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魔法学校入学試験
48 被った皮の下
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永華視点
黒と紫の光が港町を、辺り一帯を、箱庭の中を包み込んだ。
「へ……?」
あまりの驚きからすっとんきょうな声が漏れでた。
禍々しい光の発生源は、どうやらワイバーンに貼り付けられている紙のようだ。
流れ出た血、潰れ裂けた肉、折れ砕けた骨と肉。まるで逆再生のされている動画のように再生してく。
再生したワイバーンは何かに引っ張りあげられるようにゆっくりと起き上がり、魔方陣の描かれた紙から発生した、おぞましい粘性のある黒いものに包まれていく。
あぁ、そうか。私が怖かったのはワイバーンじゃなかったんだ。怖かったのは__
黒い泥はゆっくりと落ちていき、現れたのは黒い鱗と腹部の傷跡に見たこともない魔方陣を抱えたドラゴンだった。
__あの魔方陣と、現れるドラゴンだったんだ。
足が縫い付けられたように動かない。でも、動かなければ死んでしまう。
「篠野部!」
ドラゴンによって煽られる恐怖、それから逃れるために私は篠野部に箒を投げ渡した。
カルタは永華の意図を察して、すぐに箒に乗っかり動けない永華の手を力一杯引っ張り無理矢理箒に乗せて抱えた。
一番最初に飛んだのは亜人組のミューとメイメアだった。次いで永華とカルタ、そしてベイノット、最後にローレスス。
今の状態では純人間のカルタやローレスス、混ざっていてほぼ人間もベイノットも本能的な恐怖を感じるのか。揃って手が震えて、箒を持つ手に力がこもっていた。
もちろん、永華を抱えるカルタの手もだ。
「ギュォォォオオオオオオオオ!!!!」
黒いドラゴンの咆哮が箱庭全体を揺らした。
篠野部の肩越しに見える黒いドラゴンがガパリと大口を開ける。
紫色の光がある待っていき、丸く形作っていく。
「あ……」
これ、これはダメだ。あの紫の奴、ダメだ。
震える手を律してポーチから適当な糸を取り出し魔方陣を編む。
編むのは一番火力の出せる火属性の魔方陣。
胃の奥から何かがせりあがってくる感覚がする。ギチギチと歯を噛みしめ、気をそらす。
赤色に輝く魔方陣が特大の火球を作り出す。
火の近くにいるから、少し暑い。
「いぬ、い?」
ゴソゴソと動く私を不思議に思ったらしい篠野部の
呼び掛けを無視する。答えてる余裕なんて無い。
魔方陣から火球が離れていく。それと同時に紫の光も放たれた。
全てがゆっくりと、スローモーションのように見えた。
火球とブレスがぶつかる寸前、私が作った火球じゃ足りないことにがついた。大きさも、威力も、質量も全てに置いて劣っている。
相討ちどころか、二割削れたら良いところだろう。
これは死んでしまうだろうか?
「撃てっ!!!」
魔力玉と閃光が火球の後を追随していくようにブレスに向かっていった。
火球に閃光に魔力玉、そしてブレスがぶつかったとき凄まじい爆風と光が発生した。
爆風に煽られて箒の操縦が聞かなくり、何人かが投げ出された。
とっさに糸で私と篠野部の胴体をぐるぐる巻きにして落ちるのをふせいだ。
だが、なんとか耐えた数名の箒が折れてしまった。
投げ出される体、今だやまない光と爆風。
どうにか地面と撃津としないようにポーチの中にある全ての糸を張り巡らせる。それと同時に篠野部に頭を守るように抱えられたと認識した。
一拍もたたずに、意識が飛んだ。
目が覚めてワイシャツと緑がかった灰色のベストが目にはいり一瞬固まるも、すぐに気を失う前のことを思い出して飛び起きた。
体感で数分、時計塔の時計によれば、たったの数秒程、気を失っていたらしい。
「篠野部!ミュー!メメ!ローレス!ベイノット!」
私はカルタと自分をくくりつけていた糸をほどき、慌てて飛び起きる。
「なに、これ……」
そこには異様な光景が広がっていた。
永華達が逃げようとしていた方向には四つ、色が混ざったデカイ蜘蛛の巣のようなものがあった。
その上に受験者達が寝転がっていて、永華達も似たようなものの上にいたことに気がつく。
「これは、糸?私が……作った?いや、それはどうでもよくて……他の人たちは、どうなったの?」
気絶しているだけなのだろうか?見えてる限りは血のようなもの見えない。その事実に、ひとまず安心する。
そこでふと永華は自分がカルタにかばわれたのを思い出した。永華はカルタの前髪をそっとはらう。額から、血が流れていた。
「……しのの、べ?」
ぺち、ぺち……__
永華がは縋るようにカルタ名を呼んで、弱々しくカルタの頬を叩く。指先がピクリと動いて、うっすらと目を開けた。
血と死んだ目、それにゾクリと嫌なものを思い出すがそんなこと言ってる場合ではない。
「よかった、しの__」
「う、しろ……」
「え?」
篠野部に言葉を遮られる。言われるがまま、後ろを振り向くと絶句した。
抉れた港町の中心と、ドラゴンがいた。羽を含めたあちこちから泥を撒き散らしながらクレーターの中をユラユラとふがいない足取りで、こちらへ近づいてくる。
「……」
どう、したらいい?どうすれば……。
生気のないドラゴンの目がウロウロと、あちこちnい視線を動かしたあと静かに永華とカルタを視線にとらえた。
永華は片手でカルタの服を掴み抱え、ドラゴンから視線をそらせないまま這いずってでも逃げようとする。
だが下じきにしている糸達が足や手をとられ、服に引っ掛かって思うように動けない。
黒いドラゴンが動くたびに地面が揺れる。
まだ、やらなければいけないのに。元の世界に帰って、やらないといけないことがあるのに。
後ろから瓦礫が動く音と悲鳴が聞こえる。
誰かが起きたんだろうが、そんなの気にしてる余裕はなかった。
「う゛ぅ゛~~~!!!!」
苦し紛れの威嚇。
黒いドラゴンは気にもせず、ユラユラと近寄ってくる。
もう、ほとんど魔力を使ってしまったが力を振り絞って最後の抵抗でもしてやろうか。
ドラゴンに向かって震える手を付きだし、詠唱をしようとした。
トンッ__
軽い音がなる。
目の前に見覚えのあるローブを羽織った男がたっていた。
「よく頑張りました」
試験官のザベル・イービズだ。
「う、うぅ~……」
安心感から涙が溢れ、頬を伝って落ちていく。
よく知りもしないのに、目の前の背中が頼もしい。
「ヘルスティーナ様のいっていた通り未熟な個体か。私だけでどこまでいけるか……。いや、私が潰さなければ、な」
ザベルは杖を構える。
「“潰れろ”」
見えないなにかが黒いドラゴンを押し潰そうとする。黒いドラゴンは地面を割り、足を地面にめり込ませ耐えようとする。
そのうち耐えられなくなったドラゴンは膝をつく。
ザベルの眉間にシワが刻まれた。
更に杖に魔力を込め、圧力を上げる。
耐えられなくなった黒いドラゴンは地面に倒れこみ、溶けだして跡形もなく泥になった。
その泥の中にドラゴンが現れたときと同じ光をまとった紙が一枚、なにもない空中に浮かんでいた。
「あれが核か。全く、うちの生徒候補に手をだそうとしやがって……。燃やす、のはダメか。“封じる箱”」
ザベルが杖をふると、どこからともなく箱が現れ紙を飲み込み口を閉じた。同じく、どこからともく現れた南京錠は箱が開かないように鍵をかけた。
「ふぅ、魔力遮断の箱ですから……大方、大丈夫でしょう」
コトン__
木製の箱が軽い音をたてて地面に落ちた。
その後、少し遅れて複数の教師が箱庭の中に現れた。
永華を含めた、その場にいた受験者はすぐに保護され医務室に放り込まれた。
幸いにも重症の者はおらず、擦り傷や軽度の打撲がおもだった。
高所からの自由落下をしたはずなのに、なぜそんなに軽傷なのか。理由は生への執着から永華が生み出した蜘蛛の巣のようなもの、あの糸の塊が原因だった。
あれ、大きな魔方陣が何十にも重なったものだったらしい。
浮遊魔法、風魔法、防御魔法、操作魔法といろんなものが重なり、作用した結果。落下速度緩和、爆風で飛んだ瓦礫からの守り、落下位置の調整といった具合に働き、魔方陣が発動した後の怪我はなかった。
擦り傷や軽度の打撲は魔方陣が発生する前のものだ。
もちろん、カルタの額の傷もだ。永華を抱えた後、魔方陣が発動する一歩前、飛んできた瓦礫に当たって額を切った。
幸いにも脳にも骨にも障害はなく、傷跡も残らないとのこと。
学校側からの対応は手厚いものだった。
破れ燃えた衣服、魔力の込めすぎで壊れた杖、使い果たした糸、怪我の無償の治療の補填。あとは王都の食事所で使える無料券を数枚、帰りの足と警備の手配など。
正直、永華は途中から貰いすぎて怖くなっていた。
元々、受験者は正式な手続きをしたら宿代や交通費もだしてくれるというのに……。
そんな対応もあってか、被害者である六人から文句は出ることはなかった。
むしろ良いところの出であるメイメアは「生きてるだけ儲けものです」と言っていた。よく命を狙われる立場であり、弱肉強食の世界である海の出身からしたら、恐怖はあれどもいつものことなんだろう。
ミューも親が軍人であるからか似たような経験があったらしく、これだけですんでいたことに感謝していた。
その様子に一般人組はドン引きしていた。
だが一般人たちも、こんなことがあったのに魔法学校の入学チャンスを逃すことがなかった当たりメンタルが強い。
学校側からの説明だが__
あのドラゴンは本来ならば受験生が相手にしなくても良いものでした。
何故あれが現れたのはか現在進行形で不明であり、少し前に不法侵入した輩が原因とみられています。
今も侵入者の捜索を続けているのですが成果は乏しく、他に仕掛けられたもの、被害者がいないか捜索中です。
侵入者の目的も、侵入経路も今だわかっておりません。
警備をふやし、犯人を捕まえ、再発防止に勤めます。
__とのことだった。
黒と紫の光が港町を、辺り一帯を、箱庭の中を包み込んだ。
「へ……?」
あまりの驚きからすっとんきょうな声が漏れでた。
禍々しい光の発生源は、どうやらワイバーンに貼り付けられている紙のようだ。
流れ出た血、潰れ裂けた肉、折れ砕けた骨と肉。まるで逆再生のされている動画のように再生してく。
再生したワイバーンは何かに引っ張りあげられるようにゆっくりと起き上がり、魔方陣の描かれた紙から発生した、おぞましい粘性のある黒いものに包まれていく。
あぁ、そうか。私が怖かったのはワイバーンじゃなかったんだ。怖かったのは__
黒い泥はゆっくりと落ちていき、現れたのは黒い鱗と腹部の傷跡に見たこともない魔方陣を抱えたドラゴンだった。
__あの魔方陣と、現れるドラゴンだったんだ。
足が縫い付けられたように動かない。でも、動かなければ死んでしまう。
「篠野部!」
ドラゴンによって煽られる恐怖、それから逃れるために私は篠野部に箒を投げ渡した。
カルタは永華の意図を察して、すぐに箒に乗っかり動けない永華の手を力一杯引っ張り無理矢理箒に乗せて抱えた。
一番最初に飛んだのは亜人組のミューとメイメアだった。次いで永華とカルタ、そしてベイノット、最後にローレスス。
今の状態では純人間のカルタやローレスス、混ざっていてほぼ人間もベイノットも本能的な恐怖を感じるのか。揃って手が震えて、箒を持つ手に力がこもっていた。
もちろん、永華を抱えるカルタの手もだ。
「ギュォォォオオオオオオオオ!!!!」
黒いドラゴンの咆哮が箱庭全体を揺らした。
篠野部の肩越しに見える黒いドラゴンがガパリと大口を開ける。
紫色の光がある待っていき、丸く形作っていく。
「あ……」
これ、これはダメだ。あの紫の奴、ダメだ。
震える手を律してポーチから適当な糸を取り出し魔方陣を編む。
編むのは一番火力の出せる火属性の魔方陣。
胃の奥から何かがせりあがってくる感覚がする。ギチギチと歯を噛みしめ、気をそらす。
赤色に輝く魔方陣が特大の火球を作り出す。
火の近くにいるから、少し暑い。
「いぬ、い?」
ゴソゴソと動く私を不思議に思ったらしい篠野部の
呼び掛けを無視する。答えてる余裕なんて無い。
魔方陣から火球が離れていく。それと同時に紫の光も放たれた。
全てがゆっくりと、スローモーションのように見えた。
火球とブレスがぶつかる寸前、私が作った火球じゃ足りないことにがついた。大きさも、威力も、質量も全てに置いて劣っている。
相討ちどころか、二割削れたら良いところだろう。
これは死んでしまうだろうか?
「撃てっ!!!」
魔力玉と閃光が火球の後を追随していくようにブレスに向かっていった。
火球に閃光に魔力玉、そしてブレスがぶつかったとき凄まじい爆風と光が発生した。
爆風に煽られて箒の操縦が聞かなくり、何人かが投げ出された。
とっさに糸で私と篠野部の胴体をぐるぐる巻きにして落ちるのをふせいだ。
だが、なんとか耐えた数名の箒が折れてしまった。
投げ出される体、今だやまない光と爆風。
どうにか地面と撃津としないようにポーチの中にある全ての糸を張り巡らせる。それと同時に篠野部に頭を守るように抱えられたと認識した。
一拍もたたずに、意識が飛んだ。
目が覚めてワイシャツと緑がかった灰色のベストが目にはいり一瞬固まるも、すぐに気を失う前のことを思い出して飛び起きた。
体感で数分、時計塔の時計によれば、たったの数秒程、気を失っていたらしい。
「篠野部!ミュー!メメ!ローレス!ベイノット!」
私はカルタと自分をくくりつけていた糸をほどき、慌てて飛び起きる。
「なに、これ……」
そこには異様な光景が広がっていた。
永華達が逃げようとしていた方向には四つ、色が混ざったデカイ蜘蛛の巣のようなものがあった。
その上に受験者達が寝転がっていて、永華達も似たようなものの上にいたことに気がつく。
「これは、糸?私が……作った?いや、それはどうでもよくて……他の人たちは、どうなったの?」
気絶しているだけなのだろうか?見えてる限りは血のようなもの見えない。その事実に、ひとまず安心する。
そこでふと永華は自分がカルタにかばわれたのを思い出した。永華はカルタの前髪をそっとはらう。額から、血が流れていた。
「……しのの、べ?」
ぺち、ぺち……__
永華がは縋るようにカルタ名を呼んで、弱々しくカルタの頬を叩く。指先がピクリと動いて、うっすらと目を開けた。
血と死んだ目、それにゾクリと嫌なものを思い出すがそんなこと言ってる場合ではない。
「よかった、しの__」
「う、しろ……」
「え?」
篠野部に言葉を遮られる。言われるがまま、後ろを振り向くと絶句した。
抉れた港町の中心と、ドラゴンがいた。羽を含めたあちこちから泥を撒き散らしながらクレーターの中をユラユラとふがいない足取りで、こちらへ近づいてくる。
「……」
どう、したらいい?どうすれば……。
生気のないドラゴンの目がウロウロと、あちこちnい視線を動かしたあと静かに永華とカルタを視線にとらえた。
永華は片手でカルタの服を掴み抱え、ドラゴンから視線をそらせないまま這いずってでも逃げようとする。
だが下じきにしている糸達が足や手をとられ、服に引っ掛かって思うように動けない。
黒いドラゴンが動くたびに地面が揺れる。
まだ、やらなければいけないのに。元の世界に帰って、やらないといけないことがあるのに。
後ろから瓦礫が動く音と悲鳴が聞こえる。
誰かが起きたんだろうが、そんなの気にしてる余裕はなかった。
「う゛ぅ゛~~~!!!!」
苦し紛れの威嚇。
黒いドラゴンは気にもせず、ユラユラと近寄ってくる。
もう、ほとんど魔力を使ってしまったが力を振り絞って最後の抵抗でもしてやろうか。
ドラゴンに向かって震える手を付きだし、詠唱をしようとした。
トンッ__
軽い音がなる。
目の前に見覚えのあるローブを羽織った男がたっていた。
「よく頑張りました」
試験官のザベル・イービズだ。
「う、うぅ~……」
安心感から涙が溢れ、頬を伝って落ちていく。
よく知りもしないのに、目の前の背中が頼もしい。
「ヘルスティーナ様のいっていた通り未熟な個体か。私だけでどこまでいけるか……。いや、私が潰さなければ、な」
ザベルは杖を構える。
「“潰れろ”」
見えないなにかが黒いドラゴンを押し潰そうとする。黒いドラゴンは地面を割り、足を地面にめり込ませ耐えようとする。
そのうち耐えられなくなったドラゴンは膝をつく。
ザベルの眉間にシワが刻まれた。
更に杖に魔力を込め、圧力を上げる。
耐えられなくなった黒いドラゴンは地面に倒れこみ、溶けだして跡形もなく泥になった。
その泥の中にドラゴンが現れたときと同じ光をまとった紙が一枚、なにもない空中に浮かんでいた。
「あれが核か。全く、うちの生徒候補に手をだそうとしやがって……。燃やす、のはダメか。“封じる箱”」
ザベルが杖をふると、どこからともなく箱が現れ紙を飲み込み口を閉じた。同じく、どこからともく現れた南京錠は箱が開かないように鍵をかけた。
「ふぅ、魔力遮断の箱ですから……大方、大丈夫でしょう」
コトン__
木製の箱が軽い音をたてて地面に落ちた。
その後、少し遅れて複数の教師が箱庭の中に現れた。
永華を含めた、その場にいた受験者はすぐに保護され医務室に放り込まれた。
幸いにも重症の者はおらず、擦り傷や軽度の打撲がおもだった。
高所からの自由落下をしたはずなのに、なぜそんなに軽傷なのか。理由は生への執着から永華が生み出した蜘蛛の巣のようなもの、あの糸の塊が原因だった。
あれ、大きな魔方陣が何十にも重なったものだったらしい。
浮遊魔法、風魔法、防御魔法、操作魔法といろんなものが重なり、作用した結果。落下速度緩和、爆風で飛んだ瓦礫からの守り、落下位置の調整といった具合に働き、魔方陣が発動した後の怪我はなかった。
擦り傷や軽度の打撲は魔方陣が発生する前のものだ。
もちろん、カルタの額の傷もだ。永華を抱えた後、魔方陣が発動する一歩前、飛んできた瓦礫に当たって額を切った。
幸いにも脳にも骨にも障害はなく、傷跡も残らないとのこと。
学校側からの対応は手厚いものだった。
破れ燃えた衣服、魔力の込めすぎで壊れた杖、使い果たした糸、怪我の無償の治療の補填。あとは王都の食事所で使える無料券を数枚、帰りの足と警備の手配など。
正直、永華は途中から貰いすぎて怖くなっていた。
元々、受験者は正式な手続きをしたら宿代や交通費もだしてくれるというのに……。
そんな対応もあってか、被害者である六人から文句は出ることはなかった。
むしろ良いところの出であるメイメアは「生きてるだけ儲けものです」と言っていた。よく命を狙われる立場であり、弱肉強食の世界である海の出身からしたら、恐怖はあれどもいつものことなんだろう。
ミューも親が軍人であるからか似たような経験があったらしく、これだけですんでいたことに感謝していた。
その様子に一般人組はドン引きしていた。
だが一般人たちも、こんなことがあったのに魔法学校の入学チャンスを逃すことがなかった当たりメンタルが強い。
学校側からの説明だが__
あのドラゴンは本来ならば受験生が相手にしなくても良いものでした。
何故あれが現れたのはか現在進行形で不明であり、少し前に不法侵入した輩が原因とみられています。
今も侵入者の捜索を続けているのですが成果は乏しく、他に仕掛けられたもの、被害者がいないか捜索中です。
侵入者の目的も、侵入経路も今だわかっておりません。
警備をふやし、犯人を捕まえ、再発防止に勤めます。
__とのことだった。
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