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続編その①〜初めての発情期編〜
32.しるし
しおりを挟む——カプッ
「!? ハルオミ? 突然どうしたんだい?」
「ん……」
僕はフレイヤさんにしるしを付けたくなって、首筋に噛みついたのだ。
「おや……腹が減ったのかい? 今日の君の『おこわ』と『とんじる』は絶品だったが……私は食べてもあまり美味しくないよ?」
なにを素っ頓狂なことを言っているんだ、これから僕のマークをたっぷり刻み込んでやるのだから覚悟してよ、と思いフレイヤさんの首筋に噛みついても、ちゅっと口付けをしてみても、薄い歯形が残るだけ。
あれ? フレイヤさん、どうやってたっけ?
確かちょっとだけチクっとして、こんな感じに噛んだりキスしたりしてた気がするんだけど……。
かっこよくフレイヤさんにしるしを付けて惚れ直させようと思ったのにこれじゃ作戦失敗だ……。悔しいけど、分からない時は素直に教えを乞いなさいって学校の先生が言っていた。
「フレイヤさん……」
「ん? どうした?」
フレイヤさんは、ぽんぽん、と赤子を宥めるように僕の頭を撫でる。
「フレイヤさんにたくさん赤いやつを付けたいんだけど、どうしたらいい……?」
「赤い、やつ……。もしかして、君はそれを私につけようとしていたのか?」
「うん。だってフレイヤさんは僕のだから、その証」
「ハルオミ……」
はぁ、と息を吐いて僕を腕の中に閉じ込める。そして彼の大きなため息に身を強張らせていれば、抵抗する間もなくあれよあれよという間にベッドの上で組み敷かれていた。
「……へ?」
よ、予定と違う。
僕が"大人の色気"を見せてフレイヤさんを虜にするつもりだったのに。
「フ、フレイヤさんあのね、今日は僕が」
「困るな。そういうことをされると、本当に君を鎖で繋いで閉じ込めたくなってしまう」
——ゾクッ
フレイヤさんの目がいつもと違う。ギラっと血走っていて、まるで獲物をとらえた猛獣のようだ。その震え上がりそうなほど鋭い視線に、体の芯がゾクゾクと沸き立つ。
「私が赤い印の付け方を教えてあげるから、しっかり見ておくんだよ」
「う、ん……」
プチ、プチ、と僕のシャツのボタンをゆっくりと外す手つきを見ているだけで、その先の刺激を想像して期待が膨らんでしまう。
はだけた胸に、フレイヤさんの顔が近づいてくる。そのまま、ちゅ、と軽く口づけを落とされた。
「いいかい? 口づけを落としたまま、皮膚を少し吸うんだ。こんな感じに」
——チュゥッ
「!」
ちく、という微かな痛みが胸のあたりに芽生える。
これだ、この感覚。
唇が離れた場所には、綺麗な赤いしるしが付いていた。
「僕も! フレイヤさんに付けたい」
そう主張すれば、すんなり許可をくれた彼と互いの位置を変わる。つまり、仰向けになったフレイヤさんの上に僕が跨って、見下ろしているのだ。
この位置ってこんな感じなんだ……。
上にいるのは僕なのに、フレイヤさんが余裕っぽく微笑んでいるのがとても悔しい。見てろよ、たくさんしるし付けてやるんだから。
「えっと……まずは……」
彼がやったのと同じように、まずはシャツのボタンを開けてはだけさせる。鍛え上げられた胸筋が姿を現し、その雄々しい姿にお腹の奥がきゅんと疼き、下腹部は緩く芯を持ち始めてしまった。
誤魔化すように身をかがめ、フレイヤさんの胸に唇を落とす。
ここで少しだけ吸うんだったよな……。
痛くしないように、でもくっきり跡がつくように、ちゅ、と吸い上げた。フレイヤさんの皮膚は芳しく甘い。僕は2、3秒、そのままフレイヤさんの肌の味に惹きつけられるように吸い上げる。
そして唇を離しその場所を見れば、僕の胸にあるのと同じ赤いしるしが刻まれていた。
「ついた……」
「よしよし、よくできたね」
子供を褒めるような優しい声で頭を撫でられると、体の熱がずんずんと上がってくる。
「もっと、付けていい……? 」
「ああ。ハルオミの好きなようにしていいよ」
僕は、「待て」を解除された犬のように彼の大きな胸板に抱きつき、ひとつ、またひとつと赤い花を咲かせた。
胸のところに2つ、首に2つ、お腹に3つ。フレイヤさんの皮膚の味を愉しんだ。しっかりと彼に刻み込んだら、次は自分の肌が真っ白であることに寂しさを覚える。
僕は次なるおねだりをした。
「フレイヤさんも僕に付けて?」
「……いいのかい?」
心も体も我慢がきかなくなって、僕は緩く勃ち上がった自身を彼に擦り付けていた。腰を揺らしながら乞う。
「うん、いっぱい付けて欲しい。フレイヤさんのものだっていう証を体に刻みつけたいんだ。……お願い」
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