐに一口放り込む。

「……ん」

いや、普通だけど、大丈夫だと思うけど……口に合わなかったかな、アイスクリームって馴染み無かったかな。

「これは………」

あれこれ考えているとギュスター様が静かに口を開いた。それに続くようにして、皆一斉に声を発した。

「な、何ですかこれはハルオミ君! 私の知っているあっぷるぱいより数倍、数百倍おいしい!」

「ハルオミ殿、これが君の世界ではごく一般的に食べられているのか? こりゃレベルが高いな。シャキッとしたのはこれ果物か? こんな食感になるんだな」

「レベルが高いってもんじゃないよニエルド兄さん! ねえフレイヤ兄さん、いっつもこんな美味しいもの食べてたの!?」

「ああそうだ。だがこれはパネースの言う通り、普段の数倍うまい。さすがハルオミだ」

「熱いのと冷たいのが合わさって口の中すげーことになってる!この、あいすくりーむってヤツが乗っかるだけで全然違うんだな。まあ俺は乗ってても乗ってなくてもどっちも好きだぜ」

イザベラはアイスをフォークで掬って間近で観察している。どっちも好きと言いながらよっぽどアイスが気に入ったらしい。

はしゃぐ皆を沈めるように、何かを考え込むようにしてムーサ様が呟いた。

「美味い、美味すぎる……けどそれだけじゃない。なあギュスター、みんなも。なんか感じないか?」

なんか……? と一同頭を捻ったのも束の間、フレイヤさんが驚いたように声を上げた。

「なるほど、"無意識の放出"だ。君がこれを作ったあと疲れて動けなくなってしまったのは単に魔力を放出していたからでは無い。無意識に、これに魔力を込めていたんだね」

「ど…どういうこと?」



しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化) 我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。 (追記5/14 : お互いぶん回してますね。) Special thanks illustration by おのつく 様 X(旧Twitter) @__oc_t ※ご都合主義です。あしからず。 ※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。 ※◎は視点が変わります。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。

おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。 ✻✻✻ 2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。

イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺

ユッキー
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。  大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと

mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36) 低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。 諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。 冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。 その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。 語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

処理中です...