45 / 234
魔法学校入学試験
44 赤色の魔方陣
しおりを挟む
カルタ視点
ドゴォン!!!!___
ワイバーンの怪力が民家をえぐりとる。民家の瓦礫が吹き飛び、なにかに引火したのか火がつく、六人分の悲鳴が無人の港町に響きわたった。
まき起こった土煙から五つの影が飛び出した。
「ゲホッ!ゲホッ!くっそ!ンでばれやがった!」
「話してたからだろ!」
「やっぱりあのワイバーン怖いですぅ!!!」
「なんなのあれ!」
「飛んで逃げるのも限界があるぞ!」
咄嗟に箒にまたがって空を飛んだは良いもののワイバーンはカルタ達のいる方向へと向かってきていた。
このままじゃいずれ追い付かれて全滅する。どうにかして足止めの手段を考えなければ。
「君たち、得意な魔法はなんだい?」
「あ?身体強化!」
「俺、雷魔法!」
「メメちゃんは傀儡魔法です」
「防御魔法よ」
今の状況的に使えそうなのは雷魔法と防御魔法くらいだろうか?傀儡魔法も使い方によっては役に立てそうではあるが、難しいのが身体強化魔法。
「だああ!おいかけてくんなぁ!!」
ローレスが杖を振り上げる。
「全知の神罰、降って災害、槍となって不敬者を貫け!」
ローレスの詠唱に反応して快晴だった空が曇り出す。
雲は渦巻き、暑さを持ち黒くなっていく。次第にゴロゴロと腹のそこに響くような音を鳴らしだし、光が駆け巡る。
「ボルトスピア!!!」
ドォン!__
雷の槍が雲から落ちてワイバーンを貫いた。
「ギュァァァアアアアアア!!!!!」
ワイバーンの悲鳴が轟く。町が揺れた。
ワイバーンはあちこち焦げて、体制を崩したまま民家の上に墜落していった。
「やったか!?」
「ワイバーンが初級の雷属性の魔法でどうにかなるわけないでしょ!今のうちに距離とるわよ!」
「待て、永華どこだ?」
「はぁ!?……あ゛!飛べないんだった!」
となるとさっきの場所に置いてきてる?いや、瓦礫の周辺に戌井の姿は見えない。
じゃあどこだ、どこにいる?
「……あ!いた、あそこです!」
メイメアが海の方向に向かって自転車を走らせる永華を見つけた。
「海の方に向かってね?」
「とりあえず遠ざかろうとしてるんだろう!」
ワイバーンがこっちに向かってきている以上、今はあのまま放置しても良いかもしれない。
民家を下敷きにしてぺしゃんこに押し潰したワイバーンはふらふらと起き上がり、また飛び立つ。
「ほぉらあ!起きてきたわよ!」
飛び立ったワイバーンは永華に見向きもせず、他の五人がいる方向に飛んでくる。
ガパッと口を開いたかと思うと酸素が集まり火球が形成されていく。下級の熱気がこちらまでやってきて、だんだんと周囲の温度が上がっていく。
「いやああああ!」
「ブレス!?」
「ワイバーンってブレス吐いたっけ?」
「吐かねえはずだぞ!」
汗が額を伝って落ちていく。
ブレスを吐くのは正真正銘のドラゴンだけのはずだ。分類はドラゴンとは言えどもワイバーンにブレス生成するための術なんてない。生物的にあり得ない行動、いったい何が起こっている。
「これは試験、なんだよな?」
カルタ達なんて用意に飲み込んでしまいそうな火球が眼前に迫っていた。
「逃げろお!」
ベイノットの言葉に硬直した体が動き出す。
旋回、上昇、降下、思い思いの方法で火球から逃れる。
「ぐっ!」
火球を避ける拍子に体制を崩してしまい、あと少し勢いがあれば投げ出されそうになる。しかも箒の穂先に火がついてしまった。
「くっそ!」
何とか体制は建直せたものの、いくら叩けど火が消える気配はいっこうにない。
「消えろ!消えろ!」
穂先が燃えているせいで飛行が安定しない。思う方向に飛ばないし、だんだんと地面か近くなっていく。
焦りのあまり水魔法を使うという発想も出ずに頭が真っ白になる。
「篠野部!!!」
誰かに呼ばれて、なんとなしに振り返る。
振り返ったj先には口を大きく開けて、今にも僕を飲み込もうとしているワイバーンがいた。
「うわっ!」
ガクンッと高度がさがり、間一髪でワイバーンの口の中に入ることはなかった。
僕の頭の真上に、ワイバーンの口がある。
「……っ!」
冷や汗が背中をつたう。
何とかワイバーンの噛みつきを避けつつ、どうにか不時着しようと試みる。だが箒が言うことを聞かない。
バキン__
箒が、折れた。
体が空中に投げ出される。浮遊感を感じる暇もなく上から影が射した。ワイバーンがまた僕を食らおうと大口を開けていた。
「……終わった」
箒は使えない。この高さからの自由落下は脱落は不可避だろう。まぁ、落ちる前に、ワイバーンに食べられてしまうだろうが。
戌井の心配をしていたのに自分がこの有り様じゃあ世話がないな。
「勝手に終わってンじゃねえぞ!」
戌井?
「にゃぁぁあああああ!!!!!」
「うぐっ!」
いったい何が起こったんだ?ってきりワイバーンに食べられてしまったと思ったんだが……。
今、カルタはミューに抱えられ空を飛んでいた。
戌井はアルマックに抱えられて、ワイバーンと向かい合っていた。
ギュルッ!__
何かが擦れる音がしたと思ったら、赤色に淡く光る巨大な魔方陣がワイバーンの眼前に現れた。
「ぶっ飛べ!」
魔方陣から間欠泉が如く水が吹き出して、ワイバーンを吹き飛ばし、角度と位置を変えワイバーンを地面に叩きつけた。
「全知の神罰、降って災害、降りてその者に害をなせ!!」
ゴロゴロ!!__
いまだとどまっていた雷雲のあちこちから光が漏れ出す。
「サンダー!!」
思わず耳を押さえたくなるような落雷の音と、目をおおいたくなるほどの光が辺り一帯に響き渡る。落ちた落雷に地面や民家を揺らし、落雷地点の近場の窓ガラスをわった。
びしょ濡れになったワイバーンに落ちた雷は、一瞬だけだった雷槍とは違い長い間帯電し続け、ワイバーンに帯電し続ける時間だけダメージを与える。
雷槍の時以上の悲鳴をあげた。
「傀儡が踊り、演じる舞台。願われるアンコール、なされることなく糸切れて落ちて石となった」
メイメアは手に持っていた人形をワイバーンに向かって放り投げる。人形は徐々に大きくなっていき、ワイバーンと同じ程度の大きさになる。
「ビック・ヘビー・ベアー」
魔法により大きさと質量が増したテディベアがワイバーンの胴へと落ちる。
ドォン!__
大きくなったとはいえ布と綿の固まり、落ちたところでそれほどのダメージは入らないはずなのにワイバーンは悲鳴を上げることもなく、変わりに骨や鱗のわれる音がした。
「その熊さんは今だけ大岩も同然なのです!」
暴れる四肢は地面や瓦礫を砕き、やがて動かなくなった。
おそらく、絶命した。
ようやっと状況が把握できた。
食べられる寸前にレイにさらわれ、追いかけてこようとするワイバーンに向かって戌井が魔法を放ち足止めした。空を飛べない戌井をアルマックが補助して、レイスとファーレンテインが追撃した。
「……なるほど、助かった」
「お礼はあとよ!試験のあとでスイーツでも奢ってちょうだい!」
「わかった」
男一人を抱えて飛ぶのは辛いのか、ミューはしかめっ面になっており早々に不時着した。
「ふう……怪我は?」
「してない」
怪我はないが着ていたベストの背中側の裾が少し焦げてしまった。
まぁ、試験が終われば戻るし、別に構わないんだが。
「篠野部!!!」
「っ!?お、大声を出すな!ビックリするだろう」
「だって!今さっきワイバーンに食べられそうになってたじゃん!死ぬかと思って心臓とまるかとおもったんだよ……!」
「君、な……あ……」
試験なんだから死ぬわけがない。心配のしすぎだ。そう言葉を続けようとしたが、言葉がでなかった。
カルタが振り返ったとき見た永華の表情は今にも泣き出しそうなものだった。
「……」
「いきなり箒が折れてたし、二回も食べられそうになるしぃ!」
「ぁ、あぁ……」
「どうせ!篠野部は心配のしすぎとか言うんだろうけど心配するに決まってるじゃん!ビビるよあんなもん!」
「ご、ごめん……」
普段見ないような永華の泣きそうな表情にカルタは無表情ながらに、どうしたら良いかわからずにたじたじになっていた。
今まで見せる表情と言えば笑顔などの明るい感情がほとんどで、泣きそうな表情や暗い感情はケイ達を見つけたときのたった一回見ただけ。
それだって状態を考えれば仕方のないことで、まさか自分を心配して泣きそうになるなんて思っても見なかった。
「よっと。ん?え、痴話喧嘩中?」
「雰囲気ぶち壊しなのです」
ワイバーンに追撃していた二人が合流した。
二人の言葉にハッとして、睨み付ける。
「わ、わりぃ。はは……」
「変なこと言うからこうなるのです」
「痴話喧嘩でも何でもない。……説教されてた、だけだ。ビビらすなってね」
「あぁ、そういうこと……。まあ、されるわな」
「長い付き合いならなおさらね。私だって文句言いたいわよ。いくら試験とは言え見殺しにはできないし……」
「俺は永華に文句言いたいがな。いきなりワイバーンの前に行けって言われたんだぞ」
「あ、ごめんなさい」
「結果的に倒せたから、かまわねえけどよ」
四人が同じタイミングでため息を吐く。カルタは顔をそらし、永華は気まずそうにしていた。
「それにしたって貴女、あの巨大な魔方陣、どうやって用意したの?しかもあれ転送魔法でしょう?水の出所はどこなのよ?」
「あ、それ俺も気になってた」
「メメもです」
「俺もだ」
「え?あぁ、あれ?えっとねえ」
ドゴォン!!!!___
ワイバーンの怪力が民家をえぐりとる。民家の瓦礫が吹き飛び、なにかに引火したのか火がつく、六人分の悲鳴が無人の港町に響きわたった。
まき起こった土煙から五つの影が飛び出した。
「ゲホッ!ゲホッ!くっそ!ンでばれやがった!」
「話してたからだろ!」
「やっぱりあのワイバーン怖いですぅ!!!」
「なんなのあれ!」
「飛んで逃げるのも限界があるぞ!」
咄嗟に箒にまたがって空を飛んだは良いもののワイバーンはカルタ達のいる方向へと向かってきていた。
このままじゃいずれ追い付かれて全滅する。どうにかして足止めの手段を考えなければ。
「君たち、得意な魔法はなんだい?」
「あ?身体強化!」
「俺、雷魔法!」
「メメちゃんは傀儡魔法です」
「防御魔法よ」
今の状況的に使えそうなのは雷魔法と防御魔法くらいだろうか?傀儡魔法も使い方によっては役に立てそうではあるが、難しいのが身体強化魔法。
「だああ!おいかけてくんなぁ!!」
ローレスが杖を振り上げる。
「全知の神罰、降って災害、槍となって不敬者を貫け!」
ローレスの詠唱に反応して快晴だった空が曇り出す。
雲は渦巻き、暑さを持ち黒くなっていく。次第にゴロゴロと腹のそこに響くような音を鳴らしだし、光が駆け巡る。
「ボルトスピア!!!」
ドォン!__
雷の槍が雲から落ちてワイバーンを貫いた。
「ギュァァァアアアアアア!!!!!」
ワイバーンの悲鳴が轟く。町が揺れた。
ワイバーンはあちこち焦げて、体制を崩したまま民家の上に墜落していった。
「やったか!?」
「ワイバーンが初級の雷属性の魔法でどうにかなるわけないでしょ!今のうちに距離とるわよ!」
「待て、永華どこだ?」
「はぁ!?……あ゛!飛べないんだった!」
となるとさっきの場所に置いてきてる?いや、瓦礫の周辺に戌井の姿は見えない。
じゃあどこだ、どこにいる?
「……あ!いた、あそこです!」
メイメアが海の方向に向かって自転車を走らせる永華を見つけた。
「海の方に向かってね?」
「とりあえず遠ざかろうとしてるんだろう!」
ワイバーンがこっちに向かってきている以上、今はあのまま放置しても良いかもしれない。
民家を下敷きにしてぺしゃんこに押し潰したワイバーンはふらふらと起き上がり、また飛び立つ。
「ほぉらあ!起きてきたわよ!」
飛び立ったワイバーンは永華に見向きもせず、他の五人がいる方向に飛んでくる。
ガパッと口を開いたかと思うと酸素が集まり火球が形成されていく。下級の熱気がこちらまでやってきて、だんだんと周囲の温度が上がっていく。
「いやああああ!」
「ブレス!?」
「ワイバーンってブレス吐いたっけ?」
「吐かねえはずだぞ!」
汗が額を伝って落ちていく。
ブレスを吐くのは正真正銘のドラゴンだけのはずだ。分類はドラゴンとは言えどもワイバーンにブレス生成するための術なんてない。生物的にあり得ない行動、いったい何が起こっている。
「これは試験、なんだよな?」
カルタ達なんて用意に飲み込んでしまいそうな火球が眼前に迫っていた。
「逃げろお!」
ベイノットの言葉に硬直した体が動き出す。
旋回、上昇、降下、思い思いの方法で火球から逃れる。
「ぐっ!」
火球を避ける拍子に体制を崩してしまい、あと少し勢いがあれば投げ出されそうになる。しかも箒の穂先に火がついてしまった。
「くっそ!」
何とか体制は建直せたものの、いくら叩けど火が消える気配はいっこうにない。
「消えろ!消えろ!」
穂先が燃えているせいで飛行が安定しない。思う方向に飛ばないし、だんだんと地面か近くなっていく。
焦りのあまり水魔法を使うという発想も出ずに頭が真っ白になる。
「篠野部!!!」
誰かに呼ばれて、なんとなしに振り返る。
振り返ったj先には口を大きく開けて、今にも僕を飲み込もうとしているワイバーンがいた。
「うわっ!」
ガクンッと高度がさがり、間一髪でワイバーンの口の中に入ることはなかった。
僕の頭の真上に、ワイバーンの口がある。
「……っ!」
冷や汗が背中をつたう。
何とかワイバーンの噛みつきを避けつつ、どうにか不時着しようと試みる。だが箒が言うことを聞かない。
バキン__
箒が、折れた。
体が空中に投げ出される。浮遊感を感じる暇もなく上から影が射した。ワイバーンがまた僕を食らおうと大口を開けていた。
「……終わった」
箒は使えない。この高さからの自由落下は脱落は不可避だろう。まぁ、落ちる前に、ワイバーンに食べられてしまうだろうが。
戌井の心配をしていたのに自分がこの有り様じゃあ世話がないな。
「勝手に終わってンじゃねえぞ!」
戌井?
「にゃぁぁあああああ!!!!!」
「うぐっ!」
いったい何が起こったんだ?ってきりワイバーンに食べられてしまったと思ったんだが……。
今、カルタはミューに抱えられ空を飛んでいた。
戌井はアルマックに抱えられて、ワイバーンと向かい合っていた。
ギュルッ!__
何かが擦れる音がしたと思ったら、赤色に淡く光る巨大な魔方陣がワイバーンの眼前に現れた。
「ぶっ飛べ!」
魔方陣から間欠泉が如く水が吹き出して、ワイバーンを吹き飛ばし、角度と位置を変えワイバーンを地面に叩きつけた。
「全知の神罰、降って災害、降りてその者に害をなせ!!」
ゴロゴロ!!__
いまだとどまっていた雷雲のあちこちから光が漏れ出す。
「サンダー!!」
思わず耳を押さえたくなるような落雷の音と、目をおおいたくなるほどの光が辺り一帯に響き渡る。落ちた落雷に地面や民家を揺らし、落雷地点の近場の窓ガラスをわった。
びしょ濡れになったワイバーンに落ちた雷は、一瞬だけだった雷槍とは違い長い間帯電し続け、ワイバーンに帯電し続ける時間だけダメージを与える。
雷槍の時以上の悲鳴をあげた。
「傀儡が踊り、演じる舞台。願われるアンコール、なされることなく糸切れて落ちて石となった」
メイメアは手に持っていた人形をワイバーンに向かって放り投げる。人形は徐々に大きくなっていき、ワイバーンと同じ程度の大きさになる。
「ビック・ヘビー・ベアー」
魔法により大きさと質量が増したテディベアがワイバーンの胴へと落ちる。
ドォン!__
大きくなったとはいえ布と綿の固まり、落ちたところでそれほどのダメージは入らないはずなのにワイバーンは悲鳴を上げることもなく、変わりに骨や鱗のわれる音がした。
「その熊さんは今だけ大岩も同然なのです!」
暴れる四肢は地面や瓦礫を砕き、やがて動かなくなった。
おそらく、絶命した。
ようやっと状況が把握できた。
食べられる寸前にレイにさらわれ、追いかけてこようとするワイバーンに向かって戌井が魔法を放ち足止めした。空を飛べない戌井をアルマックが補助して、レイスとファーレンテインが追撃した。
「……なるほど、助かった」
「お礼はあとよ!試験のあとでスイーツでも奢ってちょうだい!」
「わかった」
男一人を抱えて飛ぶのは辛いのか、ミューはしかめっ面になっており早々に不時着した。
「ふう……怪我は?」
「してない」
怪我はないが着ていたベストの背中側の裾が少し焦げてしまった。
まぁ、試験が終われば戻るし、別に構わないんだが。
「篠野部!!!」
「っ!?お、大声を出すな!ビックリするだろう」
「だって!今さっきワイバーンに食べられそうになってたじゃん!死ぬかと思って心臓とまるかとおもったんだよ……!」
「君、な……あ……」
試験なんだから死ぬわけがない。心配のしすぎだ。そう言葉を続けようとしたが、言葉がでなかった。
カルタが振り返ったとき見た永華の表情は今にも泣き出しそうなものだった。
「……」
「いきなり箒が折れてたし、二回も食べられそうになるしぃ!」
「ぁ、あぁ……」
「どうせ!篠野部は心配のしすぎとか言うんだろうけど心配するに決まってるじゃん!ビビるよあんなもん!」
「ご、ごめん……」
普段見ないような永華の泣きそうな表情にカルタは無表情ながらに、どうしたら良いかわからずにたじたじになっていた。
今まで見せる表情と言えば笑顔などの明るい感情がほとんどで、泣きそうな表情や暗い感情はケイ達を見つけたときのたった一回見ただけ。
それだって状態を考えれば仕方のないことで、まさか自分を心配して泣きそうになるなんて思っても見なかった。
「よっと。ん?え、痴話喧嘩中?」
「雰囲気ぶち壊しなのです」
ワイバーンに追撃していた二人が合流した。
二人の言葉にハッとして、睨み付ける。
「わ、わりぃ。はは……」
「変なこと言うからこうなるのです」
「痴話喧嘩でも何でもない。……説教されてた、だけだ。ビビらすなってね」
「あぁ、そういうこと……。まあ、されるわな」
「長い付き合いならなおさらね。私だって文句言いたいわよ。いくら試験とは言え見殺しにはできないし……」
「俺は永華に文句言いたいがな。いきなりワイバーンの前に行けって言われたんだぞ」
「あ、ごめんなさい」
「結果的に倒せたから、かまわねえけどよ」
四人が同じタイミングでため息を吐く。カルタは顔をそらし、永華は気まずそうにしていた。
「それにしたって貴女、あの巨大な魔方陣、どうやって用意したの?しかもあれ転送魔法でしょう?水の出所はどこなのよ?」
「あ、それ俺も気になってた」
「メメもです」
「俺もだ」
「え?あぁ、あれ?えっとねえ」
0
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる